セリバオウレンとは
漢方の生薬として古くから利用されてきたセリバオウレンとはどんな植物なのでしょうか。多くの種類があるオウレンとセリバオウレンとの違いなど、セリバオウレンの植物としての特徴を解説します。
名前
セリバオウレンの学名であるCoptis japonica(コプティス ジャポニカ)は、ギリシャ語のコプト―(切り刻む)に由来し、葉がギザギザの切れ込みあることを表します。ジャポニカは「日本の」「日本産の」を意味します。黄色いひげ根が節状に珠のように連なる姿から「黄連」と呼ばれます。
植物としての特徴
セリバオウレンは、日本が原産、本州から四国の山地の木陰に自生する山野草です。常緑多年草で、草丈はおよそ20cmほど、地中の根の表面は鮮やかな黄色、根茎からひげ根を多数出します。葉は硬くツヤがあり縁には鋸歯がみられます。葉のつき方は2回3出複葉です。
他のオウレンとの違い
セリバオウレンは葉の形がセリに似ることに由来します。キクバオウレン(菊葉黄連)は1回3出複葉、小ぶりなのコセリバオウレン(小芹葉黄連)は3回3出複葉です。このように他のオウレンとは、複葉の葉の形の違いによって区別されます。これらの中で最も知名度が高いのがセリバオウレンです。
花の特徴
2~4月になると地中から15~40cm程の花径が立ち上がり、茎頂あたりで分岐し、直径1cm程度の白または淡い赤紫色の花を2~3輪つけます。10~12枚の先端が丸いへら状の花びら、先端が尖った萼片は5~6枚が花びら状につくのが特徴です。花には種類があり、多数の雄しべがある雄性花、8~12本の茶色い雄しべをもつ両性花に分かれます。
果実
両性花には雄しべと複数の心皮があり、花が咲き終わると、心皮が車輪状の柄のある袋果(たいか)になり果実を内蔵します。袋果の先端は開放したままの状態が続きます。このような果実のつけ方からセリバオウレンは被子植物では原始的な姿をとどめているといわれます。
セリバオウレンの花言葉
オウレンの花言葉は「揺れる心」です。葉が変異しやすい、花には雄性花、両性花があるなど、セリバオウレンの植物としての特徴がわかりやすく表れています。2~4月の寒さとあたたかさを交互に感じる季節に花を咲かせることも関係するのではないかと想像がふくらみますね。
次のページでは、セリバオウレンの生薬としての特徴、セリバオウレンの栽培方法を解説します。
出典:写真AC