イチヤクソウとは
イチヤクソウはイチヤクソウ科イチヤクソウ属の常緑多年草です。日本国内では北海道、本州、四国、九州など沖縄以外の低い山地の林のなかで、国外では中国や朝鮮半島に分布しています。光合成だけでなく、近くにある樹木の根からも栄養をもらって生育する腐生植物です。名前に「薬」という文字が入っており、実際に生薬として利用されています。その薬効と基本の育て方をご紹介します。
由来
イチヤクソウは「一薬草」と書きます。一つの薬、つまりイチヤクソウひとつでさまざまな病気に効くことからこの名前が付きました。また、英語では「ウィンターグリーン」と呼ばれますが、これは冬でも青々とした葉が生えていることに由来したものです。
花の特徴
イチヤクソウの花期は6~7月頃です。葉の間から15~25cmほどの茎をのばし、1mmほどの白い花を3~10個ほど下向きに咲かせます。花弁は深く5つに裂けており梅の花に似ています。7mmほどのめしべが象の鼻のように花から飛び出しているので、山地などで見分ける際の特徴になります。イチヤクソウの花言葉は「恥じらい」です。
ボタニ子
葉の特徴
イチヤクソウの葉は長さが3~6cm、幅は2~4cmほどの卵状の楕円形をしており、細かい鋸歯かあります。葉に厚みと艶のある様子から「鏡草(カガミソウ)」と呼ばれることもあります。表側は青々としていますが裏側や柄の部分は紫色をしています。イチヤクソウの種類によって葉の大きさや色などに違いがあります。
実の特徴
イチヤクソウの実は蒴果(さくか)といい、乾燥した実が裂けて種を放出します。直径6~7mmの扁球形の実の中に小さな種子がたくさん入っています。種子は細長い見た目をしており、両側に羽が付いています。その小ささともあいまって、わずかな風で空中を浮遊し、遠くまでとんでいくことができます。
イチヤクソウの種類
イチヤクソウの仲間は北半球の温帯に40種類ほど分布しています。日本で見ることのできるイチヤクソウのうち、ベニバナイチヤクソウ、マルバノイチヤクソウ、ジンヨウイチヤクソウ、コバノイチヤクソウの4種類をご紹介します。普通のイチヤクソウは山の中でも比較的低地に自生しますが、これらはより高い山地に分布しています。
ベニバナイチヤクソウ
ベニバナイチヤクソウはその名の通り、赤い花を咲かせるのが特徴のイチヤクソウの仲間です。亜高山帯の針葉樹林に分布し、シベリアなど気温の低い地域でみられます。日本でも北海道などで見ることができます。Amazonや楽天市場など、ネットショップで購入できるのはほとんがこのベニバナイチヤクソウです。
ボタニ子
次ページでは「マルバノイチヤクソウ」について紹介します。
下向きに咲く様子が恥ずかしがっている女の子みたいで「恥じらい」という花言葉がぴったりね!