めかぶとは
めかぶはコリコリした食感と、粘りのあるつるっとしたのどごしが人気の海藻です。細かく刻んでパック詰めされたものがスーパーなどで販売されているので、馴染みがある人も多いでしょう。ご飯のおともやおつまみにしてもおいしいめかぶのネバネバには、すばらしい健康効果がありますよ。
めかぶは海藻の一種ではない
「めかぶ」という海藻は存在しません。めかぶは、わかめの根元にある胞子葉をさします。胞子葉とは繁殖のための胞子が作られる場所のことです。胞子葉は薄くてひらひらしたわかめと違って厚みがあり、歯ごたえがあるため食用の際には細かく刻んで食べられます。また、国産のものでは三陸産が有名です。
めかぶの栄養・健康効果
めかぶには食物繊維が豊富に含まれています。めかぶのつるっとした食感を生み出しているねばりが食物繊維です。そのほかにもめかぶにはさまざまな栄養成分が含まれています。
食物繊維は2種類ある
食物繊維というとゴボウやサツマイモのような繊維質の野菜が想像されがちですが、根菜に含まれている繊維は不溶性食物繊維、海藻のぬめりは水溶性食物繊維といいます。水溶性食物繊維は便を柔らかくし、ぬめりで不要な物質を吸着して体外へ排出する働きが特徴です。
めかぶの健康効果①免疫力の向上
めかぶに含まれる水溶性食物繊維のうちのひとつがフコイダンです。フコイダンは褐藻と呼ばれる褐色の海藻類(わかめやもずくなど)に含まれる多糖類で、免疫細胞を活性化する効果があるとされます。体内に侵入したウィルスを攻撃する細胞や、抗体を産生する働きがフコイダンにより活発化します。流行性の感染症が多くなる時期には積極的に摂りたい成分といえるでしょう。
めかぶの健康効果②デトックス
めかぶの食物繊維の注目すべきもう一つの成分は、デトックス効果のあるアルギン酸カリウムです。アルギン酸カリウムは体内に入るとアルギン酸とカリウムに分解されます。アルギン酸はそのねばりでコレステロールのもととなる胆汁酸を吸着し、血中のコレステロールを低下させます。また、カリウムは体内の余分な塩分の排出に効果的です。
めかぶの健康効果③ダイエット効果
めかぶに含まれる食物繊維は、ダイエットにも効果が期待できます。近年、食事による血糖値の急上昇が体脂肪を増やす一因であることが広く知られるようになりました。水溶性食物繊維は食事と一緒に摂取すると糖の吸収を阻害してくれるため、急激な血糖値の上昇が起こりません。それにより食物から摂取したエネルギーが体脂肪になりにくく、ダイエットの手助けとなってくれるでしょう。
めかぶの健康効果④子どもの成長をうながす
海藻に多く含まれるミネラルのヨウ素はヨードとも呼ばれ、甲状腺ホルモンのもととなる栄養成分です。甲状腺ホルモンは新陳代謝を活発にし、子どもの成長には不可欠です。特に妊娠中の女性がヨウ素欠乏症になると胎児の脳や神経の成長に影響を与える可能性もあるため、国際的に問題となっています。ただし、海藻をよく食べる日本人がヨウ素欠乏症になるケースは少ないようです。
めかぶの味噌汁の作り方
材料(2人分)
- めかぶ:100g
- だし汁または水:200cc
- 味噌:大さじ2
- 小口ねぎなど:適宜
作り方
- めかぶをさっと水洗いする
- 生めかぶを細かく刻む
- だし汁を中火にかけ、沸いたらめかぶを入れる
- ひと煮立ちしたら味噌をとき、火を止める
- 器に味噌汁を注ぎ、好みでねぎなどを散らしたら完成
めかぶの味噌汁でおすすめの食べ合わせ
めかぶを味噌汁の具に使うと、あおさ汁のような磯の香りのする味噌汁ができあがります。つるつる・コリコリの食感もそのままで、汁にもとろみがつき身体が温まります。また、クセがなくどのような食材とも合わせやすいのが嬉しいポイントです。
おすすめ①なめこ
なめこの表面のぬめり成分はムチンといい、フコイダンと同じ多糖類です。ムチンはなめこだけでなく動物の生体内にも存在し、細胞を保護・修復する役割を担っています。また繊維質が水溶性・不溶性ともに豊富で便秘を予防し、腸内環境を整える効果が期待できます。めかぶとは粘りのある食材どうし、相性も抜群です。
なめこを使うときのポイント
なめこは表面がぬめっているので、ほかのきのこに比べて付着物がつきやすいです。露地栽培物には落ち葉や土、菌床栽培のなめこにはおがくずがついていることがあります。露地栽培のものは洗いましょう。菌床栽培は気ならなければ洗わなくても問題ありません。ムチンを流してしまわないよう、洗いすぎに注意しましょう。
おすすめ②じゃがいも
じゃがいもにはビタミンCが多く含まれています。ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、肌や粘膜を健やかに保ちます。粘膜が丈夫になるとウイルスが侵入しにくくなり、さらなる免疫力の強化に効果的です。
ジャガイモには余分な塩分を排出するカリウムも豊富です。味噌汁の塩分が気になるかたにもおすすめの具材です。
じゃがいもを使うときのポイント
じゃがいもに豊富に含まれているビタミンCは、非常に水に溶けやすい性質を持っています。茹でている間にゆで汁に溶けだしてしまうので下茹でなどはせず、ゆでた汁に味噌を溶きましょう。あく抜きをする際も水にさらすのは10分程度で、長くさらしすぎないように気をつけてください。
おすすめ③玉ねぎ
玉ねぎに含まれるケルセチンはポリフェノールの一種です。ケルセチンには強い抗酸化作用があり、生活習慣病を防ぐ効果が期待できます。また、アレルギー症状の原因となるヒスタミンを抑制し炎症を静める作用もあります。玉ねぎは加熱するとほんのり甘くなり汁にも甘みが出るため、子どもにも人気の具材です。
玉ねぎは血液サラサラ効果が知られていますが、血液をサラサラにする硫化アリルは熱に弱い成分です。硫化アリルを摂取したい場合は生で食べましょう。
玉ねぎを使うときのポイント
ケルセチンは玉ねぎの白い部分よりも茶色い外皮に多く含まれています。ただし、茶色い外皮は煮ても柔らかくならないので食べるには適しません。ケルセチンを摂取したい場合は外皮をむき、白い部分をそのまま1週間ほど日光の当たるところに置きましょう。1週間ほどでケルセチンの量が2倍~3倍に増加します。
めかぶを味噌汁に使うメリット
ヨウ素の過剰摂取を防ぐ
ヨウ素は新陳代謝や子どもの成長に欠かせない栄養素ですが、摂りすぎると健康に害を及ぼすこともあります。長期にわたる過剰摂取は甲状腺機能低下症など、甲状腺の病気の原因になりうるといわれます。しかし、味噌の原料である大豆に含まれるサポニンは、ヨウ素の吸収を阻害するので、過剰摂取の防止に役立つでしょう。めかぶだけ摂るよりも、味噌汁にしたほうが栄養のバランスがとりやすいといえます。
ダイエットをサポート
ダイエットに役立つめかぶは、温かい味噌汁にすることでさらに効果がアップします。温かい汁ものを摂ることで内臓を温め、代謝が上がり脂肪の燃焼が促進されるためです。消化器が活発に働くようになり食べたものを効率よくエネルギーに変える効果も期待できます。
めかぶの保存期間は?
生めかぶは冷蔵保存で2~3日とあまり日持ちがしません。冷凍すると1カ月程度保存ができるので、食べきれない生めかぶは冷凍保存しましょう。パックのめかぶは表示の賞味期限を参考にしてください。
乾燥めかぶが便利
保存に便利なのは乾燥めかぶです。1年ほど賞味期限があり、食べる分だけ湯や水で戻して使います。乾燥めかぶは一年を通して手に入れやすいのも嬉しいポイントです。茎から外した形のまま干したものと、細かく刻まれたものがあります。刻んだ乾燥めかぶは水戻し不要で汁物にそのまま入れられるので、味噌汁の具が足りないときに重宝します。
味噌汁でめかぶを美味しく食べよう
健康やダイエットのためにめかぶを食べるなら継続することが大切です。三杯酢や漬けたれで食べるめかぶは手軽で人気ですが、ほかにもいろいろな食べ方があったほうが飽きずに続けられます。特に味噌汁はさまざまな具を使うことで変化が楽しめるのでおすすめです。ぜひ、美味しいレシピを探してください。
出典:筆者撮影