キリシマツツジとは?真っ赤に染まる花の特徴や管理・栽培方法を紹介!

キリシマツツジとは?真っ赤に染まる花の特徴や管理・栽培方法を紹介!

キリシマツツジという花をご存知でしょうか。秋の紅葉にも引けを取らないほどの鮮やかな赤い花をつける春の花です。奥能登や京都などの名所では、毎年目の覚めるような美しい光景を見せています。今回はキリシマツツジの特徴や種類、管理・栽培方法を紹介します。

記事の目次

  1. 1.キリシマツツジとは
  2. 2.キリシマツツジの特徴
  3. 3.キリシマツツジの種類
  4. 4.キリシマツツジのルーツ
  5. 5.キリシマツツジとクルメツツジとの違い
  6. 6.キリシマツツジの名所
  7. 7.キリシマツツジの育て方
  8. 8.まとめ

キリシマツツジのルーツ

出典:写真AC

キリシマツツジの誕生は江戸時代にまでさかのぼります。九州の霧島山中に自生するヤマツツジと、ミヤマキリシマという品種とを交配させて誕生した園芸品種がキリシマツツジです。その後薩摩藩によって幕府に献上されたキリシマツツジは、その美しさと育てやすさから江戸で大人気となりました。そして商用や参勤交代などで江戸に来た人達が江戸土産として故郷に持ち帰り、全国に広がっていったのです。

キリシマツツジとクルメツツジとの違い

出典:写真AC

キリシマツツジの誕生を見ても分かるように、日本にあるツツジのほとんどは、日本に古くから自生していた品種を改良・栽培して生まれた園芸品種です。そのため種類も品種も豊富ですが、その中には分類するのが難しいほど酷似した品種もあります。特にキリシマツツジとクルメツツジは、素人ではまず見分けられないと言われているほどです。

クルメツツジとは?

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クルメツツジは江戸時代の天保年間(1830年代)に、久留米藩(現在の福岡県久留米市周辺)で誕生・栽培された園芸品種です。鮮やかな花色で花つきも非常によく、強健で剪定にも強くて育てやすいことから人気を得て、多くの品種が作られました。一時期は約750種もあったと言われていますが、現存しているのは約300種です。全体的に小型のツツジで花も小ぶりですが、花色が鮮やかで花つきもよいので見応えがあります。

キリシマツツジが親?

クルメツツジはキリシマツツジに酷似していることもあって、長い間キリシマツツジを元にして作られた品種と考えられてきました。地域によっては同一視されているほどです。しかし最近の研究や調査によって、主な交配親はサタツツジとヤマツツジで、それにミヤマキリシマを加えて改良した品種だという説が有力視されています。とはいえ、キリシマツツジと非常によく似ている事実には変わりありません。

混同されやすいツツジは他にもある

出典:写真AC

前にも触れたように、ツツジは古くから品種改良を重ねてきた植物です。そのため、キリシマツツジとクルメツツジ以外にも、見分けるのが難しい品種があります。ここで紹介するミヤマツツジとミツバツツジもその1つです。

ミヤマツツジとは?

ミヤマツツジ(深山躑躅)は、和名をムラサキヤシオツツジ(紫八汐躑躅)というツツジ科の落葉樹です。4月から6月にかけて開花します。北海道、東北地方と中部地方の日本海側の深山に分布しているため、ミヤマツツジと呼ばれています。ムラサキヤシオは「紫色の染料に、何回も繰り返し漬けて染め上げた」という意味です。和名が示すように、花色は鮮やかな紅紫色で、枝先に1輪から4輪の花をつける特徴を持っています。

ミツバツツジとは?

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ミツバツツジ(三葉躑躅)はツツジ科の落葉樹です。名前の由来は花が終わった後、枝先に3枚の葉をつける特徴からきています。開花時期は4月から5月ですが、3月に開花することもあります。ツツジの中では最も早く開花することから、「イチバンツツジ」とも呼ばれています。花が終わった後に葉が展開する性質から、満開時には美しい紅紫の花色に染まった姿を堪能できます。

ミヤマツツジとミツバツツジとの違い

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ミヤマツツジとミツバツツジは花色などがよく似ていますが、見分けるポイントはあります。下記にまとめましたので、ご覧ください。

ミヤマツツジとミツバツツジとの違いまとめ

  • ミツバツツジのほうが開花が早く、3月頃に開花する場合がある。これに対して、ミヤマツツジの開花時期は4月頃からである。
  • ミヤマツツジは寒冷地の山地の林内や山縁にかけて分布しているのに対して、ミツバツツジは関東地方から近畿地方の岩場や里山の雑木林に分布している。
  • ミツバツツジは枝先に3枚の葉をつけるのに対して、ミヤマツツジは枝先に5枚の葉をつける。

キリシマツツジの名所

出典:写真AC

ここではキリシマツツジの名所を紹介します。キリシマツツジの満開時の美しさは圧巻です。機会があれば、ぜひ訪ねてみてください。

のとキリシマツツジオープンガーデン(石川県)

のとキリシマツツジと呼ばれる庭木

能登半島はキリシマツツジの日本一の集積地として有名です。この地に生息するキリシマツツジは「のとキリシマツツジ」と呼ばれています。江戸時代、参勤交代や北前船などを通じて能登に伝わったキリシマツツジは、現地の人たちに代々に渡って大切に育てられました。現代では、専門家をも驚かせる大木に成長したものが約500本以上も点在しています。しかもほとんどが個人の庭木というのも、のとキリシマツツジの特色です。

開花時期だけのオープンガーデン

能登半島では、のとキリシマツツジの魅力をより多くの人々に届けるため、毎年キリシマツツジの古木がある個人の庭を、一定期間だけ公開しています。これが「のとキリシマツツジオープンガーデン」です。大木に生長したキリシマツツジが株いっぱいに深紅の花をつける姿は、まさに絶美の一言に尽きます。公開時期や場所などの詳細情報は、能登空港などで配布されているパンフレットや公式サイトをご覧ください。

うぇるかむ奥能登
奥能登の観光情報をまとめた公式サイトです。のとキリシマツツジオープンガーデンについての情報もここでチェックできます。

長岡天満宮(京都府)

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京都府長岡京市にある長岡天満宮は、菅原道真公を祀る神社です。道真公ゆかりの花としては梅の花が有名ですが、この長岡天満宮は、全国でも有数のキリシマツツジの名所として知られています。推定で樹齢150年の古木もあり、満開時の美しさは例えようがありません。見頃は4月下旬から5月上旬とされていますが、気温や気候条件によってズレることがあるので、事前に開花状況を調べておくことをおすすめします。

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キリシマツツジの育て方

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