森と林の違いは?意味・定義を解説!木・山・森林とはどう違う?

森と林の違いは?意味・定義を解説!木・山・森林とはどう違う?

森や林は身近な自然の景色として、長く親しまれてきました。一方で森や林の意味や定義、森林との違いや使い分けなど、意外に気づかない点が多い存在でもあります。森や林の意味や定義、使い分け方、木、山、杜、森林の意味や違いなどについて解説します。

記事の目次

  1. 1.森と林の違いとは
  2. 2.森と林の定義と意味
  3. 3.森と林の使い分け方
  4. 4.木・山・森林・杜の意味と定義
  5. 5.森や林の意味を考えながら景色を楽しもう

森と林の違いとは

フリー写真素材ぱくたそ

日本は「山紫水明の国」と呼ばれるほど緑と水に恵まれた国です。一般に緑地の部分は「森」「林」「森林」と呼ばれています。しかし、それぞれの意味や定義、差異や区別など、よく分からずに用いている例が少なくありません。森や林、森林の意味や定義の違いについて見ていきましょう。

森と林の定義と意味

森の意味

Photo by けんたま/KENTAMA

森は「盛り」に通じ、「木々がこんもりと生い茂った場所」という意味を持つ言葉です。多種多様な木が生い茂り、こんもりと盛り上がっている小高い場所、または深く生い茂り、人の出入りが少ない奥まった場所を森と呼んでいます。

人が食料や燃料を入手するために育てた里山の奥に広がる山地を「森」と呼んだという説もあるんですよ。

森には「厳(おごそ)か」「静か」という意味もあるから、「人の出入りが少ない場所」という意味もあるんだよ。

森の定義

Photo bySplitShire

農林水産省では、森の定義を「自然にできた樹木の密集地」と定めています。しかし実際は人の手で作られた公園を「市民の森」と呼ぶなど、農林水産省の定義と世間一般での定義は必ずしも一致していません。

林の意味

Photo byPicography

林は「生やし」を語源とし、「同種の樹木が多く立ち並び、木と木との間隔が広い場所」という意味です。おもに木々が深く生い茂ってはいないが、群生している場所をいいます。森には「厳(おごそ)か」「静か」という意味があるのに対して、林にはそのような意味はありません。そのため「普通に人が出入りできる場所」という意味で用いられます。

林の定義

フリー写真素材ぱくたそ

農林水産省では林の定義を「人工的に作られた樹木の密集地」と決めています。実際に人間が作った樹木の密集地を「人工林」といいますが、一方で「原生林」「天然林」と、自然に木が生えた場所を林ということも多いです。このように農林水産省が定めた林の定義と一般的な林の定義には、違いが見られる場合があります。

林の語源「生やし」は「人工的に樹木を生やした場所」と解釈されていますが、「木が自身の力で生やす」という意味もあるんですよ。

つまり林は「生やしたままで、人の手がつけられていない場所」という解釈もできるんだ。だから「天然林」という言葉があるんだね。

森と林の使い分け方

Photo byLarisa-K

じつは森と林の明確な区別はつけられていません。使い分けの基準もあいまいです。一般には、森は「大規模で多種多様な樹木が密集している場所」、林は「小規模で同種の樹木が並列して生えている場所」と区別しています。また、林を里山など生活に直結した身近な範囲、森を山奥など、生活に直結しない遠い範囲にある場所と区別することもあります。

木・山・森林・杜の意味と定義

木の意味と定義

フリー写真素材ぱくたそ

木は高木と低木の総称です。植物学上は草花の「草本植物」に対して「木本植物」と呼んでいます。じつは木本植物に明確な意味や定義はありません。樹皮の内部に形成層を持ち、成長とともに形成層が木質部を作って幹が太くなる植物を「樹木」「木」と呼ぶのが一般的です。木が多く生えた場所を「林」「森」「森林」と呼びます。

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山の意味と定義

Photo by Matsukin

山の定義は「周囲よりも高く盛り上がった場所や地形」です。一般的には丘陵や大地よりも高度があったり、起伏が大きかったりする場所を指します。意外に知られていませんが、じつは山の定義と樹木に直接的な関係はありません。

山は「周囲の土地との高度差」に意味があるため、樹木がなくても高度があれば「山」と認められるのですよ。

木が生えてない岩石ばかりの高い場所を「岩山」と呼ぶよね。木がなくても山の意味と定義はゆらがないんだ。

森林の意味と定義

Photo byjplenio

森林の意味は「森よりも広い範囲に渡って木々が密生している場所」です。近い場所では日の光がほとんどささないほど木々が密生しているのが見え、遠目からだと非常に濃い緑が盛り上がって見える場所を指します。一般には森や林よりも大規模という定義です。さらに森林には、木々だけではなく草花や住んでいる動物たちや微生物、土壌など、その場にあるものすべてという意味もあります。

非常に大規模な木々の密生場所を森林、森林よりも小規模な密生場所を森または林とするのが、一般的な使い分け方です。

杜の意味と定義

Photo by BONGURI

「杜(もり)」は森と読み方は同じですが、定義は違います。森が「自然に生えた木の密集地」と定義されているのに対して、杜の定義は「神社などの神域近くに生えている樹木たち」です。「杜」は、もともと中国原産の植物「ヤマナシ」を指し、「(門などを)閉ざす・閉じる」という意味を持つ漢字です。しかし、日本では神社などの神域を意味する漢字として用いられるようになりました。

杜には「閉ざす・閉じる」という意味があったことから、世間から閉ざされた場所でもある神域を表すようになったという説があります。

神が来訪される場所を最初は「社」と表記していたのを、誤って「杜」と表記したのが広まったという説もあるんだよ。

「杜の都」は近年定められた名称だった

出典:写真AC

宮城県仙台市の愛称で有名な「杜の都」は、もともとは「森の都」と表記していました。理由は江戸時代、仙台では飢餓対策として食用となる木を積極的に植栽していたため、とても緑の多い場所だったからです。その後、昭和時代に「杜の都」を正式な表記と定めました。「杜の都」に変えた理由は、仙台の緑が人工的なものであるため、「自然に形成された樹木の密集地」という森の定義にあわないからです。

仙台市を最初に「森の都」と表記したのは、明治42年(1909年)に発刊された観光案内書です。

その後大正5年(1916年)に「杜の都」と表記したんだ。でも仙台市が「杜の都」を正式表記としたのは昭和45年(1970年)だったんだよ。

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森や林の意味を考えながら景色を楽しもう

Photo by12019

森や林には一応の意味や定義はありますが、厳密な区別はなくあいまいな点が多いです。しかし、どちらも人間を含むすべての生命が生きていくうえで、すばらしい働きを担う貴重な存在であることには変わりありません。近くに森や林があれば、散歩などを楽しみつつ、森や林の持つ意味や定義を深く考察してみるのもよいでしょう。

Laylah
ライター

Laylah

バラや百合のような美しくて香り高い花も好きですが、スミレやタンポポのような野に咲く可憐で強い花も好きです。

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