7位 ドクゼリ
日本三大有毒植物(2位)
ドクゼリも日本三大有毒植物に指定されています。ドクゼリは北海道から九州までの広い範囲に自生しています。若葉がセリに似ていて根はワサビに似ているため、山菜採りに来た人が間違えて食べてしまうことがあります。食べると死に至るほどの有毒な植物です。
毒は皮膚からも入る!
食べてしまった場合、痙攣、意識障害、手足の痺れ、嘔吐、頻脈、呼吸困難等の症状が現れ、酷いときは死亡します。食べた場合だけでなく、毒成分は皮膚からも吸収されます。皮膚から入った毒が多量の場合は死に至ります。誤って触ってしまわないように注意が必要です。家畜の餌にドクゼリが混じっていて牛や馬が死亡したケースもあります。
6位 ローレルジンチョウゲ
触れるだけで火傷
ローレルジンチョウゲは、ヨーロッパに自生する植物です。春に黄緑色の花を咲かせますが、その落ち着いた外見に似合わず猛毒があります。実、花、茎、葉の全てに毒があり、樹液を触ってしまうとひどい水ぶくれや炎症がおきます。葉や実などを食べてしまった場合は、腎臓、循環器、中枢神経系が犯され、ひどい場合は死に至る恐ろしい植物なのです。
5位 キョウチクトウ
身近で恐ろしい植物
キョウチクトウは夏の暑さにも負けない強く美しい花木です。原爆後のヒロシマで一番早くに花を咲かせたため平和の象徴にもなっています。花は赤、白、ピンク、黄色、オレンジなどがあり、一重咲き、八重咲きの花を星のようにたくさん咲かせます。そのため庭や街路樹として植えられているのをよく目にします。花期も長く、夏の間中咲き続けます。ところが、身近な花にもかかわらず怖い毒をもっているのです。
青酸カリより強い毒性
キョウチクトウによる死亡事例はたくさんあります。バーベキューをするときに、キョウチクトウの枝を串として使ったことで、死者が出ました。キョウチクトウが家畜の飼料に混じっていて、たくさんの牛が死んでしまったこともあります。毒性としては青酸カリ以上とも言われています。直接食べる場合だけでなく、キョウチクトウが植えられている周辺の土壌や、燃やしたときの煙にも毒が含まれています。
4位 チョウセンアサガオ
幻覚・妄想を起こす「キチガイナスビ」
チョウセンアサガオは、江戸時代に日本に渡ってきました。現在では野生化したものがあり、他の植物と間違って口にする危険があります。体内に入ると、幻覚、妄想などの症状が現れます。オウム真理教が信者を洗脳するためにチョウセンアサガオを使用したことがあるほど、恐ろしい植物なのです。ダチュラ、マンダラゲ(曼陀羅華)、キチガイナスビという別名を持っています。
世界初の麻酔薬
世界初の全身麻酔手術に成功した江戸時代の医学者、華岡青洲はチョウセンアサガオを主成分とした麻酔薬を使用しました。このような歴史から、日本麻酔科学会のシンボルマークにもチョウセンアサガオのデザインが使用されています。
ボタニ子
さて、3位〜1位はどんな植物だろう!
3位 ギンピ・ギンピ
触れるだけで苦悶
オーストラリアの熱帯雨林に自生するギンピ・ギンピは非常に恐ろしい木です。葉や枝などに微細なトゲがあり、それに触ってしまうとトゲが皮膚に突き刺さり、強烈な痛みに襲われます。この細かなトゲには神経毒が含まれており、それが激痛の原因なのです。しかも一度刺さったら皮膚に食い込んで取り除くことが困難です。痛みのせいで自殺者がでるほどの苦痛を受け、その痛みは20年以上も続くこともあるのです。
2位 トリカブト
日本三大有毒植物(1位)
トリカブトはその名の通り民俗芸能で使う冠、鳥兜に形が似た花を持っているためについた名前です。色も鮮やかな青紫、白、ピンク、黄色があり、山野に咲いている姿には惹きつけられるほどの魅力があります。しかし恐ろしい猛毒をもつことでも有名です。日本三大有毒植物の一つで、最強の猛毒といわれる麻痺毒を持っています。致死量を摂取すれば、その6時間ほど後に心臓麻痺で死に至ります。解毒剤もありません。トリカブトを使った殺人事件は有名です。
狂言にも登場する附子(ぶす)
トリカブトの根は附子(ぶす)と呼ばれ、強心作用や鎮痛作用、血液循環の改善、利尿などの薬に使われてきました。しかし毒性が強いため、附子をそのまま生薬として用いることはせず、他の薬と配合して使われます。その場合、関節の麻痺、疼痛、風邪や腹痛、下痢の薬となり、さまざまな病気に効果があります。附子は狂言の演目でも有名です。狂言では、主人が使用人に食べられたくないため、砂糖を附子と偽って大失敗をするという話です。
1位 マンチニール
死の毒林檎
マンチニールは「世界で最も危険な樹」としてギネス記録にも載ったことのある木です。林檎に似た木の実は「死の林檎」ともよばれています。マンチニールを食べると甘く心地よい味がします。しかし、すぐに燃えるような痛みとともに喉が締め付けられ、最悪の場合は死に至ります。樹液に触れるだけでも火傷のような痛みが走り、水ぶくれができてしまいます。マンチニールを焼いた煙が目に入ると失明するほどです。
マンチニールの有効利用
マンチニールは、主に西半球に自生しています。天然の防風林として砂浜の浸食を防ぐ働きもあります。カリブ海地域では、なんと建材としても使用されているのです。そのためには切り倒した後、毒のある樹液を乾燥させるという行程が必要です。また乾燥した果実は利尿剤として利用されています。
まとめ
「美しいバラにはトゲがある」という言葉がありますが、トゲどころではありません。触ったり食べたりするだけで、悶え苦しみ死に至る恐怖の植物がたくさんあります。しかもここで紹介した植物の多くは美しく、また美味しそうです。「毒にも薬にもなる」という言葉のように、なかには大切な薬として使われてきた有毒植物もあります。このように考えると、人類は有毒な植物とも共存してきた歴史があることを実感しますね。
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出典:写真AC