⑫トリカブト(鳥兜)
トリカブトは7月~10月、季節でいえば夏~秋に咲く植物です。トリカブト(鳥兜)の名前は、舞楽の衣装の「鳥兜」に似ていることに由来しています。また、非常に強い毒を持っていることでも有名です。ドクウツギ(毒空木)、ドクゼリ(毒芹)と共に「日本三大有毒植物」と呼ばれています。
トリカブトの花言葉
トリカブトの全般の花言葉は「騎士道」「栄光」「厭世家」「人嫌い」「復讐」です。「騎士道」と「栄光」は、トリカブトの花形が騎士の兜に似ていることからつけられました。怖い意味の花言葉「復讐」は、トリカブトの持つ強い毒が由来です。「厭世家」「人嫌い」は、トリカブトの花形が、修道士の頭巾に似ていることが元になっています。
トリカブトの花言葉まとめ
- トリカブト全般の花言葉:「騎士道」「栄光」「厭世家」「人嫌い」「復讐」
- 種類別・色別の明確な花言葉はなし
⑬オトギリソウ(弟切草)
オトギリソウは7月~8月の夏真っ盛りの時期に開花します。漢字表記だと「弟切草」という、不吉な怖い名前です。しかし、昔は傷や神経痛を癒す薬草として用いられていました。「チドメグサ(血止め草)」「タカノキズグスリ(鷹の傷薬)」という別名もあります。また、同属種のセイヨウオトギリソウ(西洋弟切草)は、ヨーロッパでは魔除けの草として扱われていました。
オトギリソウの花言葉
オトギリソウの全般の花言葉は「恨み」「秘密」「敵意」「迷信」です。薬草として用いられていた草花には似つかわしくない、不吉な花言葉が並んでいますね。「恨み」「秘密」「敵意」は、後述する伝説が由来です。「迷信」は、オトギリソウの仲間のセイヨウオトギリソウが、ヨーロッパで魔除けの草とされていたことに由来しています。
悲劇の兄弟伝説
平安時代、晴頼(はるより)という優秀な鷹匠がいました。彼は鷹の扱いもさることながら、何よりも鷹の傷の治療に長けていたのです。彼が手当てした鷹は、他の鷹よりも早く回復しました。他の鷹匠たちはその秘密を知ろうとしましたが、晴頼は決して明かそうとしません。そこで彼らは晴頼の弟から秘密を聞き出します。それを知った晴頼は、激怒のあまり弟を斬り殺してしまいました。
大事な「秘密」をもらした弟を手にかけてしまうほどの、兄の「恨み」と「敵意」が、オトギリソウの怖い花言葉の由来です。
「弟切草(オトギリソウ)」という不吉な名前も、この伝説が元になっているんだよ。
オトギリソウの花言葉まとめ
- オトギリソウ全般の花言葉:「恨み」「秘密」「敵意」「迷信」
- 種類別・色別の花言葉はなし
怖い・不吉な意味の花言葉:秋の植物編
ここからは、不吉で怖い意味の花言葉を持つ秋の植物を紹介します。秋といえば、春と並んで過ごしやすい季節ですね。春のような華やかさはありませんが、紅葉する植物や花色に深みを増す植物が多く、落ち着いた雰囲気があります。そんな時期に咲く、不吉な意味の花言葉を持つ植物には、何があるのでしょうか。
⑭サフラン
サフランはクロッカスの仲間で、10月~11月に開花時期を迎える秋の花です。めしべが香辛料や染料になることから、古代ギリシャ時代から栽培されてきました。薬として用いられた歴史もあり、疲労回復効果や冷え性の緩和にも効くといわれています。球根で成長する植物で、水耕栽培も可能ですよ。
サフランの花言葉
サフランは古い昔から、香辛料や染料として人々の役に立ってきた植物です。しかし、花言葉にはネガティブな意味のものがあります。サフラン全般の花言葉は「歓喜」「陽気」「過度をつつしめ」「濫用(らんよう)するな」です。これはサフランの効能が由来です。サフランには血管を拡張し、気分をよくする効果があるとされていました。これが「歓喜」「陽気」の由来です。
古代ヨーロッパでは、サフランには酒の酔いをさます効果があるといわれていたんだ。でも使い過ぎると逆効果になるともいわれていたんだよ。
このことから「過度をつつしめ」「濫用するな」という少し怖い意味の花言葉が生まれました。
サフランの花言葉まとめ
- サフラン全般の花言葉:「歓喜」「陽気」「過度をつつしめ」「濫用するな」
- 種類別・色別の明確な花言葉はなし
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修道士とは信仰のために、世俗から離れて宗教的修行を積む人たちのことだよ。そこから「厭世家」「人嫌い」という言葉を連想したんだろうね。