観葉植物に人気のウンベラータ
ウンベラータは大きなハート型の葉が特徴的で、鮮やかな緑色が美しい観葉植物です。育て方も比較的難しくなく、どのような雰囲気にもあうことから室内インテリアとしてよく飾られています。葉の様子はもちろんですが、もうひとつの人気の理由は幹の形にあります。ウンベラータは成長とともに幹が分かれたり曲がったりして、個性的に仕上がる点も魅力です。
ボタニ子
自然に任せてもよいけど、自分好みの形に整えたいのなら「曲げ木」がおすすめだよ!
曲げ木とは
曲げ木とは、文字からわかるように「木の幹を曲げる」ことをいいます。木を曲げると聞くと難しく思われがちですが、やり方とコツを知っておけば初心者でもそれほど難しくありません。ただしどんな木でも曲げ木に適しているわけではなく、ウンベラータのように丈夫である程度大きく育つ植物がおすすめです。
曲げ木後の育て方は通常と同じで大丈夫ですか?
曲げ木後の育て方は通常と同じで大丈夫です。曲げている部分には負荷がかかっていることもあり、世話する際には力を与えないようにだけ注意しましょう。無理な力を与えると途中から折れてしまうこともあります。
ボタ爺
曲げ木して好みの形に整えられるなんてステキじゃな!さっそくやり方を見てみよう!
ウンベラータの曲げ方【準備】
曲げ方のポイント
曲げ木を成功させるための大きなポイントは「樹形をイメージすること」です。時間をかけて木を曲げていくこともあり、途中で「やっぱり右に曲げたい」「もう少しカーブを小さくしたい」など軌道修正するのはとても困難です。ある程度成長した姿を想像し、インテリアや部屋の雰囲気、好みにあう樹形をしっかりとイメージしましょう。
必要なもの
- ウンベラータ
- 太めのワイヤーまたは支柱
- 麻ひもまたは細いワイヤー
ウンベラータの選び方
ウンベラータであればどのような木でも曲げ木できるわけではありません。基本的に「若くしなやかな木」しか曲げられないことを覚えておきましょう。中でも緑色の幹は、軟らかくしなやかで矯正しやすくておすすめです。茶色くてもしなやかな若い木であれば問題ありませんが、すでに硬くなっている場合は無理に曲げようとすると途中からポキッと折れることがあるため曲げ木には向きません。
ワイヤーの選び方
曲げ木には「太いワイヤー」と「細いワイヤー」の2種類が必要です。太いワイヤーは幹の矯正に使うため、すぐに曲がってしまうような軟らかいものではなく硬いものを選びましょう。細いワイヤーは太いワイヤーと幹を固定するのに使います。硬すぎたり太すぎたりすると扱いにくくうまく固定できないため、選ぶ際は気をつけてください。細いワイヤーは麻ひもでも代用できます。
ボタニ子
太いワイヤーは形作りのために重要で、3~4mmあると安定しやすいよ。細いワイヤーは1mmぐらいが扱いやすくていいかも。
支柱について
太いワイヤーを幹に沿わせて曲げ木するのが一般的ですが、支柱を使った矯正の仕方もあります。支柱が短すぎたり長すぎたりすると幹とうまく固定できないことから、曲げ木したいウンベラータの樹高にあわせた長さ選びが大切です。鉢に支柱を挿した際に、曲げたい箇所に十分届く(少し余るぐらい)程度の長さがあれば十分です。
曲げ木にはどれくらいの期間が必要ですか?
木の成長具合にもよりますが、1カーブさせるのにかかる期間は約1年です。あくまでも目安であり、それ以上かかる場合ももちろんあります。複雑に曲げようとすればするほど時間はかかりますが、その分曲げ木に成功したときの喜びは大きいでしょう。
ウンベラータの曲げ方【太めのワイヤーを使って】
①太いワイヤーを準備する
曲げたい部分の幹の長さにあわせて太いワイヤーをカットします。曲げ木後のカーブをイメージしてカットしたワイヤーを曲げましょう。注意すべきは「一度に曲げられるのは1カーブだけ」な点です。複数のカーブを作りたい場合は、1カーブの曲げ木が仕上がってから次の曲げ木に取り掛かるようにしてください。
②太いワイヤーを設置する
曲げたい方角へ幹を軽く曲げて、先ほど用意した太いワイヤーを沿わせます。このときに再度イメージにあわせてカーブを調整しましょう。幹が太くてワイヤー1本での固定が難しいようであれば、幹を囲むように2~3本のワイヤーを沿わせると安定します。イメージ通りのカーブに整えたら、細いワイヤーか麻ひもを使って数カ所仮止めしてください。
③細いワイヤーで補強する
安定させるためにも設置した太いワイヤーの周りを細いワイヤーでグルグルと巻いていきましょう。巻き終わったら再度カーブを整えて完了です。幹が太かったり樹高が高かったりしてうまくカーブが固定できない場合は、太いワイヤーの巻き終わり(株元から遠いほう)におもりをつけると安定します。おもりは麻ひもに結び付け、ぶら下げるか地面に置いて調整してください。
ボタ爺
おもりは重すぎると枝が折れ、軽すぎると固定できんのじゃ。ちょうどよい重さを選ぶんじゃぞ!
ウンベラータの曲げ方【支柱を使って】
①支柱を立てて幹を絡ませる
ウンベラータを挟むようにして2本の支柱を立てます。1本の支柱に幹を絡ませ、もう1本の支柱のほうへ誘導しましょう。イメージしたカーブになるように調整したら、それぞれの支柱と幹の接点を細いワイヤーか麻ひもで仮止めします。
②支柱を固定する
支柱を上部でクロスさせて細いワイヤーか麻ひもで固定します。カーブを再度調整したら、支柱と幹との接点の仮止め部分をしっかりと固定させて完了です。支柱が2本で安定しない場合は増やしても構いません。その際は無理に全ての支柱にウンベラータを絡ませるのは難しく、支柱のうち1本は2本の支柱を支えるために使うようにしましょう。
曲げ木を始めた後は支柱の調整は必要ありませんか?
場合によっては曲げ木後の調整が必要になります。ウンベラータは1年で20cmほど伸びるといわれており、成長とともに支柱と幹の接点にずれが生じる場合があるからです。こまめな調整はいりませんが、数カ月ごとに状態を確認し必要に応じて調整してください。
ウンベラータの樹形パターン
①大きく曲げて優しいイメージに
幹を大きく1カーブさせると、ゆったりと優しい雰囲気が漂います。自然な曲がり具合に仕上げるのがポイントで、ナチュラルなインテリアや木目調の部屋にピッタリです。同じように大きくカーブさせたウンベラータを複数並べると部屋に緩やかな動きが生まれ、森の中にいるような居心地のよさを楽しめます。
②S字ウェーブでスタイリッシュに
個性的に仕上げたいのなら、大きくS字ウェーブに整えるのがおすすめです。大胆に曲がった幹は存在感があり、見る人を楽しませてくれる不思議な魅力を放ちます。インテリアがシンプルでどこか寂しいと感じる場所や、玄関周りなど殺風景になりがちな場所に置くと、躍動感が生まれて明るい雰囲気に変えてくれます。
③らせん状に巻いて楽し気に
シンプルな曲げ方では物足りない人は、大きくらせん状に巻いてみましょう。くねくねと絶妙な曲がり具合に仕上げるのは難しく感じますが、ねじり方は難しくありません。「右に曲げて時間を置き、さらに左に曲げて時間を置く」というシンプルな作業を繰り返すだけで、時間はかかりますが初心者でも挑戦できます。
ウンベラータを矯正して好みの形に整えよう!
ウンベラータは育て方が簡単なだけでなく、自分好みに幹を曲げられる魅力的な植物です。ワイヤーや支柱など身近な道具があれば形作りは比較的簡単で、自分好みの絶妙な曲がり具合に仕上げるのも難しくありません。まっすぐ伸びたウンベラータもステキですが、ぜひ曲げ木に挑戦してオリジナルの観葉植物に仕上げてみてくださいね。
出典:写真AC