サツキとは
サツキの特徴
サツキはツツジの一種です。江戸時代にたくさんのツツジの品種が作り出された際に、4月~5月に咲くものをツツジ、5月~6月に咲くものをサツキと区別するようになりました。日本原産なので日本の気候に合っており、非常に育てやすい植物です。剪定や移植に強いため、古くから盆栽としても高い人気を誇っています。
基本情報
科名 | ツツジ科 |
属名 | ツツジ属 |
別名 | サツキツツジ・映山紅(えいさんこう) |
草丈 | 0.5m~1m |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
花色 | 白・赤・ピンク・緑・紫・複色 |
開花時期 | 5月〜6月 |
サツキの育て方①時期
植え付け | 4月~6月・9月~10月 |
開花 | 5月~6月 |
剪定 | 6月 |
肥料 | 2月・6月・10月 |
栽培スケジュールカレンダー
栽培適期は?
サツキの植え付けに最適な時期は、花が咲く前の成長時期である4~6月か、翌年分の花芽をつけた後の9~10月です。花が咲き終わった後も緑の葉が長い期間茂っているので、庭木としても盆栽としても、1年を通して長く楽しめます。寒さにも強く、冬越しも問題ありません。
サツキの育て方②植え付け・植え替え
苗選びのポイント
サツキは1500種類以上の品種があり、花の大きさや色、咲き方などそれぞれに違った特徴や魅力を持っています。植え付ける苗を購入する際は、なるべく開花期に選ぶのがおすすめです。特に初心者の人は、葉の特徴だけでは明確な品種を確認しにくいため、好みの花かどうかで判断すると決めやすいです。
育てる場所
サツキは鉢植えでも地植えでもよく育ちます。地植えの場合は、できるだけ日当たりのよい場所に植えてください。鉢植えの場合、夏は半日陰に、冬は乾燥した風が吹きつけない場所に、それ以外の時期は日当たりのよい場所に移動させましょう。日陰でも育ちますが、花つきが悪くなるためおすすめしません。
用土
サツキは、水はけと水もちがよく、酸性の土壌を好みます。鉢植えの場合はツツジやサツキ用の市販の土を使用するか、赤玉土小粒5:鹿沼土3:ピートモス3の割合で用土を準備しましょう。地植えの場合は鹿沼土を使用し、ピートモスを3割ほど混ぜてください。
肥料
サツキは年に3回、緩効性肥料を施す必要があります。2月には寒肥(かんごえ)、6~7月にはお礼肥、最後は充実期の9~10月に肥料を与えましょう。緩効性肥料を与えると、効果がゆっくりと広がっていき、1年を通して栄養分が行き渡ります。
ボタニ子
ボタ爺
寒肥は寒い時期に施す肥料、お礼肥は花や実を楽しませてくれたお礼にあげる肥料のことじゃよ!
植え替え
サツキの植え替え時期は、4~6月か9~10月です。一回り大きめの鉢に、根鉢を1/3ほど崩し、深植えにならないように注意して植え替えます。サツキの植え替えは2~3年に1回で十分です。ただし、前年度に植え替えをしていたとしても、根詰まりを起こすなど根の状態が悪い場合は、迷わず植え替えをしましょう。
サツキの育て方③水やり・剪定・増やし方
水やり
サツキは通気性のよい状態を好みますが、根が地中深くではなく地表近くに張り巡らされるため、乾燥に弱い特徴を持っています。春の成長期には特に水切れを起こしやすいため注意が必要です。
水やりのタイミング
鉢植えの場合は、土表面が乾いた状態になったら、たっぷりと水を与えます。高温多湿を避けるため、夏は朝早くか、涼しくなる夕方以降にしましょう。庭植えの場合は特に水やりの必要はありませんが、真夏の乾燥しやすい時期には乾燥に注意しながら、適宜水をあげてください。
剪定
サツキは枝数が多く芽づきもよいため、剪定時期を間違わなければ、剪定は難しくありません。剪定すべきは「飛び出ている枝」「細すぎる枝」「変な方向に伸びている枝」の3つです。枝の付け根からバッサリ切ってしまいましょう。新芽が多すぎる場合は、成長の妨げになるため、形を整える際に一緒に適度に切り落としてください。
剪定の方法
- 刈り込みばさみ、剪定ばさみを用意する
- 枝をほぐして剪定しやすくする
- 剪定ばさみを使用して、枯れ枝を切る
- 剪定ばさみを使用して、剪定すべき枝を切る
- 刈り込みばさみを使用して、全体の形を整える
剪定の時期
サツキは夏に、すでに来年の花芽を枝先に作り始めます。花芽を切りすぎてしまわないために、花後すぐのタイミングで剪定しましょう。最適期は6月です。剪定をしないと「余計な枝が増える」「花つきのよい枝が育たない」「病気の原因になる」などの症状がでてしまいます。時期が来たらトラブル防止のためにも剪定してください。
増やし方
サツキの増やし方は挿し木が簡単です。挿し木の時期は6~7月で、根が落ち着くのは秋頃です。根が伸びたら半日陰に移し、環境に慣らしたあと、お好みの場所に植え替えます。その際、油粕などの置き肥を与えると成長がよくなります。
挿し木の方法
- その年に新しく伸びた枝を10~15cm切り、挿し穂にする
- 30分ほど水に浸け水揚げする
- 市販の挿し木用の土や鹿沼土に挿す
- 強風や直射日光の当たらない場所で管理する
- 乾燥しないように毎日水やりをする
挿し木の注意点
サツキは挿し木することで、基本的には親と同じような花を増やせますが、「絞り咲き」と「咲き分け」品種には注意が必要です。親と同じような花を咲かせるためには「絞り咲き品種」は絞りの花が出ている枝を、「咲き分け品種」は白無地か絞りの花が出ている枝を挿し木にしましょう。
ボタニ子
絞り咲き?咲き分け?どんな品種なのかしら?
ボタ爺
絞り咲きは英語で「ストライプ」、つまり縦じま模様のことじゃ。咲き分けは1株にいろいろな模様の花をつける品種のことじゃよ。
サツキの育て方④害虫・病気対策
害虫対策
ベニモンアオリンガ
ベニモンアオリンガはツツジやサツキなどの天敵です。花が咲かなくなる原因の1つで、別名シンクイムシとも呼ばれます。葉や花の芽の中に入り込み、芯の部分を食害します。見つけ次第すぐに取り除きましょう。毎年被害が出るようであれば、7月~10月にかけて、オルトラン液剤やチューリサイド水和剤を散布してください。
グンバイムシ
グンバイムシは大きさ3~5mmの小さな虫で、庭木や果樹などの葉を食害します。放っておくと葉に白い斑点が現れ、やがて全体が白くなり枯れてしまいます。早期発見に努め、見つけ次第捕殺しましょう。薬剤をしようするなら、オルトラン液剤やスミチオン乳剤を葉の裏側までしっかりと散布してください。
病気対策
褐斑病(かっぱんびょう)
褐斑病とは葉に淡褐色の斑点が現れ、黒褐色の輪のような模様が広がり、枯れてしまう病気のことをいいます。薬剤を使わずに治すのが困難なため、予防が重要です。主に高温多湿の状況で発生するので、水の与えすぎに注意し、適度な剪定を心がけましょう。かかってしまったときは、褐斑病に効く薬剤を散布してください。
炭疽病(たんそびょう)
炭疽病は、葉や茎、果実などに発生する病気です。初めに灰褐色から黒褐色の円形の病斑が現れ、発病した部分は次第に枯れていきます。高湿や風通しの悪さが原因なので、通気性の確保と水の与えすぎに注意しましょう。見つけ次第取り除き、薬剤を使用するなら炭疽病に効く薬剤を散布してください。
まとめ
サツキは日本原産の華やかで強い植物です。古くから人々に愛され、現在では日本の多くの庭木として活躍しています。たくさんの品種があるため、花色や咲き方など、楽しみ方が豊富なのも魅力です。大きさもほどよく、庭がなくても鉢植えで十分育ちます。お好みのサツキの花を見つけたら、ぜひ育ててみてください。
寒肥?お礼肥?いったい何かしら?