西洋オダマキとは?
西洋オダマキ(別名アキレギア)は、キンポウゲ科オダマキ属の園芸植物です。草丈は30~50cm、形の違う二重の花が特徴的です。オダマキ科の植物は非常に交雑しやすいという特徴があり、現在の西洋オダマキも、ヨーロッパ原産のアクレイギア・ブルガリスを中心に、北米産の複数の交配種で生まれました。紫を始め、様々な色が楽しめるのも西洋オダマキの特徴です。
学名 | Aquilegia vulgaris |
和名 | セイヨウオダマキ(西洋苧環) |
原産地 | ヨーロッパ・北米 |
草丈 | 30~50cm |
花言葉は「昔の恋人」「思い出の恋人」
オダマキ科の花言葉は、「愚か」です。英名のコロンバインが道化芝居の登場人物と同じであることから、道化師のイメージでつけられました。また、西洋オダマキの花言葉は、「昔の恋人」「思い出の恋人」です。贈り物としては注意が必要な花ですが、紫色のオダマキなら「勝利への決意」という意味もあります。そのため贈り物としては、勝負前の激励が主となります。
名前の由来は機織りの糸巻き
名前の由来は、機織りに使う苧環(おだまき)です。機織りには糸がたくさん必要になるので、それぞれの糸が絡まないように、中空の玉にして貯めていました。これが苧環です。オダマキもまた、がくが丸く内側の花を包むことから、苧環になぞらえて名付けられました。したがって、オダマキを使って苧環が作られるわけではありません。
西洋オダマキの植え方
西洋オダマキは、春と秋に種まきの季節となります。ただし、花が楽しめるのは早くても翌年からです。一見すると、儚い印象を受ける上に冬越しを行う必要があるため、育成ハードルを高く感じます。しかし、オダマキは病気や寒さに強いため、初心者でも比較的育てやすい花です。
おすすめは鉢植え
地植え・鉢植えともに楽しむことができる西洋オダマキですが、季節に応じて移動させられる鉢植えのほうがおすすめです。ただし、長く太い根を傷つけると枯れてしまうため、必ず深い鉢を使用する必要があります。また、苗の植え付け直後はヨトウムシが発生する可能性が高い時期です。見つけ次第捕殺するよう心がけましょう。
用土は水はけが大切
土は水はけがよいものを選びましょう。用土の目安は、小粒赤玉土7:腐葉土3、もしくは、小粒の赤玉土・鹿沼土・軽石を同量です。また、苗を植え付ける際には、緩効性肥料を土に混ぜ込んでおく必要があります。このときは、リン酸とカリウムが多いものを選びましょう。また、弱酸性の土を好みますので、強酸性の土壌の場合は石灰を加えてください。
ボタニ子
なんだか難しそう…私でもちゃんと育てられるかな?
ボタ爺
それなら次のページでは、具体的な育て方について説明しよう。
西洋オダマキの管理のコツ
置き場所には注意が必要
西洋オダマキは、夏の暑さと直射日光が苦手です。そのため鉢植えの場合は、午後には日陰になる場所に置くようにしましょう。春や秋の間は、しっかり陽の光を浴びられる位置に置くことが大切です。地植えの場合は動かせませんので、夏の間はすだれなどをかけておくことをおすすめします。
台の上に置いて管理するのがおすすめ
西洋オダマキは、根が傷つくと枯れてしまいます。そのため、夏の暑さ対策として、根腐れも防ぐ必要があります。風通しの良い場所があればいいのですが、なければ置き場として台を用意してあげると傷みにくくなります。その場合は網状のものを使えば、水はけもよく一石二鳥です。
冬の寒さには比較的強い
夏の暑さとは対象的に、冬の寒さには比較的強く越冬しやすいのが特徴です。ただし、根が凍ってしまうと流石に枯れてしまいますので、寒冷地ではわらやすすきを敷くなど、対策を行う必要があります。また逆に、暖かすぎる場所に置いていると、翌年芽が出なくなってしまいます。したがって、霜よけを行った上で屋外に置くことが大切です。
水やりは土が乾いてから
地植えの場合は、晴れ続きで雨がほとんど降らないという場合を除き、水やりの必要はありません。一方鉢植えの場合は、土の表面が乾いてきたら水をあげるようにしてください。特に夏場は、朝と夕方の2回、たっぷりと水をあげるようにしましょう。冬場は地上部は枯れていますが、同じく表面が枯れてきたら水をあげるようにしましょう。
肥料は10日ごと
鉢植えの場合、気温が高い5月~9月にかけては、一週間から10日に一度、液体肥料をあげる必要があります。地植えの場合、春と秋の2回、緩効性化成肥料を置き肥します。どちらも花用の標準の量を守りましょう。また花が終わったら、お礼肥として有機固形肥料をあげるとよいでしょう。
春と秋はうどんこ病対策も必要
春と秋は、うどんこ病が発生する季節でもあります。特に、梅雨と秋雨の時期が要注意です。葉に白カビのようなものがつき、光合成を妨げてしまいます。うどんこ病が見つかった場合、病気の葉は周りに広がる前に処分し、重曹水を撒いて予防しましょう。どうしても全体に広まってしまった場合は、炭酸水素カリウムや炭酸水素ナトリウムを含む薬剤を使って早めの治療を心がけましょう。
西洋オダマキの増やし方
西洋オダマキは多年草ですが、株はあまり長持ちする方ではありません。花をつけはじめて3~4年すると、だんだん花の数が減ってきます。そのため、早め早めに植え替えを行うことが大切です。早いうちから翌年の苗も育てておけば、更新の年をあけずに毎年楽しむことができます。
種まきの時期は春秋2回
花が終わると、やがて細長い実が付きます。実の先端を逆さにすると、中から黒い種が出てきます。春のうちに種まきをする場合、翌年には花をつけることができるものの、通常の苗より夏の暑さ対策が必要になります。一方夏を過ぎてからまく場合、花が咲くのは翌々年になります。どちらの場合も、ヨトウムシなどの害虫が出やすい季節ですので気をつけましょう。
植え替えの目安は2年
西洋オダマキは4年もすると弱ってしまうので、花をつけて2年ほどの株から順に、更新していくように心がけましょう。また、鉢植えの場合は、一年に一度、より大きな鉢に植え替える必要もあります。成長の早い品種の場合、芽を出す前に根を掘り起こし、株分けを行うこともできます。その場合、病気を防ぐために殺菌剤を使用することが大切です。
ボタ爺
西洋オダマキは、比較的初心者でも扱いやすい花じゃよ。もちろん、管理を怠らなければな。
ボタニ子
ところで、頭に西洋ってつくけど、他のオダマキもあるってことなのかな?次のページで見てみよう。
西洋オダマキの仲間たち
オダマキの仲間は、世界中に約50種あるといわれています。また、非常に交雑しやすい種なので、同じ種類のオダマキであっても様々な色や形をしています。園芸品種である西洋オダマキの他にも、高山植物のミヤマオダマキやヤマオダマキ、近縁種のフウリンオダマキなどがよく知られています。
高山植物だが育てやすいミヤマオダマキ
ミヤマオダマキは、北海道から本州中部にかけて分布する、日本原産の高山植物です。西洋オダマキに比べるとやや丈が低く、色も青紫と白の組み合わせがほとんどです。また、下ではなく上向きに花が咲くのも特徴です。ミヤマオダマキは高山植物ではありますが、栽培難度はあまり高くないので、種を採ってまいてみてもいいかもしれません。
オダマキそっくりな別品種フウリンオダマキ
フウリンオダマキはオダマキと名前がついていますが、同じキンボウゲ科ではあるもののヒメウズ属に属する別種です。原産地は中国四川です。オダマキよりも背が高く、その名の通り風鈴のように垂れ下がった可憐な花をつけます。栽培する場合、西洋オダマキに比べると日差しや根腐れに弱いため、夏の管理がやや難しい部類に入ります。
まとめ
西洋オダマキは、かんたんなお世話でかわいい花をたくさんつける、ガーデニングにおすすめの花です。病気や寒さにも強く、発芽率も高いので、育てるのが楽しい花ともいえるでしょう。ぜひ一度、西洋オダマキの栽培に挑戦してみてください。ただしそのときは、夏場の水やりだけはこまめにおこなってくださいね。
出典:BOTANICA