ラベンダー(デンタータ)とは
ラベンダーデンタータは、葉にギザギザの切れ込みがあることから「歯のような」という意味の「デンタータ」と名前がつけられました。花穂の先端にフリンジのような苞葉(ほうよう)が付いているため、別名「フリンジラベンダー」とも呼ばれています。花の香りは薄めですが、葉には強い香りがあります。
基本情報
園芸部類 | ハーブ |
形態 | 常緑低木 |
樹高・草丈 | 30~100cm |
花の色 | 紫・青・白 |
開花時期 | 4月~11月 |
耐寒性 | 低い |
耐暑性 | 高い |
特性・用途 | 観賞用 |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
ボタニ子
開花時期・耐寒性は、品種や栽培環境によって多少違いがあります。
ラベンダー(デンタータ)の特長
①四季咲き性が強い
ラベンダーデンタータは四季咲き性が強く、株が成長すると早春から晩秋まで(真夏を除く)長く花が楽しめます。暖地では、栽培環境によって冬でも花を咲かせます。
②暑さに強い
イングリッシュラベンダーのような暑さに弱いラベンダーと比べて、デンタータ系は暑さに強いのが特長です。イングリッシュラベンダーの夏越しが難しい暖地でも、デンタータ系は地植えで夏越しができます。
③生育が早い
デンタータ系のラベンダーは、ほかのラベンダーより生育が早いことも特長のひとつです。栽培環境とタイミングが合えば、1年目から花穂を付け始めます。また、多少剪定しすぎても新芽をよく伸ばします。
④葉にも魅力がある
ラベンダーデンタータは美しい花だけではなく、葉の丸い切れ込みも大きな特長です。丸い切れ込みが装飾的で切り花としても人気です。また、葉にはさわやかな香りがあります。ラベンダーデンタータの葉を手でそっと触れるとよい香りが広がります。
ラベンダー(デンタータ)の育て方【栽培カレンダー】
季節ごとの作業
春は植え付け・植え替え
ラベンダーデンタータの植え付けの適期は、3~4月ごろです。特に幼い苗を植え付ける場合は、株が安定しやすいこの時期に植え付けることをおすすめします。また鉢植えで栽培している場合の植え替えも3~4月ごろが適期です。以前から栽培している株には、4月になったら肥料を少量与えます。
夏越しに備える
ラベンダーデンタータは多湿を嫌うため、梅雨入り前に切り戻し剪定をして風通しをよくしておきます。剪定した枝を利用して、枯れた場合に備えて挿し木にするとよいでしょう。鉢植えの場合は、夏の間は半日陰や木陰などに移動して管理します。
秋は剪定の適期
夏の暑さが落ち着いたら、鉢植えのラベンダーデンタータは日当たりのよい場所に戻します。秋は大きくなった株の強剪定の適期です。2年に1回を目安に株全体の強剪定をしましょう。
冬は寒さ対策を
株が充実してくると栽培場所によっては、冬でも開花する場合があります。ラベンダーデンタータは耐寒性が低いですが、関西以南では戸外で冬越しも可能です。ただし、強い寒気が来る予報が出たら寒さ対策をしましょう。寒冷地では、冬は室内で管理をします。
ラベンダー(デンタータ)の育て方【日常管理】
①栽培環境
ラベンダーデンタータは、日当たりのよいところで栽培します。暑さに強いため、関西以南では生垣としても利用できます。ほかの地域では鉢植えがおすすめです。夏の暑すぎる時期には半日陰に、冬は寒冷地では室内に、と移動するには鉢植えが楽です。
②用土・肥料
ラベンダーデンタータは水はけのよい土で栽培します。地植えの場合は、水はけが悪い土であれば赤玉土や川砂を混ぜて水はけをよくします。酸性の土を嫌うため、植え付けの1週間前に苦土石灰を混ぜて中和しておきましょう。鉢植えの場合は、ハーブ専用培養土か草花用培養土でも構いません。肥料は生育期に緩効性肥料を春と秋に1回程度で十分です。
➂植え付け・植え替え
植え付け
デンタータ系の植え付けの適期は、春と秋です。庭植えの場合は、用土の改良(上記②用土・肥料の項を参考)をして1週間程度過ぎてから植え付けます。鉢植えの場合は、鉢底石を入れてから培養土を入れて植え付けましょう。
植え替え
鉢植えの場合は、1~3年に1回は植え替えが必要です。そのままにしていると根詰まりを起こして成長不良を起こし、場合によっては枯れることがあります。植え替えの適期は3月~4月です。一回り大きい鉢を用意して、鉢底石・培養土を1/3ほど入れたら、今の鉢から抜いて根を崩さないでそのまま新しい鉢に植え替えます。
④水やり
ラベンダーデンタータは多湿を嫌うため、乾燥気味に管理することがポイントです。地植えの場合は、根付いたら水やりの必要はありません。鉢植えの場合は、土が乾いたら水やりをします。水のやりすぎは枯れる原因になります。反対に夏の乾燥しすぎにも注意が必要です。土をよく観察して管理しましょう。
⑤病害虫対策
ラベンダーは病害虫の被害がほとんど見られません。しかし、5月ごろにアブラムシが発生する場合があります。かかりやすい病気はうどん粉病です。風通しをよくして予防しましょう。
ラベンダー(デンタータ)の育て方【特別な管理】
①剪定
ラベンダーデンタータは成長が早いため、タイミングを見計らって剪定することがとても大切です。毎年梅雨前には夏越しに備えての切り戻し剪定を、また2年に1回を目安に秋に強剪定をします。剪定をしないまま放置していると花付きが悪くなり樹形も乱れ、根元近くの枝から次第に木質化していきます。
ボタニ子
枝が木質化すると、新芽が出なくなり大変見栄えが悪くなります。
花の収穫
開花中は、収穫を兼ねて花摘みをします。花穂から下へとたどって、新芽の付いている位置より上で切ります。収穫時期は花が満開になる前の早めのタイミングにしましょう。早めに収穫することで、株への負担を減らし次の花が咲きやすくなります。切った花はドライフラワーに利用できます。
夏前の剪定
高温多湿の夏にそなえ、梅雨入り前に剪定しましょう。葉茎の3/4くらいを残すように切り戻します。このときドーム型になるように切ると、花穂の位置がそろって見栄えがよくなるでしょう。その後、枯れた枝・倒れた枝・細すぎる枝などを根元から切り、さらに混んでいる部分があったら古い枝を根元近くから切り風通しをよくします。
強剪定
2年に1回くらいを目安に、株が大きくなったタイミングで強剪定します。強剪定は9月中旬~下旬が適期です。葉茎の1/3~半分くらいを残すくらいの位置で、株がドーム型になるように全体を刈り込みます。その後、枯れた枝や細い枝などを根元から切り取り、さらに混んでいる部分の古い枝も根元から切りましょう。
ボタニ子
ラベンダーデンタータは、よく芽吹くのであまり神経質にならず思い切って切りましょう。
②夏越し・冬越し
夏越し
ラベンダーデンタータは夏の暑さに強い品種です。ただし、多湿に弱いため梅雨入り前に剪定をして風通しをよくすることが夏越しのコツです。鉢植えの場合は夏の間は半日陰に移動して管理します。
冬越し
ラベンダーデンタータは、耐寒性はあまりありません。気温が-5℃以下になると枯れてしまいます。寒冷地では室内に取り込んで冬越しをします。関西以南の暖地では、庭植えでの冬越しが可能です。
➂増やし方
ラベンダーデンタータを増やしたい場合は、挿し木が手軽でおすすめです。挿し木の適期は、5~6月ごろで、剪定枝を利用するとよいでしょう。枝の上部を切って10cm程度にしたら下半分の葉を取りのぞきます。下の切り口を斜めに切ってから水揚げをして、鹿沼土に挿します。明るい日陰で管理をして発根を待ちましょう。
ラベンダー(デンタータ)を元気に育てましょう!
ラベンダーデンタータ育てやすいラベンターです。鉢植えでたくさん花を咲かせたり、関西以南では花壇に植えたりしてはいかがでしょうか。ドライフラワーやポプリにして楽しむのもおすすめです。ぜひラベンダーデンタータを元気に育ててみてください。
出典:写真AC