アツミゲシの毒とは?
渥美半島で発見された際に警察・自衛隊による一斉駆除が行われた理由は、アツミゲシに含まれる毒と関係があります。
アヘンアルカロイドを含んでいる
アツミゲシには、アヘンアルカノイドという有毒成分が含まれます。アヘンアルカノイドはアヘンを生成することができます。禁断症状と中毒性が強いアヘンは、危険な薬物の一種に指定されています。
化学の発達で抽出量がアップした
アヘンの原料となるアヘンアルカノイドは、アツミゲシの未熟な果実に含まれています。ただしアツミゲシからアヘンの原料を取り出すのはとても手間がかかるため、一般的ではありません。ところが第2次世界大戦時の化学兵器開発によって、アツミゲシに化学作用を加えると抽出量が一気に増量することがわかりました。
コカインに似た中毒性を持つ
取締りの対象となっている危険薬物・コカインにも、アツミゲシと同じ中毒性のあるアルカロイドを含んでいます。コカインはコカノキ科コカ属の植物で、石油などに浸し攪拌することでコカインの原料となる麻薬成分が抽出されます。医療では麻酔薬としても使われますが、興奮作用が強くアヘンのような中毒性があります。
日本での栽培はアヘン法違反
有毒成分を含むアツミゲシを日本国内で栽培することは、昭和29年に制定されたアヘン法によって原則禁止されています。医療用としてアヘンを栽培することもありますが、その際には保健所などの許可が必要です。
不正栽培すると逮捕される
アヘン法はアヘンの乱用を防ぐことを目的にしている法律ですが、乱用防止と併せてアヘンの不正栽培の取締りも目的にあります。医療用として栽培する場合も、栽培と供給の関係に不正があればアヘン法違反となります。
自生を発見した場合は通報を!
アツミゲシの花が自生しているのを発見した場合は、最寄りの警察署または保健所に通報します。またアツミゲシに似た花を発見した場合も、警察署・保健所への通報が必要です。
アツミゲシの花の特徴
警察の取締り対象となる危険植物・アツミゲシですが、ガーデニングでも人気のポピーによく似た可愛い花を咲かせます。ただしアツミゲシは栽培が禁止されているため、園芸用として認められている花とは異なる特徴があります。
花の特徴①ひどい臭い
アツミゲシは原則として栽培が認められていない花なので、花の匂いの特徴を説明するのは難しいです。一般的な表現としては「ケシ科特有の匂い」とされるのですが、実際にアツミゲシの匂いを嗅いだ人によると「表現のしようのないひどい臭いがする」といいます。
ピンクの花が多い
有毒成分を持つケシ科の花は、赤・黄・紫などカラーバリエーションが豊富です。それに対して日本に帰化したアツミゲシは、ピンクの花を咲かせることが多いのが特徴です。
小さい花を咲かせる
アツミゲシの花は、同じケシ科の種類と比べると花のサイズがひとまわり小さいです。そのため道端や空き地に咲いていても、花の存在に気がつかないことがあります。
ボタニ子
栽培OKのケシの花と、そうでないものとの違いは何なのでしょうか?次のページでくわしく触れていきます。