はじめに
ツリガネニンジン(釣鐘人参)という植物を皆さんはご存知ですか?日本では古くからツリガネニンジンの根を生薬として漢方薬に用いられてきた馴染み深い植物で、花や果実の形状が可愛らしい特徴的な植物です。今回、こちらではツリガネニンジンの特徴、基本情報や種類の違い、ツリガネニンジンが持つ薬効などをわかりやすくご紹介します。
ツリガネニンジン(釣鐘人参)とは
植物名 | ツリガネニンジン | 科目 | キキョウ科 ツリガネニンジン属 |
原産地 | 日本、シベリア サハリン |
草丈/樹高 | 60~90cmほど |
形態 | 多年草 | 開花時期 | 7~11月ごろ |
耐寒性/耐暑性 | 強い/ふつう | 生育環境 | 草原や湿地 日当たりのいい場所 |
ツリガネニンジンは、キキョウ科の多年草です。日本では草原や湿地に自生し、開花時期は地域によって異なります。冬になると草は枯れ根っこの状態で凍らなければ越冬することができ、春になると新芽を出し生長します。耐寒性は非常に優れていますが、高温多湿の環境には弱く、風通しのいい場所を好みます。花色は青や紫色が一般的で、稀に見られる白い花は別種のシロバナツリガネニンジンです。
ツリガネニンジン(釣鐘人参)の花言葉
ツリガネニンジンの花言葉は、
- 優しい愛情
- 感謝
- 誠実
- 詩的な愛
ツリガネニンジン(釣鐘人参)の果実
ツリガネニンジンの果実は、上記の写真のようにぷっくり膨らんだ形をしている蒴果(さくか)です。花期を終えた秋~初冬頃から実をつけます。蒴果とは、成熟すると果皮が乾燥し、縦に開いて種子が出ます。蒴果といえばホウセンカや、アサガオなどが有名です。
ボタニ子
ボタ爺
この果実が、成熟してパンと弾けることで、種を残すんじゃよ~。たくましいのう!
ツリガネニンジン(釣鐘人参)名前の由来
ツリガネニンジン(釣鐘人参)の「釣鐘」は花が釣鐘状に咲くことから、「人参」は、ツリガネニンジンの根が「朝鮮人参」に似ていることから由来し「ツリガネニンジン(釣鐘人参)」になったとされています。
朝鮮人参の代わりとされた
朝鮮人参は現在でも高価な生薬として知られていますが、江戸時代には更に高価でした。朝鮮人参に似た根を持つ植物を日本で探し、根の形状が似ているものが「釣鐘人参(ツリガネニンジン)」や「岩人参(イワニンジン)」「蔓人参(ツルニンジン)」だったとされています。「人参」がつく名前はその名残です。
ボタニ子
そっかぁ。昔は朝鮮人参を輸入していて、根の部分しかないからその形を手がかりに探してたのね。
ボタ爺
そうなんじゃよ。それぞれに薬効はあるんじゃろうが、朝鮮人参とは全く薬効成分は違うんじゃよ。
ツリガネニンジン(釣鐘人参)の種類
ボタニ子
ツリガネニンジンって何品種かあるの?違いは?
ボタ爺
ツリガネニンジンは、地域や生育環境によって変異がある植物なんじゃ。今回は基本種、変異種を紹介するぞ。
基本種:サイヨウシャジン
サイヨウシャジンはツリガネニンジンの基本種といわれています。ツリガネニンジンとよく似ていますが、花がやや細い壺型であり、花柱が長く突き出ることで区別されます。日本では中国地方や九州にみられ、国外では中国や台湾に分布します。
ボタニ子
サイヨウシャジンが基本種、ということはツリガネニンジンは変異種ってこと??
ボタ爺
そういうことじゃな!あくまでベースである基本種は「サイヨウシャジン」ということじゃ。
変異種①ハクサンシャジン
ハクサンシャジンは別名タカネツリガネニンジンと呼ばれ、ツリガネニンジンの高山変種です。草丈は30~60cmほどで葉は輪生しています。8~10月ごろに直径1.5cm~2cmほどの鐘形の花を咲かせます。
ボタニ子
ハクサンシャジンは高山で見られる変異種なんだね!
ボタ爺
そうじゃな、ハクサンシャジンはツリガネニンジンの中でも大型といわれているんじゃよ。高山の山道に自生していることが多いぞ。
変異種②オトメシャジン
オトメシャジンは、四国の一部の蛇紋岩(じゃもんがん)地帯でみられ、他のツリガネニンジンの仲間に比べ草丈が低く、花も約1cmほどの小柄なものであることが特徴です。
ボタニ子
オトメシャジンは小ぶりな種類なんだね!日本でも四国地方にしかないのかな?
ボタ爺
そうじゃな。オトメシャジンは他の種に比べて小ぶりで、四国の東赤石山固有種といわれているんじゃ。花色も白~桃色と言われているんじゃよ。可愛らしい印象じゃの。
続いては、ツリガネニンジン(釣鐘人参)の用途を紹介
ぷっくり膨らんで、特徴的な印象だけどかわいい果実だね!