ケシ科植物でも栽培OKな種類
アツミゲシは麻薬の原料となる有毒成分を含んでいるため栽培が禁止されていますが、ケシ科の花には有毒成分を含まない種類もあります。これらのケシ科植物は、日本国でも栽培が認められています。
種類①ヒナゲシ
ケシ科ケシ属のヒナゲシは、毒性を持っていないため栽培が認められています。別名「虞美人草(ぐびじんそう)」と呼ばれ、日本でも園芸種として人気があります。
種類②アイスランドポピー
アイスランドポピーは名前に「ポピー」とつきますが、アツミゲシと同じくケシ科ケシ属に分類されます。まっすぐに伸びた茎の先に大ぶりの花が咲くため、園芸種として人気があります。オレンジや黄色などのビタミンカラーが多いアイスランドポピーですが、白や赤の花も咲きます。
種類③ナガミヒナゲシ
ケシ科ケシ属に分類されるナガミヒナゲシは、道端に雑草として生えていることが多い花です。小ぶりの花を咲かせますが、果実が細長い形をしているのが特徴です。
種類④モンツキヒナゲシ
ヒナゲシによく似た花を咲かせるモンツキヒナゲシも、ケシ科ケシ属の花です。モンツキヒナゲシの花は花弁中央に黒い斑点があるため、花弁を見ればヒナゲシと見分けられます。
種類⑤オリエンタルポピー
オニゲシとも呼ばれるオリエンタルポピーは、園芸種として人気がありますが、実はケシ科ケシ属に分類される植物です。ただしオリエンタルポピーは、栽培が禁止されているハカマオニゲシとよく似ています。しかも品種改良によって多くの品種が存在するため、中にはハカマオニゲシと見分けがつきにくいこともあります。
栽培OKと栽培NGの違い
同じケシ科ケシ属の植物でも、アツミゲシのように栽培が法律で禁止されている種類もあれば、栽培が認められている種類もあります。そこで栽培OKとNGの違いを、わかりやすくまとめてみました。
違い①開花時期
アツミゲシは、春~初夏にかけて開花時期を迎えます。原則として個人での栽培はできませんが、栽培する場合には春または秋に種をまきます。なお開花時期は植えるタイミングによって違いますが、春に植えた場合は同じ年の初夏、秋に植えた場合は翌年の春に開花します。
違い②花びらの枚数
アツミゲシを含む栽培NGのケシは、花びらの数が4枚であることが特徴にあります。そのため花びらの枚数に注目すると、栽培OKとNGの違いがわかります。
NG植物の中には4枚以上の種類もある
実は花びらの枚数だけに注目するだけで判断するのは、あまりおすすめできません。なぜなら栽培NGのケシの中には、八重咲きの花など例外もあるからです。特にNG植物のハカマオニゲシとOK植物のオニゲシは、花びらの枚数が4枚以上ありますし見た目もそっくりなため、見分ける際には別の判断材料が必要です。
違い③草丈
有毒成分を含むケシ科植物の多くは、草丈が100cm以下と比較的低いです。特にアツミゲシは50cm~100cmなので発見されにくく、野生化しやすい傾向があります。
100cm以上ある栽培NG植物もある
法律で栽培が禁止されているケシ科植物の中には、草丈が100cmを超える種類もあります。栽培OKのフラワードポピーとよく似ているソムニフェルム種のケシは、有毒成分を含んでいますが草丈は最大160cmまで伸びます。ただし植え付けの時期によって草丈が100cm未満になることもあるため、注意が必要です。
違い④葉の切れ込み
栽培OKとNGのケシには、葉の切れ込みの深さに違いがあります。栽培が認められているケシの葉は、深い切れ込みがあるのが特徴です。これに対して栽培が禁止されているケシの葉は、一般的に切れ込みが浅い傾向があります。
違い⑤葉の柄
葉の柄の有無も違いの1つに挙げられます。栽培NGのケシの多くは、葉の表面に柄(葉柄)がありません。これに対して園芸種のケシは、葉の柄がはっきりと確認できるものが多いです。
ボタニ子
最後に、アツミゲシとポピーの見分け方を、次ページでくわしく紹介します。