ミヤマキンポウゲの育て方
ミヤマキンポウゲは高山地帯に生息する高山植物です。高山に咲くと聞くと育て方が難しそうに感じる方もいるかもしれませんが、栽培環境に気をつけていれば問題ないでしょう。花後は種子ができるので種まきで増やせば自然に咲いているミヤマキンポウゲのような群生を作ることも可能です。地植えする場合ロックガーデン風にすると、より自然に近いミヤマキンポウゲを見ることができますよ。
栽培環境に注意
ミヤマキンポウゲを植える際は1日を通して日当たり良好で風通しがよい場所を選ぶのが大事です。高温多湿に弱いので、梅雨時期から夏の期間はしっかり栽培環境に気をつけましょう。雨が多すぎると過湿状態になるので梅雨時期は雨に当たらないようにし、夏の日差しが強い時期は遮光カーテンなどで日差しを和らげてあげます。冬は冬眠状態になるので手はかかりませんよ。
用土と植え付け
土は通気性、保水、排水性に優れた鹿沼土、鹿沼土より型崩れしにくい日光砂、軽石砂を5:4:1の割合で配合したものを使いましょう。難しければ市販の山の野草培養土を使っても大丈夫ですよ。水はけと水持ちがよいことが大事です。植える鉢は口径が広いものを選びます。植え付け時期は春、秋の彼岸前後がいいでしょう。根が細いので注意しながら土を落とし、鉢の端から順番に植え付けていきます。
水やり
植え付けした後の1週間ほどは、根が乾燥するといけないのでたっぷり水やりしましょう。それ以後は毎日1回の水やりを習慣とします。ただし、時期によって水やりのタイミングを考えることが大切です。夏は朝に水やりしても気温が上がると蒸発してしまうので、夕方にあげます。そうすると夜は気温が上がらないので朝方もしっかり水分を蓄えた状態をキープできます。春、秋、冬は朝方に水やりしましょう。
肥料
肥料はミヤマキンポウゲがぐんぐん育つ4月終わり~6月終わりまでと、9月終わり~11月初めに液体肥料をあげましょう。春と秋に置き肥を1回ずつ施してあげるだけで十分です。肥料を好みますが、あたえすぎると姿が崩れてしまうことがあるので、あげすぎないよう注意しましょう。
病気と害虫
ミヤマキンポウゲは過酷な環境には丈夫な植物ですが、育ちきるまでに病害虫の被害にあうこともあります。毎日の水やりで害虫がいないか確認してあげましょう。では、ミヤマキンポウゲがかかりやすい病害虫をみていきましょう。
病気
ミヤマキンポウゲがかかりやすい病気は以下です。
- 炭疽病・・芽が出始めに黒く縮んで元気がない
- ウイルス病・・葉っぱに色むらが出てくる
- 白絹病・・突然株が枯れてしまい株元に白い菌糸が出る
- 軟腐病・・土がベタベタして多湿状態になり株がすぐに抜けてしまう
害虫
ミヤマキンポウゲの芽が出始めてから花が咲く時期まではアブラムシがつきやすいです。食害は、ヨトウムシやナメクジによるものが多いので注意が必要です。植わっている土が傷んでくるとその土がダンゴムシやヤスデの巣になるので土の状態もたまにチェックしてあげましょう。
ミヤマキンポウゲの仲間
ミヤマキンポウゲと同じくキンポウゲ科の仲間はたくさんあります。見た目が似ていても生息地が全く違う場所であったり、見た目がまったく違ったりする仲間も。いろいろなキンポウゲ科の植物を見ていきましょう。
エゾキンポウゲ
エゾキンポウゲは、北海道に多く分布しています。開花時期が5~7月頃までなのでミヤマキンポウゲに比べると早い開花になります。花の大きさや葉の形も似ているので区別しにくいかもしれませんが、エゾキンポウゲの方が全体的に毛が多く背丈も少し低めです。果実に毛がはえているのもエゾキンポウゲの特徴です。
バイカモ
バイカモはミヤマキンポウゲの仲間ですが、北日本の冷たい川辺や西日本の上流に分布している水草です。流れのある川にしか生息できず、葉や茎も流れにそって伸びていきます。見た目もミヤマキンポウゲと違い、花は白色で葉も細い糸のようです。最も違う部分はキンポウゲ科は有毒で食用にはなりませんが、バイカモは山菜として食用になることです。
ヒキノカサ
ヒキノカサは生息地が関東より西の本州、四国、九州とミヤマキンポウゲとは正反対です。花期も3月~5月なので春の花になります。ウマノアシガタに見た目が似ていますが、全体を見るとヒキノカサの方が小型の群集です。ヒキノカサは湿地に生息しますが、大型植物にまけてしまい環境省の絶滅危惧Ⅱ種にはいっている希少な植物です。
まとめ
ミヤマキンポウゲの小さな花の群集はとてもかわいらしいです。病害虫には気をつけなければいけませんが、毎日の水やりと少しの肥料で育ってくれるので育て方はそんなに難しくないでしょう。この機会に庭をロックガーデンにしてみれば、自然に咲くミヤマキンポウゲに近いものを見ることもできます。庭や鉢を黄色のかわいい花で埋め尽くしてみてはいかがでしょうか。