キンポウゲとは?
キンポウゲ(金鳳花)は黄色く小さな花を初夏の時期に咲かせる花の名前です。しかしキンポウゲ科という植物の一種類でもあります。キンポウゲ科は切り花や園芸植物としてよく知られた、多くの植物が分類されている大きなグループです。キンポウゲという言葉が、花の名前なのか種類なのかわかりにくいのは二つの意味をもっているからなのです。
赤毛のアンとキンポウゲ
キンポウゲという名前の花を、赤毛のアンを読んで初めて知った人もいるのではないでしょうか。赤毛のアンに登場する「buttercups」という花はキンポウゲと翻訳されています。春の日差しに輝くような花を咲かせてアンを魅了したキンポウゲ。鮮やかな黄色が印象的に描かれています。
キンポウゲ科には毒がある?
キンポウゲ科の中には毒があることで有名な「トリカブト」が分類されます。また、クサノオウやフクジュソウなど、毒のある植物がいくつも入っているためキンポウゲ科には毒があるというイメージがついています。キンポウゲの名を冠するウマノアシガタにも微量ながら毒性があります。毒性の強弱はあれども、キンポウゲ科の植物は口にしないように注意してくださいね。
キンポウゲ(金鳳花)の特徴
黄色い八重の花びらをつける金鳳花。キンポウゲ科キンポウゲ属の代表的な植物です。後述するウマノアシガタの別名として紹介されることもある金鳳花ですが、正確には八重を金鳳花、一重をウマノアシガタと呼びます。すっと伸びた茎の先に5cmほどの花とつぼみをつけるのが特徴です。野生で金鳳花を見かけることは、近年では少なくなってきました。
キンポウゲ(金鳳花)の開花時期
金鳳花の開花時期は5月から6月の春から初夏にかけてです。日本全土からアジアにかけて分布している金鳳花は群生して開花することが多く、日当たりのいい山や畑で見ることができます。金鳳花は多年草なので、地上部の葉をわずかに残して越冬します。ヨーロッパやアメリカにもその分布を増やしつつあります。
キンポウゲ(金鳳花)の名前の由来
金鳳花の花は透き通るような黄色をしていて、花びらもつやつやして輝いています。そんな花の特徴が、伝説上の生き物である鳳凰を連想させることから、その一文字をとって金鳳花という名前がつけられました。ちなみに中国では金鳳花と書く植物は、日本でのホウセンカを意味しています。
ウマノアシガタ(一重のキンポウゲ)の特徴
細くゆらゆらと伸びた茎の先に3~5cmほどの大きさの花をつけるウマノアシガタ。花弁は5枚ついていて独特の光沢でつやつやした見た目をしています。丸いシルエットが特徴的なウマノアシガタは、日当たりの良い林や山に群生して生育しています。草丈は50cmほどで多年草なので、冬は葉を残して越冬します。有毒なので口にしないようにしましょう。
ウマノアシガタの開花時期
ウマノアシガタの開花時期は5月から6月の春から初夏にかけてです。多年草で、種子でも増えるウマノアシガタは群生することが多い植物でもあります。日当たりのいい場所でたくさんのウマノアシガタが咲く様子は圧巻です。日本原産の植物で、古来から薬草としても使われてきました。
ウマノアシガタの名前の由来
ウマノアシガタはその葉の形が馬の足跡に似ていたことからついた名前です。茎の下側の地面に近い場所から生える根生葉は、3枚にわかれた平べったい形をしています。ウマノアシガタが金鳳花の別名として記載されている図鑑もあります。
ウマノアシガタの花言葉
ウマノアシガタの花言葉は「栄光」「栄誉」「子供らしさ」「中傷」です。「栄光」や「栄誉」は春の日差しに輝くような花びらをもつウマノアシガタの特徴からつきました。「子供らしさ」は小さな丸いシルエットのかわいい花の形から連想されました。「中傷」という花言葉は有毒であることが由来です。
金鳳花の花言葉はウマノアシガタと同じ
同じキンポウゲ科キンポウゲ属に分類される金鳳花とウマノアシガタ。それぞれが別名として記載されている図鑑もあり、その違いは八重か一重かという花びらの特徴だけです。そのため、金鳳花の花言葉もウマノアシガタと同じものが当てられています。
ボタニ子
金鳳花とウマノアシガタの違いは花びらの枚数だけなのね!
ボタ爺
金鳳花を見かけることが少なくなってきたから、ウマノアシガタをキンポウゲと呼ぶ人も増えてきているようじゃな。
キンポウゲ科の植物の代表は?
キンポウゲ科にはたくさんの植物が分類されています。花屋さんや園芸店でみかけることも多い、ラナンキュラスやアネモネなどの色鮮やかな植物から、クリスマスローズやクレマチスなどファンが多い植物まで含まれるキンポウゲ科。50属以上が分類され、種においては2000種以上が存在しています。代表的な植物の特徴を簡単にご紹介します。
代表植物①ラナンキュラス
キンポウゲ科キンポウゲ属に分類されるラナンキュラス。キンポウゲ属の中でもメジャーな植物です。花金鳳花(ハナキンポウゲ)という別名をもつラナンキュラスは、ピンクや赤、クリーム色などの艶やかな花びらを何枚もつけます。一輪だけでも圧倒的な存在感をもつラナンキュラスは、苗としてだけではなく切り花としても人気の植物です。
名前 | ラナンキュラス |
分類 | キンポウゲ科キンポウゲ属 |
花期 | 4月から5月 |
花色 | 白、ピンク、クリーム色、白、赤、他 |
形態 | 多年草 |
代表植物②トリカブト
キンポウゲ科トリカブト属に分類されるトリカブトは、毒のある植物の代表としてよく知られています。林や山などに生育するトリカブトは、明るい紫色の花をいくつもつける可憐な見た目をしています。葉や茎など全草に毒を含みますが、特に根の毒は強く死亡例もあるほどです。また薬用にも使われていますが、素人は取り扱いに注意しましょう。
名前 | トリカブト |
分類 | キンポウゲ科トリカブト属 |
花期 | 8月から9月 |
花色 | 青紫 |
形態 | 多年草 |
代表植物③クリスマスローズ
キンポウゲ科クリスマスローズ属に分類されるクリスマスローズは、その名の通り12月に花を咲かせる多年草の植物です。品種改良によって、多種多様な色と形の花が園芸品種として販売されているクリスマスローズ。花の色も緑や黒などバリエーションに富んでいます。鉢植えでも庭植えでも育つクリスマスローズは、多くのファンを魅了しています。
名前 | クリスマスローズ |
分類 | キンポウゲ科クリスマスローズ属 |
花期 | 12月 |
花色 | 白、ピンク、緑、黒、他 |
形態 | 多年草 |
まとめ
その色鮮やかさや幅広い園芸品種をもつことから、多くのファンに愛されるキンポウゲ科の植物たち。キンポウゲという名を冠する植物が、可憐で小さい花だったのは意外でしたね。しかし八重の金鳳花も、一重のウマノアシガタも独特の光沢をもつ美しい花びらをつけます。有毒ですが、口にすることさえなければ安全なキンポウゲの花を春の野原へ探しに出かけてみてはいかがでしょうか。
写真:ウマノアシガタ(一重のキンポウゲ)