オオヤマレンゲの近縁種
オオバオオヤマレンゲ
オオバオオヤマレンゲ(大葉大山蓮華)は、中国東北部から朝鮮半島に自生しています。中国名は「天女花」です。香りもあり、オオヤマレンゲ(ミヤマレンゲ)によく似ていますが、しべの赤紫色が濃いのが特徴で、暑さに強く平地でもよく育ちます。自然交雑もあり、区別せずにオオヤマレンゲとして流通してきた経緯があります。
ウケザキオオヤマレンゲ
ホオノキとオオヤマレンゲの自然交配種だといわれている種類が、ウケザキオオヤマレンゲ(受咲大山蓮華)です。ホオノキのように上向きに咲くので受咲きの名がつけられました。香りがあり、開花は5月頃です。樹高はホオノキより低く、庭木に向いています。
ミチコレンゲ
ミチコレンゲ(Magnolia sieboldii‘Plena’)はオオヤマレンゲの変種で、花びらが多く八重咲き風です。よい香りがあり、うつむきに咲きます。名前は、上皇后美智子様がお好きな花であることに由来するといわれています。
オオヤマレンゲの育て方
オオバオオヤマレンゲを含むオオヤマレンゲ、ウケザキオオヤマレンゲ、ミチコレンゲが栽培用に流通しています。関東以西の平野部で育てやすいのは、暑さにやや強いオオバオオヤマレンゲです。植え付け時期は春先で、すぐに開花するものもあれば、翌年になることもあります。花後に剪定をしましょう。
庭木としての育て方
オオヤマレンゲは、成長してからの植え替えは難しいので、植える場所をしっかり選びましょう。自然に樹形が整いやすく、シンボルツリーにできます。昼過ぎまで日当たりがよく、西日を避けられる場所が適しています。植え付けによい時期は2月末~4月上旬頃で、暖地~中間地では10月頃の植え付けも可能です。
- 根鉢の2倍ほどの植え穴を掘る
- 腐葉土と堆肥を施し、土を少し戻して水を注ぐ
- 根鉢は崩さずに植える(根回し苗もそのまま植え付ける)
- 土を戻し、たっぷり水やりする
- 苗の大きさによっては支柱で支える
鉢植え栽培は?
剪定で樹高を抑えるようにしていけば、鉢植えでも育てられます。毎年植え替えて少しずつ鉢増ししていきましょう。赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜ合わせるか、庭木(花木)用培養土や草花用培養土を使用します。植え付つけ時に堆肥を施してください。
水やりと肥料
庭木には、活着したら基本的に水やりは不要ですが、乾燥を嫌うので、夏場に日照りが続いた時は水やりして下さい。鉢植えには、土の表面が乾いたら水やりします。肥料は、痩せ地以外なら追肥は不要で、元肥だけで十分です。鉢植えには2月頃に追肥しますが、その頃に植え替えを兼ねて与えるといいでしょう。
剪定
オオヤマレンゲは自然樹形が美しいので、混み合った内側の枝を透かし剪定する程度で十分です。高くしたくない場合は、樹高を整えましょう。剪定の適期は、花が終わった6月頃です。秋前から花芽の準備を始めるので、8月以降に枝先を切ると翌年は花が少なくなります。また、徒長枝は必ず切り落とし、接ぎ木苗の場合は台木から出た芽は、枝に成長する前に摘み取ってください。
オオヤマレンゲの増やし方
増やし方①種を採って増やす
オオヤマレンゲは種を採って増やせますが、花が咲くまで数年かかります。花後、秋に赤い集合果が実るので、1つ1つの実を取り出し、さらに種の赤い皮を剥きます。黒い種を水に浸し、沈んだ種を種まき用土に蒔きましょう。覆土は厚くせず、発芽まで藁か不織布などで覆って散水し、乾かさないように管理してください。
増やし方②挿し木で増やす
オオヤマレンゲは挿し木で増やせます。発根率100%とはいかないので、若い枝で10cm~15cm程度の挿し穂を多めに準備しましょう。挿し穂の先を斜めにカットし、赤玉土か鹿沼土、または種まき・挿し木用土に挿し、活着するまで乾かさないように管理してください。先っぽに挿し木用の発根促進剤(ルートンなど)を塗りつけておくと発根率が高くなります。
まとめ
オオヤマレンゲは、清楚でありながら見映えもする美しい花木です。一輪の投げ入れ花も気品があって、さまになります。各地の自生地が守られることを願い、機会があれば自生のオオヤマレンゲを見に行きたいものですね。
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出典:写真AC