ノハナショウブとは
「ノハナショウブ(野花菖蒲)」は広く野山に見られ、大きく美しい花を咲かせる植物です。野山を散策する方は、ひときわ目立つ赤紫の花を見たことがあるかもしれません。今回はノハナショウブの特徴や育て方のポイント、さらにハナショウブとの違いを見ていきましょう。
どんな植物か
名前 | ノハナショウブ(野花菖蒲) |
学名 | Iris ensata(アイリス・エンサタ) |
英名 | Japanese iris(ジャパニーズ・アイリス) |
科属名 | アヤメ科アヤメ属 |
園芸分類 | 多年性草花 |
原産地 | 日本、中国、朝鮮半島 |
開花時期 | 6月~7月 |
花の色 | 赤紫色 |
ノハナショウブは東アジアに広く自生しており、日本でも北海道から本州、四国、九州など各地にみられる植物です。アヤメ科の植物で葉は剣状、初夏に100㎝ほどまでになる花茎を伸ばし、大輪の花を咲かせます。ノハナショウブの名前は、野にある野生のハナショウブという意味です。
生育している場所
ノハナショウブは湿原や池のほとり、田の脇など湿り気の多い場所を好んで生育している植物です。こうした場所は日当たりや風通しもよく、いかにノハナショウブが日照と通気性を好む植物かということがわかります。こうした性質はノハナショウブを育てるうえでのヒントにもなるでしょう。
ハナショウブとの違いは
バラエティーの富み、色とりどりの花を咲かせるハナショウブは、菖蒲園などで見られます。こうしたハナショウブとノハナショウブの関係は、簡単にいえば家族のような血縁関係です。ハナショウブは、ノハナショウブを改良して生まれたものだからです。
ノハナショウブはハナショウブの原種
赤紫の清楚なノハナショウブに対して千変万化のハナショウブですが、元はたった一種のノハナショウブを改良して生まれたものです。つまりノハナショウブというご先祖から、さまざまな子孫ができて、ハナショウブという大家族ができあがったというわけです。
ハナショウブは園芸品種
ハナショウブは主に日本で改良され、多くの品種が誕生してきました。現在、その種類は二千種にのぼるといわれています。その歴史は江戸時代に始まり現在まで続けられ、ハナショウブは日本を代表する花の一つになりました。ノハナショウブは野に咲く花の美しさが魅力ですが、改良されたハナショウブは園芸品種の華麗さを持っています。そこにノハナショウブとの違いがあるといえるでしょう。
ノハナショウブの仲間
ノハナショウブにはよく知られている仲間があります。それが、アヤメとカキツバタです。アヤメとカキツバタ、ノハナショウブの花や草姿は、一見して見分けるのが難しでしょう。それは、みな同じアヤメ科の植物だからです。仲間同士ですが、その違いについて知っておきましょう。
アヤメ
アヤメはノハナショウブとは違い、乾いた草原に生育します。アヤメはノハナショウブとは違って湿ったところを好みません。また、花は5月上旬~中旬にかけて見られ、花に網目模様が見られるのが特徴です。
カキツバタ
カキツバタはノハナショウブとは違い、水中やより湿った場所で生育しています。カキツバタはノハナショウブよりも、さらに湿り気を好む性質だからです。また、花は5月中旬~下旬にかけて見られ、白色から淡い黄色の模様が入る特徴があります。
ボタニ子
続いて、育て方を紹介します!
出典:写真AC