渋柿とは?
渋柿とは、その名のとおり熟したあとも渋みの原因であるタンニンが残っている柿のことです。渋柿といっても、比較的糖度が高く15〜18度ほどある種類もあります。甘味は感じられますが、渋みのほうが強いのが渋柿の特徴です。そのため、渋柿は店頭に並ぶ前に、品種にあったいろいろな方法で渋抜きされています。
渋柿の種類
柿は古くから日本で栽培されている馴染み深い果物です。近年では品種改良が進んで、現在の柿は1000種類ほど確認されています。そのため、渋柿にも多くの種類があり、いろいろな品種が日本各地で育てられています。ここでは、その土地と気候にあう方法で栽培されているメジャーな渋柿を2つ紹介します。
平核無柿(ひらたねなし柿)
平核無柿(ひらたねなし柿)は、新潟県原産の柿です。ほかにも山形県や和歌山県で生産されており、地方によって呼び名が異なります。名前についているように種がないため、食べやすいのが特徴です。平核無柿は渋柿ですが、脱渋をしたあとはとても果汁が豊富で甘みが強く、固すぎず柔らかすぎないほどよい食感を楽しめます。
身不知柿(みしらず柿)
身不知柿(みしらず柿)は、古くから福島県の会津で栽培されている柿です。ユニークな名前の由来は諸説ありますが、有力な説として「身のほどを知らず食べすぎてしまうくらいにおいしいから」といわれています。現在では皇室に献上されているほど、おいしさに太鼓判が押されています。身不知柿を一度食べるとほかは食べられないといわれるほど、人々を魅了する柿です。
渋柿と甘柿の違い
驚くことに生果の柿のもとは、すべて渋柿でした。しかし、突然変異が起きてから品種改良を重ねたことによって、甘柿が生まれたといわれています。この2つを分類するキーワードが、渋みの原因であるタンニンです。どの柿にもタンニンが含まれていますが、甘柿は熟するにつれてタンニンが水に溶けてなくなります。そのため、渋みが感じなくなり甘みが残るという仕組みです。
渋柿と甘柿の見分け方
渋柿と甘柿を見分けるには、種の有無と果実の形の大きく2つの方法があります。品種によっては当てはまらない場合がありますが、意外に簡単にできる渋柿と甘柿の見分け方を紹介しましょう。
種の有無
渋柿と甘柿を見分けために大切なポイントは、種があるかないかです。柿を切ったときに、種の周りに黒くぶつぶつとしたゴマのようなものがある場合は、甘柿です。このゴマのようなものが、食べたときに甘味を感じる部分です。そのため、種の周りにできるゴマが多ければ多いほど甘く感じられます。しかし、近年は種がない品種が人気を集めており、品種改良によって甘柿でも種なしの場合があります。
果実の形
渋柿と甘柿は、果実の形でも見分けられます。一般的に渋柿は、先が尖っていたり、平べったく四角い形をしています。一方で甘柿のほうは、厚みにボリュームがあって丸い形をしているのが特徴です。手に取ったときに、重量も甘柿のほうがずっしり重く感じます。また、甘柿を選ぶときは、実は柔らかいものよりも少しかためで、皮のつやと張り、色のいいものを選ぶのがポイントです。
渋柿の渋抜きの方法
渋柿の渋抜き方法は、アルコールを吸収させる方法、ドライアイスを使う方法、干し柿にする方法の3つがあります。どの方法でも、苦味成分であるタンニンを取りのぞくことが大切です。タンニンは水に溶ける物質なので、その性質を活かした方法で行います。
アルコールを使うやり方
- 柿のへたをアルコールに浸す
- 果実の部分についたアルコールを優しく拭きとる
- 柿を密封できるビニールに入れて閉じる
- ビニールに入れた柿を、さらに密封容器にいれてフタをする
- 冷蔵庫や冷暗所で1〜2週間ほど置くと完成
ドライアイスを使って渋抜き
- ダンボールや箱の中に厚手のビニールを引き、その中にへたを上にして柿を並べる
- 並べた柿の上に新聞紙を引く
- 準備しておいたドライアイスを、新聞紙の上に置く
- ビニールの口をとじ、掃除機で中の空気を吸いだす
- 密封状態になったらビニールの口を強く結ぶ
- 日光が当たらない場所で5〜7日ほど置くと完成
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干して渋抜き
- へたのついている方から下にむかって柿の皮をむく
- 煮沸消毒するためお湯に皮をむいた柿をくぐらせる
- 2個で1組にするように、柿のへたを長めの紐で結ぶ
- 風通しがいい軒下に結んだ柿を干す
- 表面が乾いてきたら、種離れをよくするために優しく揉む
- 好みの柔らかさになったら完成
渋柿の食べ方
渋柿はそのまま食べると渋みがダイレクトに感じられますが、少し手を加えるだけで格段においしく味わえます。それだけではなく、含まれているカリウムやビタミン、食物繊維などの栄養素が、加熱すると増えるのも柿の特徴です。渋柿ならではのおいしさを活かしながら、健康成分をたっぷりとれるレシピを3つ紹介します。
食べ方①かき揚げ
材料
・渋柿:1個
・人参:1/2
・玉ねぎ:小1個
・ピーマン、ゴボウなど:お好みで
・☆小麦粉:50〜70g
・☆冷水:50mL
作り方
- 材料をすべて千切りにする
- ボウルに材料と小麦粉をいれて、全体がよく絡むように混ぜる
- 小麦粉がトロっとするくらいまで冷水を少しずつ加える
- できあがったタネの形を整えて、高温の油で揚げる
食べ方②干し柿の甘酢和え
材料
・かぶ:2個
・干し柿:2個
・りんご酢:大さじ2
・砂糖:小さじ1
・白だし:小さじ1
・白ごま:小さじ1
・塩:小さじ1/2
作り方
- かぶをスライサーや包丁を使って薄切りにする
- 干し柿の種を取りのぞき千切りにする
- ボウルに調味料を入れて混ぜる
- 3に材料を加えて10分ほど置く
食べ方③柿バター
材料
・干し柿:1/4
・ラム酒:大さじ1
・バター:100g
作り方
- バターをあらかじめ常温に戻しておく
- 干し柿を荒みじん切りにする
- 2にラム酒を混ぜて、10分ほど置く
- バターをクリーム状になるまで混ぜる
- 4に3を加えてよく混ぜ、ラップの上にのせて棒状に成形する
- 5の両端をとめて数時間冷凍庫で固める
まとめ
秋になると、柿があちらこちらに実っているのがよく見かけられます。一見ほとんど同じように見える渋柿と甘柿ですが、見分け方がわかると間違えることもなく安心ですね。渋柿は普通の柿のようにそのまま食べてもいいですが、工夫しだいでさまざまな料理に使って味わえます。おいしいだけでなく、体にとてもいい栄養素が多く含まれていますよ。ぜひ、積極的に食べましょう。
出典:写真AC