ガマズミとは
ガマズミの基本情報
スイカズラ科ガマズミ属の落葉低木
ガマズミは、スイカズラ科のガマズミ属に分類される落葉低木で、北海道から九州まで日本の山地や山里に広く自生する日本固有の種類です。樹木の高さは約4mほどまで成長します。本来は常緑多年草ですが、寒さに弱いため冬に枯れてしまうことが多く一般的には一年草として扱われます。
名前の由来が諸説ある
ガマズミという名前の由来は、中国名である「キョウメイ」が「カメ」から「カマ」「ガマ」に変化したという説や、実を噛むと酸っぱいので「噛み酢実」が訛って「ガマズミ」になったという説、実を染め物に使用していため「染め」が「ズミ」になった、など諸説あります。
ガマズミの特徴
ガマズミの特徴①枝
丈夫で折れにくい
ガマズミの若い枝は灰緑色で年数が経つと灰黒色になります。枝の表面には放射状にのびる星状毛と粘液などを分泌する腺点がありザラザラとしています。ガマズミの枝は太さが約4cmほどと細いのですが丈夫で折れにくく柔軟性があります。
ガマズミの特徴②葉
葉はギザギザの卵形で秋には紅葉も楽しめる
ガマズミの葉の大きさは、長さ約8cm~12cm、幅は約5cm~10cmほどで卵形をしています。葉の縁は細かい切れ込みでギザギザになっており、表面には羽状の葉脈がはっきりと広がり凹凸があります。葉の両面に細かい毛が生えているため触るとザラザラしています。生育場所によって秋には紅葉を楽しむこともできます。
ガマズミの特徴③花
5月~6月ごろ小さい白い花が集まって咲く
5月~6月ごろになると枝の先から花柄がのび、約5mmほどの小さい花が集まってこんもりと半球状に咲きます。白い花びらを5枚つけ、長いおしべが5本あります。花は香りが強く、開花時期には独特の香りを漂わせます。
ガマズミの特徴④実
真っ赤な果実は果実酒やジャムなどに使用される
ガマズミは花が咲き終わると、夏の終わりから秋にかけて約3mm~5mmほどの丸い果実をつけます。果実は熟すと赤くなり食べることができます。果実酒にしたり、ジャムにしたり、漬物の色付けに使用されています。実がつき始める夏の終わりごろは少し酸味が強いのですが、秋の終わりごろには甘みが増して食べやすくなります。
ガマズミの実の効果
ガマズミの実の研究
体に良い成分が多く含まれる
ガマズミはむかし、北関東や東北地方などの山岳地帯で狩りをして生活をしていた「マタギ」の人たちの非常食として重宝されていたようです。近代になって青森県の研究グループによりガマズミの実の研究がおこなわれた結果、ガマズミには体に良い成分が多く含まれていることが分かりました。
ガマズミの果実に含まれる効能
ポリフェノールやビタミンC、クエン酸など
ガマズミの赤い果肉には、「アントシアニン」と呼ばれる赤色のポリフェノールが多く含まれています。アントシアニンには、血液をサラサラにする効果や、高血圧や動脈硬化の予防、老化防止も期待できます。またビタミンCやクエン酸も多く含まれており、疲労回復や肌あれ予防もサポートします。
ガマズミの花言葉
ちょっぴり怖い?花言葉
「私を無視したら死にます」「結合」「私を見て」
ガマズミの花言葉は、少し驚いてしまうようなメッセージがつけられています。花言葉の由来は、ガマズミが花の開花から果実をつけ、紅葉するまで長い期間にわたって飽きさせることなく目を引く様子が、注目してもらおうと頑張っているように見えるところからきているようです。
ガマズミ属の種類
世界で分布しているガマズミと同じガマズミ属の種類は約150種類ほどといわれ、そのうち日本では約15種類のガマズミ属が自生しています。ここではよく見かけられるガマズミ属の種類を紹介します。
トキワガマズミ(ビバーナム・ティナス)
「ビバーナム・ティナス」とも呼ばれ、青い実をつける
トキワガマズミの原産地は東アジアや南ヨーロッパです。学名の「ビバーナム・ティナス」でも呼ばれています。ガマズミに比べて葉の大きさは約7cmと小さめで先がとがった楕円形をしており、葉の表面は葉脈が少なく光沢があります。つぼみはピンク色をしていますが、白い花を咲かせます。卵形の果実は青色で光沢があります。
トキワ(常葉)ガマズミは常緑性
トキワガマズミは、落葉するガマズミとは違い常緑性の種類であるため、名前には「常緑」を意味する「トキワ(常葉)」がつけられています。トキワガマズミは切り花としても人気があり、「ビバーナム・ティナス」の名前で多く流通しています。
ミヤマガマズミ
ガマズミと見た目がよく似ている
ミヤマガマズミは、ガマズミよりも山の奥で自生するため「深山(ミヤマ)ガマズミ」と名前がつけられました。ミヤマガマズミも花の色が白く赤い実をつけます。ガマズミとよく似ていますが違いは葉の形で、ミヤマガマズミの葉は先が長くとがりひし形に近い形をしています。実は食べられますが、味はあまりよくありません。
まとめ
ガマズミは、白い花や赤い実がかわいらしく、育てやすいこともあり品種改良がすすみ最近では家庭でも庭木として栽培されはじめています。ガマズミ属の実は色の種類がありますので、色の違いを楽しんで育ててみるのもいいかもしれません。
出典:写真AC