皇帝ダリアとは?
皇帝ダリアは晩秋から初冬にかけて咲く、薄紫がかったピンク色の花です。木立ダリアの一種で、草丈は1メートルから6メートル以上に伸びることもあります。
皇帝ダリアの基本情報
名前 | 皇帝ダリア、木立ダリア(キダチダリア、コダチダリア) |
学名 | Dahlia imperialis |
分類 | キク科ダリア属 |
原産地 | 中南米 |
開花時期 | 11月~12月 |
特徴 | 短日植物、多年草 |
皇帝ダリアは短日植物で、秋ごろから急激に茎が伸びます。冬に見下ろすように咲いている大きな美しい花に出会って、驚いた記憶もあるのではないでしょうか。英語名はTree dahliaで、日本でも「ツリーダリア」と呼ばれることもあります。
皇帝ダリアの名前の由来
背の高さから威厳ある皇帝
皇帝ダリアの「皇帝」は、学名のインペリアルをそのまま訳した名前です。空にそびえ立つように咲く花の姿に皇帝のような威厳を感じて付けられました。属名でもある「ダリア」は、 ダリアが中南米からヨーロッパに渡った時に図解で紹介したスウェーデンの植物学者ダールの名前にちなんでいます。
原産地
皇帝ダリアの原産地は中南米です。メキシコ、グアテマラ、コロンビアあたりの高山に自生しています。日本には大正時代に渡来し、昭和になって本格的な栽培が始まりました。
皇帝ダリアの特徴
花
八枚のピンク色の花びら
皇帝ダリアの花は、直径10センチから15センチほどの大きさです。中心部の頭花が黄色く、八枚の舌状花(花びら)は薄紫がかったピンク色をしています。花の寿命は一週間から10日です。
葉・茎
葉の付き方
葉の形は、南天のような3回羽状複葉です。茎から両手を横に広げるように葉を付けます。その上下では、ほぼ90度違う方向にそれぞれまっすぐ葉を広げます。(上の写真で全体像を、下の茎の画像の2枚目で葉を、3枚目で付き方を確認することができます。)
大きな茎は空洞
皇帝ダリアの太い茎の内部は空洞になっています。昔、アステカの人たちはこの茎の空洞を利用し、飲み水を持ち運ぶのに使いました。竹と同じ使われ方ですね。
木ではなく多年草
茎が木質化し環境次第で6メートルほどに成長しますが、木ではなく多年草です。支柱で支えないと、強風でぽっきり折れてしまいます。支えていても、台風で倒れることがあります。
ボタニ子
ああ、かわいそう。
うちも台風で折れちゃった。でも大丈夫、根が残っていたらまた生えて来るし、茎で挿し木もできるから!
皇帝ダリアは短日植物
街灯の灯りで咲かないことも!
皇帝ダリアは短日植物で、日照時間が短くなると花芽を付け始めます。茎も、秋になると急激にぐんぐん伸びていきます。近くに街灯や門柱の灯りがあると勘違いして、花芽をつけず開花しないことがあります。咲かないなら、近くに街灯などがないか、夕方から夜の環境をチェックしてみてください。
ボタニ子
わあ、そうなんだ。照明があるとポインセチアが赤くならない理由と同じだね。
寒気に弱い
地上部は霜が降りるまでの寿命
皇帝ダリアの1シーズンの寿命は霜が降りるまでです。12月に開花しますが、急激な寒波が来た場合は、寿命が短くなります。連続して霜に当たるとつぼみも葉も茎も萎れ、黒く枯れてしまいます。真冬には地上部は枯れます。茎で挿し木をする場合は、枯れる前に切り取って越冬させます。
茎の挿し木で増やす
皇帝ダリアは、茎の挿し木で増やすことができます。茎を2節ついた状態に切り分けて越冬させ、地中で挿し木して増やします。なお、種を採取することも、塊根の株分けで増やすこともできます。
皇帝ダリアとダリアの違いは?
皇帝ダリアとダリアは、どちらもキク科ダリア属に分類されているよく似た仲間ですが、際立った違いが二つあります。
開花時期の違い
皇帝ダリア | ダリア |
11月~12月 | 5月~8月 |
皇帝ダリアとダリアの違い、1つ目は開花する季節が異なることです。ダリアが夏に咲くのに対し、皇帝ダリアは晩秋から初冬に開花する短日植物です。
草丈の違い
皇帝ダリア | ダリア |
1メートル以上~6メートル | 30cm~1メートル前後 |
皇帝ダリアとダリアの顕著な違いの2つ目は、草丈です。ダリアは1メートル前後ですが、皇帝ダリアは3メートルほどに伸びます。環境がよければ5、6メートルになります。短く切り詰めて低く育てることはできます。
花色や咲き方
ダリアには多くの花色の品種がありますが、皇帝ダリアは今のところ白とピンク色だけです。咲き方も、皇帝ダリアは一重と八重咲きだけでポンポン咲きはありません。ただ、ダリアと皇帝ダリアを交配させたハイブリッドには、色や咲き方もさまざまな園芸品種が誕生しつつあります。
皇帝ダリアの品種・仲間
皇帝ダリアの品種
ピンク色の一重
皇帝ダリアの基本種は、よくみかける薄紫がかったピンク色の一重咲きの花を咲かせます。
ピンク色の八重
12月に開花したピンク色の八重咲きの花です。八重咲きは一重咲きより開花時期がすこし遅くなる傾向があります。
白色の八重咲き
白い八重咲きには、「カリフォルニア・エンジェル」「ホワイト・エンジェル」などの品種があります。
白色の一重咲き
八重咲きの品種は、土壌や気象条件などによってときおり白い一重の花が混じって咲くことがあります。可憐ですよね。
ダリアとのハイブリッド品種
ガッツァリア・アプリコット
ガッツァリア・アプリコットは、ダリアと皇帝ダリアを交配させた園芸品種です。ハイブリッドは、皇帝ダリアの名で呼ばれる短日植物です。花の形や彩りをダリアから受け継ぎ、草丈を2メートルほどにおさえています。皇帝ダリアの花や葉は霜や雪に弱く寒冷地で開花させるのは難しい植物ですが、開花の季節が9月から11月頃と少し早いのが、ハイブリッドの特徴です。
ガッツァリア・レッド
皇帝ダリアとダリアのハイブリッド品種「ガッツアリア」の赤花です。花の大きさは15センチほど、草丈は約2メートルで、10月に開花します。ハイブリッドですが、短日植物です。街灯の近くでは花が咲かないことがあります。
ガッツァリア・ダブルクリーム
ガッツァリア・ダブルクリームも、皇帝ダリアとダリアのハイブリッド品種で、八重咲きの白い花です。花の大きさは約12センチ、草丈は2メートルほどで、9月から11月ころに開花します。こちらも短日植物で、街灯などの明かりで咲かなかったり形が変わったりすることがあります。
木立ダリアの仲間
ダリア・テヌイカウリス
名前 | ダリア・テヌイカウリス |
学名 | Dahlia tenuicaulis |
分類 | キク科ダリア属 |
原産地 | メキシコ |
ダリア・テヌイカウリスは、薄紫色の大きな花を付ける木立ダリアです。皇帝ダリアより花の中心部が太い印象です。草丈は5メートルほどで、広く繁ります。メキシコ南部の高地原産です。開花の季節は秋ですが、カリフォルニアでは、初夏から初冬まで咲いていたことが報告されています。
ダリア・カンパニュラタ
名前 | ダリア・カンパニュラタ |
学名 | Dahlia campanulata |
分類 | キク科ダリア属 |
原産地 | メキシコ |
ダリア・カンパニュラタはメキシコのオアハカ州で近年発見された木立ダリアです。大きな白い花が枝垂れる様に咲きます。学名のcampanulata(カンパニュラタ)は「鐘の形」の意味があります。開花の季節は秋から初冬です。(なお、写真の2枚目はダリア・テヌイカウリスです。)
皇帝ダリアの花言葉
皇帝ダリアの花言葉は、「乙女の真心」「乙女の純潔」です。草丈の高い皇帝ダリアの花を眺めると、日の光に透けて透明感が際立ちます。気高く、純真な印象にぴったりの花言葉ですね。
まとめ
3メートルほどある皇帝ダリアを望遠レンズで撮ると、蜂が熱心に近づいているのがわかります。「皇帝」という名前ですが、基本種は可憐な花ですね。ご近所に咲いていたら、花の終わりに茎を分けていただいて育ててみると楽しいですよ。
出典:写真AC