リョウブの利用法
古くから、リョウブには飢饉の際の食用植物として栽培されてきた歴史がありますが、本来は日本全国の山林に自生する身近な落葉樹です。そんなリョウブには幹・葉・花に独特な特徴があるため、日本にはリョウブを普段使いする利用法がたくさんあります。
利用法①食用
リョウブの若葉は春の山菜としても有名です。茹でたリョウブの若葉はおひたし、あえ物、炒め物などにできます。また細かく刻んでご飯に混ぜると、しゃきしゃきした食感が楽しめる令法飯(リョウブメシ)になります。ほかの山菜と同じように、薄く衣をつけて天ぷらにする食べ方もおすすめです。
リョウブの若葉は長期保存できる
飢饉時の救荒植物として有名なリョウブは、摘んだばかりの若葉を加熱すると長期保存できます。リョウブの若葉は灰汁が強いのですが、茹でるまたは蒸すと灰汁が抜け食べやすくなります。ただし、そのままの状態では数日しか保存できないため、天日干しで乾燥させてから保存します。
利用法②木材
リョウブの木は丈夫で、木材として利用できます。樹皮は成長すると古い部分が自然に剥がれ落ちますが、樹皮を残しても幹は割れにくいため、樹皮を生かして木材にする方法も人気です。またリョウブの新しい樹皮を残して幹の表面を薄く削ると趣きのある床柱に、樹皮をすべて削ればつややかで丈夫な木材になります。
利用法③庭木
リョウブは時期によって表情が変わるため、庭木として人気があります。リョウブを庭木にすると若葉の時期に山菜狩りが楽しめ、夏の開花時期には白い花が庭を彩ります。秋には鮮やかな紅葉の時期を迎え、冬は寒さに耐える姿が美しいです。リョウブを庭木にするだけで、四季折々の景色が楽しめます。
冬芽は別名「ナポレオンハット」
リョウブの冬芽は「ナポレオンハット」と呼ばれます。冬の季節にしか見られない貴重な姿です。冬芽の形は開き具合で変わるため、ナポレオンハットの形も日々変化します。そんな小さな変化を身近に楽しめるのも、リョウブを庭木にする魅力の1つです。
利用法④花材
リョウブは花が少ない夏の季節に開花時期を迎えるため、夏の花束やフラワーアレンジメントの花材としても人気があります。リョウブの花1輪はとても小さいですが、花穂のように密集して咲くため、リョウブの花を1枝加えるだけで華やかさとボリュームが出ます。
リョウブとサルスベリの違い
地域によっては「サルスベリ」とも呼ばれるリョウブは、木肌や樹皮などの見た目がサルスベリによく似ているため見分け方が難しいです。しかも開花時期の違いから判断する見分け方も、リョウブとサルスベリの場合はあまり有効ではありません。そこで初心者にも簡単にできる見分け方を紹介します。
①花の色の違い
リョウブとサルスベリは、花の色で見分けられます。リョウブの花の色は白のみですが、サルスベリは赤・ピンク・白があり、赤やピンクの花の場合はサルスベリであると判断できます。ただし白い花の場合は色だけでは見分けられません。初心者には難しいといえるでしょう。
②花弁の形の違い
花の色が同じリョウブとサルスベリは、花弁の形の違いで見分けられます。リョウブの花は梅のような形ですが、サルスベリの花はちりめんのように縮れているため、花弁の形に注目すれば初心者でも簡単に見分けられます。
③生息域
リョウブとサルスベリの見分け方には、生息域の違いに注目する方法もあります。リョウブ・サルスベリともに耐暑性が強いですが、耐寒性は種類によって違います。リョウブは耐寒性も強く、北海道でも一部地域で自生していますが、サルスベリの耐寒性はそれほど強くありません。冬に積雪する地域では、サルスベリは生息できないのです。
④利用法
リョウブとサルスベリを、利用法の違いで見分ける方法もあります。リョウブは食用・木材のほか、季節を感じられる庭木としての利用法もあります。ところがサルスベリは基本的に食用ではなく、木材としてもあまり使われません。さらに観賞用として栽培することもありますが、主な利用法は街路樹です。
まとめ
リョウブは耐暑性・耐寒性にも優れた落葉樹で、日本全国で栽培が可能です。本来は大きく成長するリョウブですが、栽培方法を工夫し樹高を管理すれば限られたスペースでの栽培もできます。さらに時期によって食用・木材・花材として利用できるため、栽培しながら自分だけの楽しみ方を見つけるのもおすすめです。
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