サクラソウの種類
サクラソウの仲間は世界中生息していて、現在600種以上のものがあるとされています。今回は、日本に自生していたものを品種改良していったニホンサクラソウとヨーロッパを中心に品種改良されていった西洋サクラソウについて紹介します。
二ホンサクラソウ
江戸時代以降、日本に自生していたサクラソウを独自に品種改良したものは「二ホンサクラソウ」と呼ばれます。これは原種のサクラソウと区別するための呼び方で、品種改良が進んだ二ホンサクラソウには現在300種以上の種類があるとされています。ここでは、ニホンサクラソウの一部を紹介します。
南京小桜
南京小桜は現在日本にあるサクラソウの中で最も古い園芸品種で、江戸時代中期(1716年~1735年ごろ)に生まれたとされています。花径は約3cmと小さく、濃いピンク色の花びらに白い縁取りがあるのが南京小桜の特徴です。草丈は15cm~30cmで開花時期は4月~5月ごろです。
田島ヶ原サクラソウ
田島ヶ原サクラソウは、埼玉県さいたま市にある荒川の河川敷の田島ヶ原に自生しているサクラソウです。日本のサクラソウの原種とされ、大正9年に国の天然記念物として保護されるようになりました。開花時期は4月~5月で、中心が白く濃いピンク色の花を咲かせます。昭和46年に埼玉県誕生100年を記念し県花に指定されました。
田島ヶ原サクラソウ自生地とは
かつて荒川沿いにはサクラソウの自生地が点在していましたが、開発などにより減少していきました。自生のサクラソウを守るため、大正9年に田島ヶ原サクラソウ自生地は天然記念物に指定され、さらに昭和25年には特別天然記念物に指定されました。現在も「桜草公園」として管理され、毎年4月に「さくら草まつり」が開催されています。
西洋サクラソウ
西洋サクラソウは主にヨーロッパで品種改良された種類のもので、別名プリムラとも呼ばれています。その種類は200種ほどあるといわれ、日本でも人気の高い園芸植物です。ニホンサクラソウよりも花径が大きなものや冬に咲くものが多いという違いがあります。ここでは、西洋サクラソウの代表的なものを紹介しましょう。
プリムラ・ポリアンサ
プリムラ・ポリアンサはヨーロッパ原産ののものを品種改良して作られた種類で、世界で1番広く普及している品種です。花径は約3~8cmで、開花時期が11月~5月と長いという特徴があります。花の色は、赤・オレンジ・ピンク・白・黄色・紫・青・褐色・複色で、一重咲き・八重咲き・フリル咲き・バラ咲きと色も形も豊富です。
プリムラ・ブルガリス(イチゲサクラソウ)
プリムラ・ブルガリスは和名をイチゲサクラソウといい、ヨーロッパ南部や西部に自生する西洋サクラソウの原種の1つです。開花時期は3~5月で、「プリムローズ」はこの花に付けられた名前ともいわれています。薄いクリーム色で中心が濃い黄色の花を咲かせるのが特徴で、ヨーロッパでは花や若葉を食用やハーブとして昔から利用されています。
注意!毒をもつプリムラ・オブコニカ
サクラソウには薬やハーブとして利用される種類のものがありますが、なかには毒性を持ったものもあります。プリムラ・オブコニカ(トキワサクラソウ)の葉や茎などの表面にある白い線毛の部分毒が含まれていて、これに触れるとかぶれてしまいます。これはサクラソウ皮膚炎呼ばれ、治るのに時間がかかるので注意してください。
まとめ
昔から日本各地でみられ園芸や薬草として利用されてきたサクラソウが、現在絶滅危惧種となっているのは残念です。しかし、サクラソウは現在も園芸植物として人気が高く庭植えだけでなく鉢植えでも比較的育てやすい植物なので、自宅で育てて春の訪れを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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