洋梨の管理のコツ
管理のコツをしっかり押さえておけば、洋梨は初心者でも育てられます。特に適切な時期に袋を掛けること、枝を剪定することを心がけましょう。
袋掛け
自宅で洋梨を栽培する場合は、袋掛けしましょう。袋を掛けるのは手間かもしれませんが、害虫や病気の発生に違いが出ます。袋を掛けない場合は害虫や病気が出やすく、管理が難しくなります。トラブルの可能性を下げるためにも、実が大きくなり始める6月ごろには袋掛けをしましょう。極早生や早生種は、ほかの品種より早めに袋掛けをすると、害虫の発生が抑えられます。
剪定
洋梨の管理で大切なのは、毎年忘れずに剪定することです。日光を好む植物なため、枝が込みあって、日光が奥まで届かないというケースを防ぎましょう。大きく伸びすぎた枝も切り落としてください。枝を選別して残すと、よりおいしい実を付けます。
受粉
受粉樹とは、1本で結実しない木の近くに植える別種の木のことです。ラ・フランスのように、受粉樹がなくても実を付けられる品種もありますが、授粉樹があったほうが結実の可能性が高まります。別品種の洋梨か梨を植えましょう。
人工授粉
洋梨の花が咲いたら筆で花粉をとり、めしべに付けていきます。もっと簡単に、授粉樹の花を摘んで、咲いている花にこすりつけてもよいでしょう。
冬越し
洋梨の耐寒性は、マイナス20℃~30℃です。寒さへの耐性は果樹の中でも非常に高いため、冬越しの保温などは、考えなくても問題ありません。しかし、近くに植えた梨などの授粉樹が寒さに弱い場合は、授粉樹の寒さ対策が必要です。
洋梨の病害虫
ラ・フランスに代表される洋梨は、病気や害虫に注意が必要です。まったく対策や予防をしないと、実がならないどころか、木ごと枯れてしまうこともあります。そのようなことを防ぐためにも、病気や害虫の発生時期や予防策などをしっかり確認しておきましょう。
病気①輪紋病
輪紋病は、葉や実に同心円状の褐色の斑を形成する病気です。洋梨だけでなくりんごやトマトなどにも現れます。また、枝に発病していぼをつくることもあります。厄介なのは感染する病気ということです。ほかの果樹などに感染する前に、早めの対策をとってください。
予防と対策
輪紋病にかかってしまうと、実の内部が褐色に変色し、食べられなくなります。収穫が遅れることで発生しやすくなるため、収穫時期には注意が必要です。また、肥料のあげすぎやカルシウム不足でも発生します。特に鉢植えで栽培するときは、肥料は用量を守って与えてください。
病気②内部褐変
内部褐変が発生する時期は6月~8月ごろで、特に高温多湿になると危険が増します。見つけた場合には、速やかに病気の部分より少し多めに枝や葉を切り取りましょう。薬剤の散布も効果的です。実については無袋の場合に発生しやすく、早期に袋掛けをすると予防できます。
害虫①アブラムシ類
洋梨に害を及ぼす害虫は、アブラムシ類です。アブラムシ類は卵を新芽に植え付け、ふ化して大きくなると葉を吸汁します。アブラムシに害されると、葉が黄色くなって落葉してきます。水やりのときなどに、葉の様子を観察しましょう。基本的には薬剤散布で早めの駆除が有効ですが、中には薬剤が効きにくいアブラムシもいます。薬剤が効かないアブラムシの場合は、布巾などでこすり落としましょう。
害虫②果実吸蛾
果実吸蛾類は一部地域では夜蛾とも呼ばれ、果実の汁を吸う害虫です。汁を吸われた部分から果実が腐ってしまいます。夜に活動する種類も多く、果樹園では誘蛾灯などの黄色い電灯で予防していることも多いです。一般家庭でそこまで数が多くなければ、袋掛けである程度予防できる害虫です。
洋梨の種類
洋梨にはたくさんの種類があります。ただし、本場ヨーロッパと違い日本で流通しているのは、ほんの一部の品種です。それぞれ特徴が異なるため、自分好みの洋梨を栽培してみてくださいね。
種類①ラ・フランス
ラ・フランスは、日本での流通量がとても多い洋梨です。糖度が非常に高いのが特徴で、約20度前後あります。甘みと酸味がバランスよく感じられますよ。収穫後は柔らかくなるまで追熟させましょう。洋梨でありながらヨーロッパの風土があわず、ヨーロッパではほぼ栽培されていません。
種類②ル・レクチェ
ル・レクチェは西洋梨にしては外見が美しく整った、甘みの強い品種です。日本では新潟県が主な生産地で、追熟に1カ月以上かかるのが特徴です。おいしくなるのは、実が傷む直前なため、食べる時期を見極めましょう。生食以外にも、コンポートやシロップ漬けにしても、おいしく食べられます。
種類③シルバーベル
シルバーベルは、洋梨にしては収穫が遅い品種です。もともとはラ・フランスの交配種で、形状はラ・フランスに似ているもののやや細長いです。ラ・フランスよりも糖度は低く、酸味が強めに感じられるのが特徴のため、シロップ漬けやタルト・コンポートなどの加工に向いています。
種類④バートレット
バートレットは早生種で、収穫時期は早いですが追熟も早い品種です。一般に流通する前に食べたいなら、ぜひ育ててみましょう。もともとはイギリスで発見された洋梨で、形状はかなり縦長です。バートレットには、レッドバートレットと呼ばれる、皮の赤い品種もあります。皮が赤いだけで、味やそのほかの特徴は通常のバートレットと変わりありません。
まとめ
初心者でも温度管理や肥料の時期を知ることで、洋梨を元気に育てられます。ぜひ、コツをつかんでうまく栽培し、おいしい実を食べてみてください。また、加工にも向いている洋梨は使い勝手がよく、シロップ漬けやタルト、ケーキなどに利用できます。さまざまな味わい方で、洋梨を堪能しましょう。
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