イチヤクソウの育て方
イチヤクソウは光合成だけではなく、林なでどでは近くに生える樹木の根からも栄養をもらって生育する性質があります。そのため、樹木と切り離して単体で栽培することは不可能といわれていました。しかし、用土や肥料、環境など育て方に注意すれば鉢植えでも十分栽培可能です。ただ、東京都など地域によっては絶滅危惧種に指定されているので、野生のものを採取するのではなく、かならず園芸ショップなどで購入しましょう。
植え付け・用土
鉢植えに植え付けを行う場合は通気性の悪いプラスチックや磁器製の鉢を避けましょう。用土の内部が蒸れやすくなり、長期の山野草栽培には適していません。駄温鉢(素焼き鉢をより高温で焼いたもの)や焼きしめ鉢を使いましょう。より深さのあるものを使った方が水はけがよくなります。用土は水はけと水持ちの良いものを選びましょう。赤玉土と鹿沼土の混合用土がおすすめです。
植え替え
鉢の中が根でいっぱいになることを根詰まりといい、新しい根や芽の生育を妨げてしまいます。そのため鉢植えの植物は定期的に植え替えが必要になるものがあり、イチヤクソウは年に1回、秋に行います。植え替える際には必ず新しい用土を用意しましょう。古い用土や枯れた根をとりのぞきます。根をあまり乾かさないように手早く行いましょう。
水やり・肥料
水やりは表土が乾いたときがいいタイミングです。鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりやりましょう。肥料は春に一度、山野草用の置き肥をし、それとは別に液肥を春と秋に1~2週間に一度やります。用土の下に使う元肥は根が直接触れると障がいが出ることがあるので使用を避けましょう。
置き場所
イチヤクソウは林の中に咲く植物なので、夏は木漏れ日の差すような半日陰の環境が適しています。冬場は雪の下で越冬させましょう。雪がない場合には寒風に当てないように気を付けます。春は日の当たる場所に置きましょう。
地植え
ここまで鉢植えでの栽培方法を紹介してきましたが、地植えもおすすめです。地植えなら水やりの回数が少なくて済みますし、根詰まりの心配もないので植え替えも不要になります。イチヤクソウは腐生植物です。地植えでかつ木の近くに植えられれば、適度な日陰と樹木の栄養を根から取り込めるので、より自然に近い状態になり栽培しやすくなります。
まとめ
イチヤクソウをはじめとした山野草は品種改良などされていないぶん、家庭で栽培するには用土や水やりなど注意が必要です。種子の形成に時間をかける植物なので一つの株が毎年花をつけることは少なく、育てるのに根気がいるぶん、きれいに咲いた時の感動もひとしおですね。地域のによっては絶滅危惧種に指定されていますので野生の採取は避け、専門店や通信販売で入手しましょう。山野草の同好会などに入会して手に入れることも可能です。