野菜の日照分類
野菜や植物を育てる上で、日照は大事です。野菜の日照の分類は、直射日光を好み日陰では育たない「陽生植物」、半日陰から日陰を好む「陰生植物」。そして、双方の中間である「半陰生植物」の3つに分類されます。
①陰生植物
陰生植物(いんせいしょくぶつ)とは、1日の日照時間が1~2時間以下の日当たりの悪い日陰でも生育が可能な植物の事をいいます。陰生植物で代表的なものは、ドクダミや、コケ、シダ植物が有名です。陰生植物である野菜については後ほどご紹介します。
②半陰生植物
半陰生植物(はんいんせいしょくぶつ)とは、1日の日照時間が半日(3~4時間ほど)でも育つことのできる植物の事をいいます。午前中だけ日が当たる、午後だけ日が当たる、と言った場合も該当し、木漏れ日程度の日照でも育つことができます。
半陰生植物の一例
半陰生植物と言われる野菜は以下のとおりです。※一部を抜粋
いちご | ほうれん草 | 小松菜 | レタス |
かぶ | じゃがいも | さといも | ねぎ |
春菊 | アスパラガス | しょうが |
③陽生植物
陽生植物(ようせいしょくぶつ)とは、日当たりの強い場所を好み、1日中(およそ6時間以上)日が当たる環境を好むため、日陰では育たずに枯れてしまいます。ほとんどの種類の野菜がこれに該当するといわれています。
陽生植物の一例
陽生植物といわれる野菜は以下のとおりです。※一部を抜粋
トマト | なす | ピーマン | 落花生 |
きゅうり | すいか | とうもろこし | 人参 |
さつまいも | 大根 | メロン | 玉ねぎ |
かぼちゃ | そらまめ | いんげんまめ |
なぜ日当たりが悪くても育つ?
なぜ陰生植物は、日陰でも育つのでしょうか?それは、植物に必要不可欠な光合成に関連してきます。植物は、太陽光を浴びることで光合成をし、成長していきますが、陰生植物、陽生植物はもともと持っている性質が異なり、光飽和点と光補償点がポイントになります。
光飽和点と光補償点
光飽和点とは
光飽和点(こうほうわてん)とは、光の強度が上がり飽和状態になることです。光が強くなることで、光合成の速度が速まります。飽和状態とは、最大限まで満たされているという意味なので、光飽和点が高い、とはもうこれ以上の光は不要だという点が高いという事です。この光飽和点が高いほど、光の強度を必要とするという意味です。
光補償点とは
光補償点(こうほしょうてん)とは、光量が増して真の光合成速度が呼吸速度に等しくなることをいいます。光補償点が高いということは、光が強くないと光合成速度よりも呼吸速度が増してしまい、植物は枯れてしまいます。光補償点が高ければ高いほど、光量が必要になる、ということです。
陽生植物と陰生植物の違い
陽生植物の性質
陽生植物は、日当たりのいい場所で光合成が進みます。陽生植物は、もともと持っている葉緑体の数が多く、「光飽和点」と「光補償点」が高いです。そのため、栽培するには日当たりのいい場所が必要です。
陽生植物の性質
- 葉緑体が多い
- 光飽和点、光補償点が高い
- 日光を好む
陰生植物
陰生植物は、もともと葉緑体が少なく、呼吸速度が小さいです。「光飽和点」、「光補償点」が低いため、少しの日当たりで光合成が可能です。そのため、栽培には直射日光の当たらない、半日陰や日陰を好む性質があります。
陰生植物の性質
- 葉緑体が少ない
- 光飽和点、光補償点が低い
- 日陰、半日陰を好む
日陰で育つ野菜・ハーブ10選!
陰生植物と陽生植物の違いがはっきりとしたところで、ここからは、半日陰や日陰を好む陰生植物の野菜や、ハーブを紹介します。日当たりの悪い環境でも家庭菜園が可能なので、ぜひ参考にしてください。
日陰で育つ野菜①フキ
基本情報
植物名 | ふき(蕗) | 科名 | キク科フキ属 |
多年/宿根 | 宿根多年草 | 草丈 | 30~300cm |
原産地 | 日本、樺太 | 収穫時期 | 6月~10月 |
耐寒/耐暑 | 強い/弱い | 連作障害 | - |
ふきは、半日陰を好む、日本原産の山菜です。宿根草なので、毎年同じ場所での収穫が可能です。直射日光や土が乾燥する環境は苦手なので、半日陰かつ湿潤な場所で栽培しましょう。ふきもベランダなどでプランター栽培は可能ですが、乾燥に弱いことと、宿根草のため露地栽培に向いています。
日陰で育つ野菜②みょうが
基本情報
植物名 | みょうが(ミョウガ) | 科名 | ショウガ科ハナミョウガ属 |
多年/宿根 | 宿根性の多年草 | 草丈 | 40~100cm |
原産地 | 東アジア | 収穫時期 | 9~10月(1年目) 7月~8月(2年目以降) |
耐寒/耐暑 | やや弱い/やや強い | 連作障害 | 植え替え時1~2年避ける |
みょうがは、日当たりの悪い庭の隅でもしっかりと育つ、半日陰や日陰を好む野菜です。乾燥に弱いため、露地栽培に向いています。日当たりの悪いベランダで、プランター栽培も可能ですが、毎日しっかり水やりをしましょう。みょうがは芽の部分を食べますが、葉茎の部分は乾燥させて入浴剤にすることもできます。
出典:写真AC