サルオガセモドキの栽培管理
ボタニ子
サルオガセモドキを育ててみたいな。
「エアプランツ」という呼び名が災いして、「空気だけで生きていける植物」と誤解されることがあります。しかしエアプランツも水分は必要です。そしてサルオガセモドキは、エアプランツの中ではむしろ乾燥に弱い方なのです。
もともとの生息地はこんな場所!
サルオガセモドキの野生分布は北米南西部〜熱帯アメリカです。これらの地域には温暖で湿潤な気候が広がっています。
サルオガセモドキは川や池のほとりを好みます。昼間に水面から大気中へ蒸発した水分が、夜間に凝結して霧となりサルオガセモドキに吸収されるのです。
ボタニ子
そういう環境を再現すればいいんだね!具体的な方法を見ていこう。
どこに取り付ける?
いざという時に動かせることが大事
サルオガセモドキ は着生植物なので土に植える必要はなく、紐で枝や樹皮に固定して栽培します。インテリアとするなら、カーテンレールやハンガーラックに吊り下げても良いでしょう。
大事なのは「いざという時に動かせる」こと。日差しが強い時は半日陰に、寒い冬場には暖かい部屋に避難させる必要があります。ハンガーや、持ち運びできるサイズのコルク版に取り付けましょう。
サルオガセモドキの日常管理
暖かく、日当たりよく、風通しよく
温暖な気候を好み、気温20℃以上で活発に生長します。寒さに弱いので冬季は室内に入れ、5℃以上を維持してください。
ボタニ子
簡易温室があれば冬越ししやすいね!
室内管理だと日当たりが不十分だったり風通しが悪く蒸れたりすることがあります。日なた〜半日陰に置き、こまめに換気して風通しを良くしてあげましょう。
ボタニ子
ただし乾燥に弱いから、エアコンの風を当てないでね!
水やりは霧吹きで
サルオガセモドキは雨や霧から水分を得るので、栽培下でも霧吹きで水やりをします。まんべんなく水が行き渡るよう様々な角度から繰り返し霧を吹きかけてください。
ボタニ子
乾燥する時期は、株を丸ごと水に浸ける方法もあるよ。でも基本は霧吹きで水やりしてね。
水やりのタイミングは夜が適しています。サルオガセモドキは日中に気孔を閉じてしまうので、昼間に水やりをしても水分の吸収効率が低いのです。
成長期には液肥を与える
初夏(5〜6月)は葉や根の生長が活発になるので、樹皮やコルクに活着させるならこの時期が勝負です。2〜3日に1回の頻度で、水に液肥を混ぜて与えてください(例:ハイポネックス原液を1000〜2000倍希釈)。液肥は水やりと同じように霧吹きで葉に吹き付けます。
サルオガセモドキが大きくなったら
原産地ではサルオガセモドキは2m以上の長さになります。しかし大型化すれば重さで落下したり、葉が密集して見栄えや風通しが悪くなったりすることがあります。軽量化と整形のため、剪定をおこないましょう。
剪定
剪定といっても、せっかく伸びたものを短く刈り込まなければいけないわけではありません。長く伸ばすのであれば、代わりに密生した部分を間引いたり、枝分かれの一方を切り落としたりする方針で剪定しましょう。一方、短くこんもりと仕立てたい場合や、複数の株の長さを揃えて飾りたい場合は、先端部分を剪定して伸長を抑えます。
ボタニ子
剪定するときは、枯れた葉を取り除こう。
剪定した切れ端で株分け
剪定した切れ端を使って株分けもできます。サルオガセモドキは小さい株が連なっており、個々の株からクローン繁殖できるのです。枯れた葉や中途半端な位置で切れた株を取り除いたら、活着させたい樹皮や流木の上に輪ゴムなどで固定し、日当たりの良い場所で育成します。剪定した切れ端は非常に乾燥に弱いため、毎日霧吹きで水やりをしてください。無事に成長すれば株分け成功です。
サルオガセモドキの花
サルオガセモドキは春〜秋にかけて開花します。幅1cmくらいの大きさで、緑色の花弁が3枚つくのが特徴。栽培下では野生に比べ花が咲きにくいものの、1つ咲くだけでも強い芳香を放ちます。上手に栽培していれば、香りを楽しめるかもしれません。
花の後には細長い実がつき、開裂して綿毛のついた種を散らします。
花が咲いた後は豆状の果実ができ、種が採れます。しかし実生栽培は湿度管理が難しいため、繁殖目的なら株分けの方が確実です。
まとめ
熱帯アメリカの雲霧林が故郷のサルオガセモドキにとって、日本の四季は過酷です。「エア(空気)プランツ」というより「ミスト(霧)プランツ」という感覚で乾燥を防ぎましょう。上手に栽培すれば、花が咲いたり株分けで殖えたりと様々な発見・楽しみがあるはずです。
サルオガセモドキの栽培
- 気温20℃以上でよく育つ。冬は室内退避し5℃以上を維持。
- 日当たりと風通しの良い場所に取り付ける。
- 夜のうちに、霧吹きでまんべんなく水やりする。
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出典:写真AC