ユキノシタとは?
ユキノシタは、ユキノシタ科ユキノシタ属に分類される多年草の植物です。湿った半日陰の場所に生育していて、冬でも葉が緑色をしている常緑植物でもあります。野草として湿った場所に生えているときもありますが、民家の庭で栽培されていることもある、身近で見かける種類の植物です。
基本情報
学名 | Saxifraga stolonifera |
分類 | ユキノシタ科ユキノシタ属の多年草草本植物 |
分布 | 本州、九州、四国、中国 |
別名 | 虎耳草(こじそう) |
花期 | 5月~7月 |
花の特徴
花期は5月~7月です。細い花茎をのばし円錐状の花序を作ります。その花序に花を多数まばらにつけるのが特徴です。ユキノシタの花は、5枚の花弁を持っていますが、うち下側の2枚は長い花弁となり、白色をしているためかよく目立ちます。上側の花弁の3枚は短く、同じく白色で赤い斑紋が入ります。また、上側の3枚は花弁の根元は濃い黄色の斑点があるのも特徴です。下側の2枚と上側の3枚の花弁は、一目見ただけでわかるくらい、花弁の長さが違っています。
葉の特徴
葉は、根出葉で円形やハート形に近い形をしています。葉の根元はハート形のように凹んでいて、葉の縁には粗い鋸歯(きょし)があります。葉の表面の色は濃い緑色で葉脈にそって白い模様があるのが特徴です。葉の裏面は同じく濃い緑色ですが、表と違って赤みがかっています。根出葉には、3cm~10cmの葉柄があります。葉と葉柄には赤い色の毛が生えるのも特徴です。
根出葉なので、葉はロゼットのような形で生えています。
茎の特徴
花茎は赤みを帯びていて毛が生えています。また、茎の基部から紅色がかった走出枝(ランナー)を出し、繁殖していく特徴があります。
走出枝(ランナー)とは?
地上近くを這って伸びる茎のことです。この走出枝の節から根が出て新しい植物体が形成されます。ユキノシタは種子以外にもこのような方法で増えていき、こういった繁殖方法のことを栄養繁殖といいます。
栄養繁殖とは?
栄養繁殖とは、胚や種子などを使わずに、葉や茎などから繁殖して無性生殖する種類の増え方のことです。具体的には、走出枝・塊茎・根茎などがあり、ユリ科の種類の植物、ジャガイモ、サツマイモなどの種類の植物が当てはまります。
ユキノシタの名前の由来
ユキノシタは漢字で書くと「雪ノ下」です。なぜ、名前が「雪ノ下」になったのでしょうか。「虎耳草」という別名もあります。ここでは、名前の由来と花言葉と花言葉の由来を紹介します。
名前の由来
名前の由来は諸説あります。1つ目が「雪が積もってもその下に緑の葉が見える」という説、2つ目が「雪のように白い花の下に緑の葉を広げる」という説です。どちらとも、ユキノシタの根出葉が緑であることに由来しています。
別名の由来
ユキノシタには「虎耳草(こじそう)」という別名があります。この名前は生薬でのユキノシタの呼び名です。「葉の形が虎の耳に似ている」ことが由来となっています。また、ユキノシタの葉には毛が生えていることからも、虎の耳に似ているとされています。
花言葉の由来
花言葉は「深い愛情」です。この花言葉は、ユキノシタの効果や効能が由来となっているという説があります。ユキノシタの葉のしぼり汁は中耳炎やひきつけなどにも効能があるとされ、民間薬として用いられていました。中耳炎やひきつけなどは、ユキノシタを民間薬として使っていた時代には子供に多い病気とされていました。そして、親が子供がかかった中耳炎などを治すために、ユキノシタの葉を絞った姿が花言葉の由来となり「深い愛情」となったとされています。
この他にも「愛情」「恋心」「博愛」などの花言葉もあります。
ユキノシタの効能や食用について
ユキノシタにはさまざまな効能があります。中耳炎への効能やむくみ解消など、そのほかにも女性には嬉しい効能もあります。ここではユキノシタの効果や効能について紹介します。
民間薬に使われていたユキノシタ
ユキノシタは、民間薬として使われていました。主に使われていた部分は、葉です。生で新鮮な葉と乾燥させた葉を利用していました。生の葉は、中耳炎や耳垂れに効能があるとされ、乾燥させた葉は浮種などに効能があるとされていたそうです。また、乾燥させた葉はむくみ解消への効能も発揮され、お茶として利用もされていました。
ユキノシタの葉にはポリフェノールの種類の一つであるベルゲニンという成分が多量に含まれています。ベルゲニンには解毒作用があります。
美白効果のあるユキノシタ
ユキノシタには美白効果があるとされています。ユキノシタは、メラニンの合成を阻害するアルブチンという成分を含んでいます。そのため、美白の化粧水にユキノシタのエキスが配合されていることがあります。肌への効果は美白だけではなく、くすみやシワ、にきびの元となるアクネ菌などにも効果があるとされています。
食べてもおいしいユキノシタ
さまざまな効能があるユキノシタですが、食べてもおいしいとされています。ハーブティーなどにして楽しんだり、てんぷらなどにして楽しんだりすることもできます。ユキノシタには毒性はないので、毒性についての心配をすることなく楽しむことができます。
ユキノシタ科とアジサイ科の関係
ユキノシタ科はユキノシタが分類されている科です。アジサイ科というのはアジサイなどの植物が分類されている科で、このユキノシタ科とアジサイ科にはちょっとした関係があります。その関係性を紹介します。
アジサイ科とは
アジサイ科とは、アジサイなどの植物が属している分類のことです。実は、このアジサイですが以前はユキノシタ科に分類されていました。そのため、アジサイは以前はアジサイ科アジサイ属ではなく、ユキノシタ科アジサイ属の植物だったのです。そのため、現在でもアジサイはユキノシタ科と紹介されていることもあります。
ウツギなども以前はユキノシタ科に分類されていました。
アジサイには毒性がある
アジサイは毒性がある植物としても知られています。葉や茎に毒性があるとされ、食べると嘔吐・痙攣・呼吸麻痺などの症状がでます。そのため、決して口の中に入れないように注意しましょう。
ユキノシタの毒性
以前は同じ科に分類されていたユキノシタとアジサイですが、アジサイには毒性があります。ユキノシタに毒性があるのかというと、ユキノシタには毒性はありません。さまざまな効用や効果もあり、おいしく食べることもできます。
ボタニ子
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別の種類のユキノシタでは花弁の長さが同じものもあります。