ダブルデッカー/トリプルデッカー秋植えの準備
秋のデッカー植えにおすすめの球根
秋植え球根が店頭に並ぶのは9月~10月のみです。花苗と違い購入できる時期が限られています。球根は開花後の姿を予想し、開花時期や花苗とのバランス、必要数をあらかじめ計算して購入しましょう。
チューリップ
秋植え球根の定番のチューリップは、10〜12月ごろに植え付けます。チューリップは種類が豊富で咲く時期もさまざまです。丈が30〜40cmになるものが扱いやすくおすすめです。丈が高すぎると、鉢やコンテナに浅めに植えたときに安定しにくくなります。支柱が必要なほど丈が高くなる球根植物はデッカー植えに不向きです。
地植えの場合、チューリップの球根の上に球根2つ分が乗るほどの深さに植え付け、隣の球根とも球根2つほど間を空けます。コンテナや鉢植えの場合は浅めに植えつけます。密植気味に植えたほうが見栄えがよいです。
クロッカス
秋植え球根のクロッカスの開花はチューリップより早めです。花丈が10cmほどと低めで、丈が高めの花苗や球根と組み合わせたり、ほかの草花の手前に植え付けたりするとバランスが取れます。球根は頭が少しのぞくほどに浅めに植え付けましょう。地植えの場合、放っておくと通年芽を出します。
ムスカリ
群植が美しいムスカリは、11月の植え付けがおすすめです。10月に植え付けると花に対して葉が長くなり、見ばえがいまいちです。開花は3月で早咲きのチューリップと時期が合います。淡い色のムスカリは、花が終わると色あせが目立ちます。開花や花を切り落とす時期を計算して、ほかの草苗と植え付けましょう。
ヒヤシンス
開花が3月〜4月のヒヤシンスは、10月〜11月に植え付けましょう。丈が20cmほどですが花はボリュームがあり、花壇や鉢の主役になれる豪華さです。可憐で控えめな花苗やリーフとの相性がよいものの、ヒヤシンスの花が終わると一気に鉢や庭が寂しく感じるかもしれません。ヒヤシンスは深く根をはるため、鉢植えの場合は浅めに植えつけます。
秋植え球根はいつまでに植えればいい?
秋植え球根は、紅葉の時期、遅くても年内までに植え付けましょう。地中で寒い冬を越えないと開花しない場合もあり、ある程度植え付け時期が自由な花苗と扱いが異なります。
ボタニ子
9月と10月以外に、1月にポットに入った芽出し球根がお店に出回るけど、デッカー植えには向かないのよね。
デッカー植えにおすすめの苗
季節を象徴する球根の花に対し、花苗は冬を越して初夏まで長期間咲き続けるものも多く、切り戻して何度も開花を楽しめます。
ビオラ
繰り返し咲き返すビオラやパンジーは、デッカー植えの上部に植え付けるのに最適です。花柄をつんで世話をすれば、球根が開花するころに合わせてボリューミーに成長します。ビオラやパンジーは根が細く浅く、球根が成長するのを阻害しません。花色が豊富で、球根との組み合わせもバリエーションに富みます。
アリッサム
白や紫のアリッサムは小さく可憐な花をたくさんつけ、豪華な球根植物を引き立てます。根が浅く、球根と相性がよいですが、ビオラに比べてやや寒さに弱いのが欠点です。球根は寒さにあてないと開花しないためデッカー植えの鉢を室内に取り込むのはおすすめしませんが、雪や霜でアリッサムが枯れないよう注意しましょう。
クリスマスローズ
クリスマスローズの花は、実は花弁でなくがくであるため、もちがよく観賞期間が長めです。寒さに強く強健なクリスマスローズですが、長期間変わりばえせず単調に感じるかもしれません。丈が低く可憐な花をつける、クロッカスやハナニラなどの球根と一緒に植え付けるのがおすすめです。春の訪れと共に風景が様変わりして素敵ですよ。
ヒューケラやアイビーなどの葉物
葉物は球根の発芽と成長を妨げないように、花苗を密に植え付けるのは避けたいところです。また、花苗が春にひと回り大きくなるのを想定し、間隔をあけて植え付けると土が目立つ場合があります。冬越えの可能なアイビーやリシマキアなどのつる性の植物は、土を自然にカバーできて便利です。花苗や球根が成長する春には、鉢からつるを引き出して垂らしてボリュームを調整できます。
カレックスやヒューケラなどのリーフプランツは耐寒性があり、シルエットに変化がつくためおすすめです。球根の成長を待つ冬の時期に、鉢のボリュームの少なさを補います。またカラーリーフは彩りのアクセントになり、花の少ない時期の印象を引き締めるためぜひ取り入れましょう。
セダム
人気のセダムも、デッカー植えのグランドカバー向きです。ボリュームは出にくいですが地面を這うように成長し、土を隠します。根が浅く、球根やほかの花苗の成長を邪魔しません。セダムは丈夫で、手でちぎって必要なところに置くだけで根が出ます。
鉢やコンテナの選び方
球根が根を張るスペースのある、深めの鉢やコンテナを選びましょう。チューリップの場合、鉢の高さは30cmは必要です。花苗とバランスよく植え付けるのに円形の鉢が比較的簡単で、多方向から見て美しく仕立てられます。またテラコッタ製や深さのある鉢は、土を入れると非常に重くなります。その点、プラスチックや焼杉材なら動かしやすく扱いが楽です。
ダブルデッカーのやり方
①土と肥料を鉢に入れる
鉢底にネットや鉢底石、大粒の赤玉土を敷き、排水性のよい土と遅効性の肥料を入れます。球根専用の培養土か赤玉土を多めに、腐葉土やパーライトを配合した水はけのよい土がおすすめです。古い土は水はけが悪く、球根の根が張りにくかったり根腐れしたりしがちのため、避けたほうが無難です。
ボタニ子
球根が根を張るスペースを多く確保するため、鉢底石を入れない方法もあるわ。
②球根を層にして植え付ける
球根の上下の向き、鉢の大きさに応じた個数を確認して球根を植え付けます。チューリップは球根の向きをそろえると、葉が重なり合わずに成長します。クロッカスは頭が出るように浅植えに、ユリは上下ともに根が出るのためスペースを確保するなど、各球根の特性を確認しましょう。
ボタニ子
チューリップの球根なら5号鉢で3個、8号鉢で7〜10個ほど植え付けられるけど、デッカー植えなら球根はこれより少なめがおすすめよ。
③草花の苗を植え付ける
冬越しが可能な花苗や葉物をバランスよく植え付けます。球根の真上の植え付けは避けますが、球根植物は草花の間を縫って元気に成長するため、あまり神経質にならなくても大丈夫です。ビオラやパンジーなど春にボリュームアップする花の影で、背の低い球根植物が埋もれてしまうこともあります。鉢のギリギリまで土を入れると、水やりで土や肥料が流れるため注意しましょう。
ダブルデッカーの成長の実例
初春はややさびしい鉢
春を告げるクロッカスの開花!
春満載の鉢に
躍動感がプラスされデッカー植えは成功!
ダブルデッカー/トリプルデッカーを楽しもう!
ダブルデッカーやトリプルデッカーで、少ない球根でも十分に華やぐ寄せ植えの鉢を仕立てられます。省スペースで手入れも比較的簡単です。丁寧に植え付けて、球根と花苗の両方の美しさを季節ごとに楽しみましょう。
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出典:筆者撮影