ネムノキ(合歓の木、ねむの木)とは
ネムノキ(合歓の木、ねむの木)は東北地方より西の山野に分布する落葉樹です。6月~7月の蒸し暑い季節に、枝の先に長い雄しべを持つピンク色の花を咲かせます。痩せた土地に育つ樹木の代表的な植物で、幻想的な雰囲気の花は万葉集の時代から日本人に愛されてきました。
園芸分類 | 庭木 |
形態 | 高木 |
原産地 | 日本、中国、朝鮮半島など |
開花の時期 | 6月~7月 |
花の色 | ピンク色 |
実の大きさ | 10cmほど |
暑さ / 寒さ | 強い / 普通 |
特徴 | 落葉性、光量が少なくても育つ |
名前の由来
ネムノキには就眠運動という、夜になると葉を閉じる特徴があります。このことから「眠りの木」、転じて「ネムノキ」と呼ばれるようになったとされています。また、漢字表記の「合歓」は男女が一緒に眠ることで、中国で夫婦円満の象徴としてネムノキが親しまれていることが由来です。
ボタニ子
地方によって呼び方は変わるけど、「ねむた木(宮城県・山形県)」「眠りの木(ねふりのき:京都府)」「眠り子(大分県・宮崎県)」など、眠る様子を意味する方言がたくさん使われているよ!
ネムノキの利用法
ネムノキは観賞用のほかに、街路樹としても使われることがあります。塩害にも強いので、海岸線沿いに防風林として植えるのにも適した植物です。また、中国医学では花を生薬として、精神安定や不眠を期待して用います。樹皮にはタンニンが含まれていることから、打撲に効能があるとされています。
ネムノキの果実
ネムノキはマメ科の植物なので、果実は豆のさやの中に入っています。中に入っている小さな種子に比べ、果実は画像のとおりなかなかの大きさです。冬になってもさやが開くことはなく、果実全体が風に吹かれて遠くまで飛ぶようになっていると考えられます。
ネムノキの花
ネムノキの開花時期は6月~7月です。桜のような淡いピンク色の繊細な花をつけます。花の形がハケのように見えるのも特徴のひとつです。開花の時間帯は夕方です。夏の夕暮れどきにネムノキの花が咲くと、ほんのりと甘い香りがあたりに漂って、幻想的な雰囲気になりますよ。
ネムノキの花言葉
ネムノキの花言葉は、「胸のときめき」と「歓喜」です。夫婦円満の象徴となっていることや、繊細で愛らしい花の姿からこれらの花言葉がつけられたとされています。ふわふわと楽しげなピンク色の花は、恋をしている乙女のようですね。
ネムノキに似た植物
ネムノキによく似た植物として、「エバーフレッシュ」という観葉植物があります。似ている点も多くありますが、まったく別の植物です。エバーフレッシュの基本情報と、ネムノキとの見分け方についてご紹介します。
エバーフレッシュとは
エバーフレッシュは中南米に自生しているマメ科の常緑樹です。ネムノキとは同じマメ科ですが、こちらはピテケロビウム属なので属が異なります。ネムノキと同じく「就眠運動」をするという特徴があり、朝晩で違う姿を見られることから観葉植物としてもとても人気があります。
ボタ爺
ちなみに花言葉はネムノキと同じで、「胸のときめき」「歓喜」だぞ。
ネムノキとの見分け方①花の色
ネムノキとエバーフレッシュの見分け方でもっともわかりやすいのは、咲かせる花の色です。ネムノキは淡いピンク色の花をつけますが、エバーフレッシュの花は黄色をしています。ポンポン状の花はかわいらしく、まるで枝の先にあかりが灯ったように見えますよ。
ネムノキとの見分け方②冬場の様子
ネムノキもエバーフレッシュも同じマメ科でよく似ていますが、ネムノキは落葉樹、エバーフレッシュは常緑樹であるという違いがあります。冬場に葉をつけているかどうかも、見分ける際の大きな手がかりとなるでしょう。
ネムノキとの見分け方③自生しているかどうか
日本で自生しているかどうかという点も、ネムノキとの見分け方として有効でしょう。ネムノキとエバーフレッシュは原産地が違うので、元気に育つための条件も異なります。エバーフレッシュは耐寒性に劣るため、日本で自生するのは難しいのです。
ネムノキとの見分け方④実の形
ネムノキはピンク色、エバーフレッシュは黄色と花の色にも違いがありましたが、つける実の色にも見分け方のポイントがあります。エバーフレッシュの実は画像のような真っ赤な色をしていて、形もネムノキの実よりもぷっくりとしています。実をつけているところを観察できれば、見分けるのは簡単そうですね。
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次のページからは、ネムノキのくわしい育て方について解説するよ!
出典:BOTANICA