シンボルツリーとして人気のハイノキ
ハイノキとは、日本の近畿以西に自生する常緑樹です。涼しげな葉や野趣あふれる枝張りが魅力で、近年シンボルツリーとして高い人気を誇っています。成長が穏やかで、樹高も4m程度までと大きくなりにくいため、狭いスペースでも育てられる庭木です。繊細な見た目に反して、丈夫なことも魅力ですよ。
基本情報
名前 | ハイノキ(灰の木) |
別名 | イノコシバ(猪の子柴) |
園芸分類・形態 | 常緑樹・庭木 |
原産地 | 日本(近畿以西の本州、四国、九州) |
樹高 | 3m~4m |
開花時期 | 4月~5月 |
花の色 | 白 |
名前の由来
ハイノキとは、漢字で「灰の木」と書きます。これはかつて、ハイノキの幹や葉を焼いて出た「灰」を使って染めものをしていたことが由来です。「灰色の染料になる木」という意味で「ハイノキ」と名付けられました。また、別名の「イノコシバ(猪の子柴)」は、狩りで捕獲したイノシシを縛るときに、丈夫なハイノキの枝を使ったためといわれていますよ。
ハイノキの特徴
花の特徴
ハイノキは4月~5月にかけて、ギンバイカ(銀梅花)に似た白く可憐な花を咲かせます。平たい花びらは5枚で、雄しべがとても長いのが特徴です。その個性的な花姿は、まるで線香花火のようにも見えますね。開花時期にはこの花を枝いっぱいに咲かせるため、遠くから見てもよく目立ちます。あざやかな緑色の葉と、純白の花のコントラストも美しいですよ。
実の特徴
ハイノキは開花時期を終えたあと、8月~9月にかけて黒紫色の実をつけます。人間は食べられませんが、野鳥にとっては貴重な食糧です。ハイノキの実を求めて野鳥が訪れるようすは、とても心和む光景ですよ。実の色は、季節が進むにつれて黒紫色を濃くしていきます。ハイノキが人気の植木なのは、こうして花を楽しんだあとも実の観賞を楽しめるからです。
開花時期
ハイノキの開花時期は、春爛漫の4月~5月です。ほかの植木と比べると、ちょうどサクラが終わったころに開花を始めます。白く清楚な花を楽しんだあとは、8月~9月に実を、そのあとは常緑の葉を観賞します。病気になりづらく、落葉することもないハイノキは、シンボルツリーとしておすすめの植木ですよ。
ハイノキは縁起がよい?
ハイノキは縁起がよい庭木として近年人気が高まっていますが、根拠については定かではありません。ハイノキの持ついくつかの特徴から、なぜハイノキが縁起がよいとされているのか考察してみましょう。
考察①日陰に強い
ハイノキは枝葉が細く、半日陰の環境でも元気に育つ植木です。日当たりの悪い北側にも植えられる、貴重な植木のひとつですよ。また風水学上では、北側に地植えするなら、白やオレンジ、ピンクの花の咲く植木がよいとされています。白い花を咲かせるハイノキは、まさにぴったりだといえるでしょう。
考察②成長が遅い
成長が早い植木は、縁起が悪いといわれています。これは家が木の陰に入って日当たりが悪くなることによって、病気の原因となるカビが繁殖しやすくなるためです。この点においても、成長の遅いハイノキは縁起がよいと考えられます。剪定して枝張りを整える手間が少ないのは、栽培するうえでのメリットでもありますね。加えてハイノキは樹高もあまり大きくならず、狭い庭でも育てやすい植木です。
ボタニ子
成長の早いビワの木は、縁起がよくないといわれる代表格です。
考察③樹皮がつるつるしていない
縁起の悪い庭木としては、「樹皮がつるつるしている」という特徴も挙げられます。有名なのがサルスベリ(百日紅)です。古い樹皮の剥がれた美しい幹はサルスベリの魅力のひとつですが、風水では「災いを招く」として避けられている特徴ですよ。一方でハイノキの幹は、やわらかな色合いが美しい、さらさらとした手触りをしています。こうした特徴も、ハイノキが縁起がよいといわれる理由のひとつかもしれませんね。
考察④常緑である
「常緑樹である」という点も、ハイノキが縁起がよいとされる理由かもしれません。たとえば松は冬になっても美しい緑色の葉を保っていることから、「長寿」や「長く続くこと」の象徴です。同じく常緑樹のハイノキも、寒い季節でも葉を落としません。多少色あせはするものの、冬でも瑞々しい緑色の樹姿が楽しめるのは、シンボルツリーとしてもおすすめの特徴ですね。
出典:写真AC