植物紋⑥片喰(カタバミ)
ハートの形をした三小葉からなるカタバミも、家紋になった植物の1つです。カタバミはとても身近な草本であり、道端などで普通に見つけられます。品種ごとで葉の色が赤かったり、色の濃淡が違ったり、また花の色が違ったりするものがありますが、どれも一般的にみられる草本です。
基本情報
学名 | Oxalis corniculata |
分類 | カタバミ科カタバミ属 |
種類 | 多年草草本 |
原産地 | 日本、世界中の熱帯~亜熱帯 |
花期 | 4月~10月 |
カタバミの特徴
カタバミは、長い期間にわたり黄色い小さな花を咲かせます。その後、果実となりますが、果実は触ると中に入っている種がはじけ飛ぶのが特徴です。葉は夜になると折りたたまれるのが特徴で、横からみるとハートが1枚だけのように見られます。その様子が「片喰(カタバミ)」の名前の由来になったとされています。
間違えられるカタバミ
カタバミにも、四つ葉は存在します。四つ葉といったらクローバーであるシロツメクサが有名ですが、シロツメクサの葉はハート形ではありません。シロツメクサの葉は丸いです。そのため、よくシロツメクサの葉がハート形で描かれることがありますが、ハート形をしているのはカタバミです。カタバミとシロツメクサでは分類も違い、シロツメクサはマメ科にあたります。
カタバミの家紋
カタバミは、葉が家紋となった植物の1つです。日本の十大家紋にも数えられるほど有名な家紋です。カタバミは、一度根ずくと駆除しても同じ場所に新しい芽を出すほど頑丈な草本でした。その頑丈さが子孫繁栄を表し、武将たちに好まれたといわれています。
植物紋⑦蕪(カブ)
カブはアブラナ科に属する、一般的にもよく食べられている野菜のカブのことです。そんなカブも家紋の1つとなっている植物です。
基本情報
学名 | Brassica rapa L. var. rapa |
分類 | アブラナ科アブラナ属 |
種類 | 越年草草本(野菜) |
原産地 | ヨーロッパ、中央アジア |
収穫期 | 5月~6月、10月~12月 |
カブの特徴
カブは、根の部分を食べる根菜類です。葉の部分は、春の七草の含まれ「スズナ」として知られています。世界的にも親しまれている野菜でもあり、「おおきなかぶ」といった民謡なども生まれています。
カブの旬は冬
カブには「コカブ」「アカカブ」といったさまざまな品種があり、スーパーや青果店に行くとすぐに購入できます。カブは1年中流通していますが、旬の時期は冬です。特に11月以降に出荷されるものは甘さも増し、おいしいといわれています。
カブの家紋
カブは、カブそのものが家紋となっています。あまり使われることはなかったようですが、使われるようになった由来は厄除けです。カブは春の七草の1つであり、無病息災の祈りが込められていました。そのことから、厄除けとして利用されたといわれています。
植物紋⑧桔梗(キキョウ)
秋の七草で知られるキキョウも家紋として有名な草本です。日当たりのよい山野に生育していましたが、現在は数を減らし絶滅危惧種に指定されています。
基本情報
学名 | Platycodon grandiflorus |
分類 | キキョウ科キキョウ属 |
種類 | 多年草草本 |
原産地 | 日本、朝鮮半島など |
花期 | 6月~9月 |
キキョウの特徴
キキョウは、青色や白色の星形の花を咲かせるのが特徴です。つぼみが特徴的で、花びらがぴったりとくっついた、まるで風船のような形をしています。つぼみは緑色から徐々に青い色に変わり、花を開花させます。キキョウは秋の季語ですが、開花を始めるのは梅雨時期です。
晴明神社との関わり
京都にある晴明神社では桔梗印が神紋とされています。これは、安倍晴明が使用していた五芒星を桔梗印と呼ぶことが由来しています。
キキョウの家紋
その昔、キキョウは「吉兆を占う花」とされていました。花を投げて、吉兆を占っていたのです。このような由来から、キキョウは桔梗紋として使われるようになったとされています。桔梗紋は、悲劇の家紋だともいわれていました。その理由に、明智光秀や坂本龍馬など壮絶な死を迎えた者たちが使用していたからだといわれています。
ボタニ子
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