シャラの木(夏椿)の特徴とは?
庭木の中でも人気のシャラの木について、特徴、花言葉、害虫と病気についてまとめました。
ツバキとよく似ている
シャラの木(シャラの樹、シャラノキとも)は、梅雨の6月ころに直径5~6センチほどの白い花を咲かせます。ツバキと特にているので、「夏椿」ともいわれます。最近では品種改良により、薄く桃色がかった花もでてきました。秋には赤く紅葉し、その燃えるような姿も美しく目を引きます。
シャラの樹は樹皮も美しい
シャラの木は幹の美しさにも独特な趣があります。樹皮は自然と少しずつ剥がれ、幹の褐色がまだら状に現れてきます。シャラの木の花だけではなく、その美しい樹皮を活かして庭木として、庭園で寄せ株仕立てにして楽しむこともでき人気です。
病害虫に強く、自然樹形で揃う
病気や害虫には比較的強く、また剪定をせずに枝をそのまま伸ばしていても、自然ときれいな樹形にまとまります。枝が混んできたら剪定しても構いません。枝は挿し木にも利用できます。
樹高はおよそ10メートルで、簡単に管理できる!
シャラの木の管理の難易度は低く、公園や庭木として利用されています。樹高はおよそ10メートルまで成長し、樹形は広円錐形となります。耐寒性はやや弱く、東北以南で育つことができます。耐暑性は高いといえますが、乾燥は苦手であるため、枯れないよう強い西日の当たる場所に植樹することは避けたほうが良いです。東北以北の地域ではシャラの木を庭木とするのは難しいですが、若木のうちから鉢植えとして育てていくことができます。
シャラの木の花言葉は?
シャラの木(夏椿)にはいくつかの花言葉があります。
花言葉① 愛らしさ、愛しい人
沙羅花からは、白く可憐な花をつけるため愛らしい印象を受けます。雨が続く時期に、庭に白い花がパッと開いているのを見つけたら、うれしくなりませんか?
花言葉② 哀愁、儚い美しさ
シャラノの花は朝開き、夕方には花の根元から落ちてしまいます。せっかく咲いたのにと寂しさを感じるかもしれません。そういった儚さにより、より一層強く愛らしさが強く感じられるかもしれません。
シャラの木とヒメシャラの違いは?
ヒメシャラとは?
シャラの木(沙羅の木)によく似たものに「ヒメシャラ」というものがあります。違いといえば、それぞれの花の大きさです。
シャラの木とヒメシャラの違いは?
ヒメシャラの花の大きさは2~3cmほどなのに対して、シャラの花は5~6cmになります。葉の大きさも、シャラの木(沙羅の木)のほうが大きく、幹の色合いも少し異なります。また、花弁の形をよく見てみると、シャラの木の花のほうがヒラヒラと波うっているという特徴があります。どちらも古くから日本にあり愛されてきた花であり、仏教文化とも相まって、大切な庭木とされてきました。
シャラの木と椿の違いは?
シャラの木の花が6月ごろに開花するのに対して、椿は9月から4月の間に咲きます。椿は海岸近くの丘陵地などに自生します。シャラノキよりも耐寒性が強く、葉は硬く先がとがっており、色が濃い常緑広葉樹です。また、シャラの木は品種が多くありませんが、椿はツバキ亜目ツバキ節のワビスケなどを含む多くの品種の総称で、さまざまな色や形があります。
シャラの木と寒椿の違いは?
ここでももうひとつ。寒椿とは園芸品種名で、サザンカとツバキを掛け合わせたものです。街路樹などとしても用いられます。鑑賞期は12月から3月ころで、常緑の低木種であり、立寒、緋乙女、朝倉、富士の峰があります。
開花時期に違うがある
シャラの木の開花が梅雨の6月ですから、季節が全く異なっているため不思議な感覚がありますね。寒い地域に暮らす人々にとっては、雪の降る時期にみる紅い寒椿とは違い、沙羅の木は花を楽しむ時期が暖かいのでゆっくり、じっくりと観察できるという楽しみがあります。
シャラの木と平家物語の関係は?
沙羅双樹(さらそうじゅ)とは
沙羅双樹(さらそうじゅ・しゃらそうじゅ・サラソウジュ)とは、インドの高地に自生する高木です。仏教では3大聖木のひとつとされています。見た目はシャラの木によく似ていますが、日本では自生できません。
沙羅双樹とシャラの木は異なる
沙羅尚樹の花の色 盛者必衰の 理をあらはす (『平家物語』より)
沙羅尚樹は、平家物語に上記の句などで登場しますが、『平家物語』で沙羅花とされたものは、シャラの木の花だったと考えられています。きれいに咲いた沙羅花が1日で地面に落ち、そのまま色あせてしまう様子は、現在でも花言葉の「儚い美しさ」として知られています。
シャラの木の害虫と病気対策
シャラの木の害虫について
シャラの木によくみられる害虫被害としては、カミキリムシによるものがあります。カミキリムシの成虫は幹を傷つけて産卵し、孵った幼虫が幹の中を食い荒らしてしまうと木が弱り枯れてしまう可能性があります。他にはアザミウマ、カイガラムシ、アブラムシ、チャドクガによる被害も起こることがあり、シャラの木の枝や葉などもよく観察して、弱ったり枯れたりしないように管理が必要になります。
シャラの木の病気について
シャラの木の葉に、うどんこ病やカビによる病気が発生することがあります。原因としては日照不足や風通しの悪さがあります。シャラの木を植樹する際には密にならないようにしたり、日陰になり過ぎないようにします。病気に対しては、殺菌剤の使用で予防、改善できるため、すぐに枯れるといようなことはありません。
シャラの木についてのまとめ
梅雨の時期になると、淡い緑の葉が風に揺れ、可憐な花が開きます。また、樹皮と幹の色合いの美しさを兼ねるのは、シャラの木ならでは、です。雨粒に打たれながら咲く花と、潤いを得て表情を変える幹の色合いも美しいものです。秋にはきれいな紅葉も楽しむことができる庭のシンボルツリーとなります。古に思いをはせながら、シャラの樹をご覧になってみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC