クサソテツとはどんな植物?
春から秋にかけて、草丈高く艶やかな緑色の葉を広げるクサソテツ。早春の若芽はコゴミと呼ばれる山菜にもなる、お得感いっぱいの植物です。育て方も手入れも増やし方も簡単で良いことだらけ。特徴と育て方をあわせてご紹介します。
クサソテツの基本情報
分類 | シダ・コケ |
形態 | 多年草 |
原産地 | 日本(北海道、本州、四国、九州) |
草丈 | 50~70cm |
耐寒性 | 強い |
耐熱性 | やや強い |
特徴
日本が原産地で育て方は簡単
クサソテツの原産地は日本で、北海道から九州にかけて河川敷や山のふもとの湿地、草原に自生しています。涼しい場所では大群生を作ることもあり、栽培は簡単で放っておいても元気に育ち、耐寒性にすぐれた初心者向けの植物です。鉢植えでも育てられます。
夏に美しい葉を楽しめる
クサソテツは、明るい緑色の葉がやわらかく広がる多年生シダ植物です。夏に生き生きとした緑色の葉が鑑賞でき、秋になると葉は枯れて、春になると新芽を出します。この新芽が山菜のコゴミで食用になります。
他のシダ植物との見分け方
まずは葉の裏をチェックしてみてください。他のシダ類はブツブツした胞子嚢がビッシリついていますが、クサソテツにはありません。またクサソテツの茎の中央は窪んでいて縦に線が入っているように見えるのも特徴です。葉の裏と茎で簡単に見分けることができます。
クサソテツの花言葉
名前の由来
常緑樹の「ソテツ」の葉と、クサソテツの葉の形状がよく似ていることから名付けられました。また、クサソテツには「ガンソク」という別名もありますが、これは葉の根元の部分が鳥の雁(ガン)の足に似ているためです。
花言葉
クサソテツの花言葉は『健常』
シダ類なので花は咲きませんが、花言葉はあります。成長が早いうえに栽培もたやすく耐寒性があり、草丈高く真っ直ぐに伸びる姿が健康的なことから付けられたのでしょうか。いずれにしても、クサソテツの特徴をよく表した花言葉ですね。
クサソテツの育て方
育て方のポイント
ほぼ放置状態にしても勝手に成長してくれる超初心者向けの観葉植物ですが、いくつかポイントがあります。家のお庭では、枯れる心配より増えすぎに注意したほうが良いでしょう。
育てる場所
庭に直植えするなら、太陽が直接当たらない明るい日陰か半日陰の場所を選ぶようにします。葉の立ち姿が美しく、地下茎で広がるので、広い場所のほうが見栄えがよいでしょう。ホスタやクリスマスローズなどの観葉植物と一緒に植えれば、暗くなりがちな半日陰の一角が美しく生まれ変わります。
育て方が楽になる用土選び
川べりや湿地に育つ植物なので、水もちが良い用土が適しています。鉢植えにする場合は赤玉土7に対し腐葉土3の割合で混ぜた土に堆肥を加えた用土を使用しましょう。植え付けの用土にさえ気をつければ、あとの手入れはとても楽になります。
植え付けと植え替え
クサソテツはコゴミの名前で山菜苗として流通しています。植え付けの時期は、3~4月の春と9~10月の秋の2回です。地下茎で広がっていきますので、庭の思わぬ場所から新芽が顔をのぞかせます。1株をしっかり管理したいなら鉢植えがおすすめ。植え替えの必要は特にありません。
水やりと肥料
乾燥に弱いので、夏の日照り続きの時期はまめに水やりをします。また、肥料は新芽が出る春と葉が枯れる秋の2回、効果が長い間持続する緩効性の肥料を与えるとよいでしょう。直植えで落ち葉などが積もる肥沃な土壌の場合は追肥の必要はありません。
手入れと病害虫
直射日光が当たってしまう場合は、屋根をつけるなど日よけが必要です。梅雨が明けたら、ワラを敷くなどして乾燥を防ぐと良いでしょう。病害虫については特に心配はなく、放置しておいても枯れる心配はほとんどありません。
コゴミを収穫する
コゴミの収穫は、植え付けの翌年は株の成長を見守り、2年後の春から行います。枯れる心配がないよう、新芽はすべて摘まずに1~2本は必ず残しておくようにしましょう。毎年の山菜の収穫で、春が来たことを実感できるようになります。
収穫時期
地域によって差はありますが、3月下旬から4月にかけて新芽が出ます。あっという間に成長して食べられなくなりますので、芽が出たらまめにチェックして頭が丸まっている10~15㎝ほどの芽を摘みます。やわらかいので手で簡単に折ることができます。
食べ方
アクがないので調理しやすく、火を通すと少しぬめりがあるのが特徴です。よく水で洗って枯葉などを取り除き、2分ほど茹でるだけで食べられます。天ぷら、おひたし、白和え、ごま和え、ナムルにペペロンチーノの彩りにと、さまざまな料理に活用できます。
クサソテツの増やし方
クサソテツは地下茎で広がりますので、放置しておいても勝手に増えてくれます。人の手で増やす場合は、ランナーを切り離して植え込む方法と株分けの2通りの方法があります。ここでは手順が簡単なランナーで増やす方法を紹介します。
時期
春か秋の晴れた暖かい日を選んで行います。地方にもよりますが、4月と9月下旬から10月上旬ごろがおすすめです。株から地下茎で広がり、いくつか新芽が出ていればランナーも出ています。クサソテツは場所を取りますので、植える場所を吟味してから行うようにしましょう。
準備するもの
- スコップ
- 用土
- ハサミ
- 育苗箱
手順
株の根元近くを少し掘ってみると、地面を這うように伸びているランナーが見つかります。株を傷つけないよう掘り起こしハサミで切り離します。ランナーは7~8cm程度に切り分け、3cmほどの深さの溝を作り植えます。5㎝ほど離せば同じ育苗箱に複数のランナーを植えられます。植えた直後はたっぷり水を与え、水を切らさないよう日陰で管理します。
クサソテツの越冬方法
冬は冬眠状態になる
秋になると草はすべて枯れ、冬眠状態に入ります。耐寒性がありますので、庭植えの場合は冬の間の水やりをひかえる程度で越冬対策は特に必要ありません。鉢植えの場合は地面に直接置くのではなく、玄関先やベランダなどに置いておけば安心です。
まとめ
半日陰で育つ植物は限られていますが、草丈があり見栄えがするクサソテツをうまく配置すれば涼やかな木陰の空間を作ることができます。多年草で手間いらずなので一度植えれば何年も楽しめます。初心者の方もぜひ日陰を彩る観葉植物としてクサソテツを育ててみてくださいね。
出典:写真AC