はじめに
黄色く色づき、甘くいい香りを漂わせる完熟梅。たくさん手に入って使い道に迷ったことはありませんか?梅は昔から保存食として、梅干しや梅酒、シロップやしょうゆ漬けなど、さまざまな用途に使用されてきました。現在でも夏前の梅の季節になると、梅を保存食に加工する「梅しごと」を楽しむ人も多いようです。
梅の種類と「小梅」
梅は種類が多く、現在では300種以上あるといわれていますが、大きく分けると花を観賞する「花梅」と、実を食用にする「実梅」に分けられます。実梅には「南高梅」「豊後梅」「古城梅」「小梅南高」などさまざまな種類があります。
また、成熟の度合いや大きさによっても区別され、未成熟な青いものを「青梅」、甘い香りを漂わせる黄色いものを「完熟梅」、そして小さい粒の種類を「小梅」と呼んでいます。
小梅の利用方法
青い大梅が出回る少し前に収穫される小梅。小梅は通常、梅干しに加工されることが多く、青い小梅はカリカリ梅に、黄色いものは梅干しに利用されています。この理由として、小梅は「果肉が少ない」のでエキスがあまり出ず、梅酒や梅シロップには適さない、という意見が多くあるようです。
完熟小梅で作る梅干しの漬け方レシピ
まず、加工用途として、梅干しの漬け方をご紹介します。以下に引用したのは、NHK「きょうの料理」で2005年に紹介された「失敗なしの梅干し」のレシピです。工程は多いですが、塩と砂糖をしっかりと使ってるので、管理も難しくなくマイルドな味わい、まさに「失敗なし」のおいしい梅干しができあがります。
失敗なしの梅干し(※作りやすい分量)
【塩漬け】
- 梅…2kg
- 塩…360g(重さの18%)
- 砂糖…72g(塩の重さの20%)
【赤じそシロップ】
- 赤じそ…400g
- 砂糖…800g
- 酒石酸…25~30g
- 水…3カップ
お気に入りの配合を探してみよう
梅干しに使われる材料の配合は漬ける人それぞれで、インターネット上にも数多くのレシピがあります。はちみつを使ったり、干した後塩抜きをして、調味液で再度味付けをしたりと、その漬け方や食べ方も人それぞれです。お好みのレシピを探してみるのも、とても楽しいものですね。
完熟小梅でおいしい梅酒と梅シロップを手作りしよう!
小梅は梅干しに向いていると分かってはいても、手間や好みの問題で作れないこと、ありませんか?
いつか挑戦してみたいけど、今年は赤じその準備や、天日干しの時間が取れないかも。
子どもでも飲みやすい、梅ジュースにしたいな…。
そんな時は、作業工程の少ない梅酒や子どもでも飲める梅シロップがおすすめです。通常、成熟していない大きな青い梅を使って作ることが多い梅酒や梅シロップですが、実は完熟梅や小梅を利用して作っている方もいます。完熟梅を使うと、仕上がりがよりフルーティーになる、という声もありますよ。
梅酒や梅シロップには、黄色い小梅は不向きといわれますが、実際にはどうなのか、今回は1kg分の小梅を半分に分けて、手作り梅酒と梅シロップに挑戦してみます!作り方は簡単ですので、お子様のいる家庭では一緒に作ってみてはいかがでしょうか。手作り梅酒と梅ジュースで乾杯できたら、素敵ですね。
次ページから梅酒と梅ジュースの仕込み開始です!
完熟小梅の梅酒の作り方①下準備
まずは梅の下準備から始めましょう。梅酒や梅シロップ以外にも、梅を加工する場合には、必ず行われる作業です。小梅の場合は数が多くなるため、少し手間に感じるかもしれませんが、この工程をていねいに行うことが成功への近道です。
梅を水洗いする
梅を選別する
梅のヘタ取り
小梅の下準備完了!
下準備のポイント
- 水気は厳禁!しっかりと乾燥させよう
- 傷や黒ずみなど、傷んだものは取り除く
完熟小梅の梅酒の作り方②瓶の消毒
梅酒と梅シロップを漬ける容器も下準備が必要です。しっかりと密閉できて、酸にも強い瓶の容器がおすすめです。洗ったらきちんと乾燥させます。ここでも水分は厳禁です。
アルコールで消毒
瓶が大きく、煮沸消毒が難しい場合は、アルコール消毒が便利です。食品にも使えるアルコールスプレーを瓶の中全体に吹きかけて、キッチンペーパーなどで拭き取れば手軽に消毒できます。パッキンや蓋の消毒も忘れずに行いましょう。今回は分量外のホワイトリカーで代用しました。
瓶の消毒のポイント
- 水分を残さない
- カビ予防のため、瓶や蓋をしっかりアルコール消毒する
完熟小梅の梅酒の作り方③材料と漬け方
今回は使用した瓶と一緒についていた、基本の梅酒の作り方で梅酒を作ってみます。甘い香りの黄色い小梅がどのように変身するのか、楽しんでご覧ください!
梅酒の材料
砂糖について
砂糖はお好みで分量を調節できます。梅酒はレシピが多く、材料の使用量もそれぞれですが、梅のエキスがしっかり出すためには、砂糖を減らしすぎない方がいいようです。何度か作ると好みの配合が見つかるかもしれません。グラニュー糖やきび砂糖など、氷砂糖以外の砂糖も使えますが、なるべく溶けにくい砂糖を使うといいようでしょう。砂糖の代わりに、はちみつを使ってはちみつ梅酒を作ってみるのもいいですね。
お酒の種類
ホワイトリカーは梅の香りや風味を楽しむのにはぴったりですが、焼酎やウイスキー、ラム酒やブランデーなど、お好きなアルコールでも作れます。シンプルな梅酒とは違うものを作ってみたい時、ウイスキーやブランデーなど普段から好きなお酒がある場合は、そちらで漬けてみるのも面白いですね。アルコール度は、高い方が失敗は少ないです。また、アルコール度数20度未満のものは、違法になるので気を付けましょう。
梅の漬け方
1ヶ月ほどで飲めるようですが、梅のエキスがしっかり出るまでには3ヶ月はかかるとのことです。半年~1年と長期間置く人も多いですよ。
出典:写真AC