ミヤコグサの育て方
ミヤコグサは野に咲く花ですが、庭の日当たりのよい場所に植えるとかわいらしい花を長い間楽しむことができます。見た目の印象に反し、耐寒性があり、乾燥にも強いため水やりなど手間がかからない植物です。育てやすい特徴から庭のグランドカバーとしておすすめです。そこで、種まきや水やりなど家庭での育て方、植え付けや施肥など管理のコツをご紹介します。
育て方①種まき
花が咲き終わった後、熟した果実からできる種を採取しておきます。9~11月に育苗ポットに培養土を入れて種をまきます。地域差がありますが、初霜がおりる1カ月前を目安にまきましょう。種の上に土を少しかけます。発芽するまで水やりは少しでよいです。必要以上に水を与えると発芽しないことがあるため気をつける必要があります。
育て方②植え付け
ミヤコグサの植え付けは春に行います。できれば暖かい日がよいでしょう。マメ科の植物は、根をいじられることが苦手です。植え付けや植え替えの際は根を傷つけないようにしましょう。根を長く伸ばすため、広い場所を選んで植えるようにします。
育て方③水やり
地植えの場合は、水やりの必要はありません。雨の降らない日が続き、乾燥が気になったときに軽く水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたときにたっぷり水を与えます。
育て方④肥料
植物に肥料を与えることを「施肥(セヒ)」と呼びますが、ミヤコグサは施肥を行わなくても育てることができます。ミヤコグサはクローバーや大豆と同じマメ科の植物です。マメ科の植物には「根粒菌」と呼ばれる微生物がついているため、化学肥料が必要ありません。この根粒菌は空気から肥料を作る生き物で、マメ科の植物が太陽エネルギーから作り出した糖を与えることで、見返りに肥料をマメに与えてくれます。
マメ科のモデル植物
根粒菌はマメ科の植物に寄生する菌で、根っこに丸い粒状になって付いています。根粒菌が空気中の窒素をアンモニアに変えて植物に送り込むことで、肥料のないやせた土地でも植物が育つようになります。ミヤコグサは栽培が簡単で、短い期間で多くの種を作ることができるた「マメ科のモデル植物」として実験に使われることが多いです。現在ミヤコグサを使って、化学肥料に頼らない農業の実現にむけた研究が数多く行われています。
ミヤコグサの育て方と管理のコツ
- 種まきは秋に行う
- 日当たりのよい場所に植え付ける
- 植え付けの際は、根を傷つけない
- 水やりは乾燥が気になるときだけ
- 施肥は行わない
ミヤコグサに似た植物
ミヤコグサにはよく似た植物がたくさんあり、一見するとそっくりなため間違えられることも多いです。そこで、ミヤコグサに似た植物と違いによる見分け方をご紹介します。
セイヨウミヤコグサ(西洋都草)
セイヨウミヤコグサはヨーロッパ原産の植物で、荒れ地や路傍などに生える多年草です。もともと牧草として日本に導入され、戦後に自生しているところを発見されました。一つの花序に3~7個の花を輪状につける点がミヤコグサとの違いです。また、草丈が高く、茎や葉に白い毛が生えていることから見分けることができます。日本ではミヤコグサよりも、セイヨウミヤコグサを見かけることが多くなっています。
ニシキミヤコグサ(錦都草)
ミヤコグサの一種で、海岸や日当たりのよい道端、荒れ地に生える多年草です。日本各地に分布し、花や葉の形はミヤコグサと同じですが、花色が黄色から朱色に変化するタイプのものをさします。
まとめ
道ばたに群生して黄色い花を咲かせるミヤコグサは、花畑にいるような暖かな自然の息吹を感じさせてくれる草花です。地面をほふくして元気に伸びる特徴や、剛健で育て方が簡単な点からグランドカバーとしておすすめです。化学肥料の必要ない環境にやさしい植物として、これからの農業の発展に活かされるといいですね。
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出典:写真AC