ビバーナム・スノーボールとは
基本情報
植物名 | ビバーナム・スノーボール |
学名 | Viburnum opulus Roseum |
英名 | Snowball |
科名 | スイカズラ科(レンプクソウ科説もあり) |
属名 | ガマズミ属 |
原産地 | ヨーロッパ、北アフリカ |
開花期 | 4~5月 |
樹高 | 1~5m |
形態 | 落葉性低木(紅葉あり) |
「ビバーナム」はガマズミ属のことです。ほかにもビバーナム・ティヌスやビバーナム・ダヴィディーなど、「ビバーナム」と冠する花がいくつかあります。この記事では以下、「ビバーナム・スノーボール」を「スノーボール」と略します。
花言葉
スノーボールの花言葉は「茶目っ気」「誓い」「年齢を感じる」です。かわいらしい花の姿から「茶目っ気」、ウエディングブーケにも使われるため「誓い」とつけられたのでしょう。「年齢を感じる」は少しネガティブな花言葉ですが、花の色が変化する様子からつけられたのかもしれませんね。
ビバーナム・スノーボールの特徴
特徴①花
スノーボールは、紫陽花のように小花が集まって咲く花です。ゴールデンウィークの頃から緑色の花が咲き始め、徐々に真っ白に変化していきます。丸くまとまった姿が雪玉のように見えることから、スノーボールと名付けられました。庭に咲かせるだけでなく、切り花としても人気があり、ウエディングブーケにもよく使われています。
特徴②枝と葉
スノーボールの枝はしなやかで、花が咲き進んで重くなると、おじぎをしているように垂れ下がってきます。葉は柔らかく、カエデのように切り込みが入っているのが特徴です。秋には紅葉するため、庭にあると長く観賞できます。
ビバーナム・スノーボールの育て方
一見、栽培が難しそうなスノーボールですが、育て方のコツを押さえれば美しい花を咲かせられます。可憐な花は、庭の主役になってくれるでしょう。
①栽培環境
スノーボールは地植え・鉢植えともに、水はけがよく、半日以上日が当たる場所が栽培適地です。常に湿り気のあるような場所は根腐れの原因になります。土質を選ばず、半日陰でも育てられますが、日当たりがよい場所のほうが花つきはよくなります。
②用土
スノーボールを鉢植えで育てる場合は、苗の根鉢より二回り大きな鉢に赤玉土(小粒)と腐葉土を7:3の割合で混ぜて植え付けます。市販の培養土でもかまいません。地植えの場合は根鉢の2~3倍の大きさの植穴を掘り、腐葉土を混ぜて植え付けます。
③植え付け
スノーボールを植え付ける時期は、苗が出回る秋、もしくは春の花後すぐの暑くなる前です。枝ぶりがよく、葉が元気な苗を購入して育てましょう。植え付け後、根付くまでは支柱を立てて支えます。鉢植えの場合、成長してきたら2~3年に一度は同じ時期に大きな鉢に植え替えます。
④水やり
地植えしたスノーボールの水やりは、根付くまでの2週間のみ毎日しますが、その後は降雨に頼ります。鉢植えも根付いた後は表面が乾いたときに、たっぷりと水を与えれば大丈夫です。スノーボールは根腐れには弱いため、水の与えすぎに注意しましょう。
⑤肥料
スノーボールに肥料を与える時期は、落葉中の葉が再び動き始める前の12~2月ごろと、お礼肥えといわれる開花後です。緩効性化成肥料か固形の油かすが適しています。根が肥料焼けしないように注意して、根元から少し離れた葉の下のあたりに適量を与えましょう。
⑥剪定
剪定時期
スノーボールは自然に横へ広がるように樹形が整うため、特に剪定は必要ありません。ただ、剪定によって分岐が盛んになると、花つきがよくなります。気を付けたいのは剪定時期です。スノーボールは秋には花芽を形成し始めるため、剪定は花後すぐに、遅くとも7月中には済ませましょう。秋になってからの剪定では、翌年の花が咲かなくなります。
剪定の仕方
スノーボールの花芽は、若い枝の先につきます。剪定の際は若い枝は残し、古い枝や伸びすぎた枝を付け根から切り取ります。また株元に生えるひこばえは、本体の栄養を奪ってしまうため、早めに地際から切り落としましょう。剪定は枝に病気をうつさないように、清潔なはさみを使ってください。
⑦増やし方
スノーボールは挿し木で増やせます。6~7月に、その年に伸びた枝を5~10cmの長さに切りそろえます。切断面が大きいほうがより水を吸い上げるため、よく切れるナイフで斜めにカットしましょう。先端の葉を2~3枚のみ残して取り除き、水にしばらく浸けておきます。その後、赤玉土の小粒または挿し木用の用土に挿して、日陰で発根を待ちましょう。
ビバーナム・スノーボールの病害虫
スノーボールは病気に強いため特別な対策はいりませんが、虫に食害されることがあります。春に葉が穴だらけになっていたら、サンゴジュハムシによる被害かもしれません。見つけ次第、捕殺したり薬をまいたりして、被害を最小限に抑えましょう。被害を受けた葉や枝は切り落としてください。放置しておくと、木全体が枯れてしまいます。
サンゴジュハムシに注意!
ハムシは甲虫類の仲間で、コガネムシを小さくしたような姿です。3~4月に卵からかえったサンゴジュハムシの幼虫は葉っぱを穴だらけにし、5月に土に戻ります。6~7月に6mm程度の大きさの成虫となって、再び葉を食べに地上にあらわれます。成虫が食べるのは葉肉のみです。食べた痕は茶色く残り、見た目に影響が出てしまいます。
おすすめのハムシ駆除薬剤①
GFオルトラン液剤
GFオルトラン液剤 100ml
参考価格: 920円
害虫退治で有名なのが、1973年から使われているオルトランです。有効成分「アセフェート」は水溶性で、植物体内で安定的に作用するため、効き目が長持ちします。基本的な使用量や回数を守れば哺乳類や鳥類、魚類への毒性は低く、安心して使える薬剤です。液剤タイプは水で250~500倍に薄めて、葉に散布して使用します。
有効成分 | アセフェート |
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剤型 | 液剤 |
総使用回数 | 5回以内 |
おすすめのハムシ駆除薬剤②
ベニカケムシエアゾール
ベニカケムシエアゾール 450ml
参考価格: 1,430円
ベニカケムシエアゾールはジェット噴射式で、ハムシを見つけたときにすぐに吹きつけられて便利です。速効性だけでなく、2週間の持続性があり、散布後に発生した害虫も退治します。いろいろな庭木のケムシにも、大きく成長したチャドクガにも効果的です。
有効成分 | クロチアニジン・フェンプロパトリン |
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剤型 | エアゾール剤 |
総使用回数 | 4回以内 |
ボタニ子
薬剤は使いすぎると毒になります。使用方法、使用量をきちんと守ってくださいね。
ビバーナム・スノーボールと似た花
オオデマリ
スノーボールとよく間違われるのがオオデマリです。花の形もそっくりで、咲く時期も重なります。見分け方は、葉っぱの特徴の違いに注目することです。柔らかくカエデのような形のスノーボールとは違い、オオデマリの葉っぱは丸く、葉脈のくぼみの形がしっかりあらわれています。また、風になびくような枝ぶりのスノーボールに比べ、オオデマリの樹形は木らしく自立しています。
紫陽花アナベル
紫陽花のアナベルは、花だけ見るとスノーボールにそっくりです。スノーボールやオオデマリと同様に緑から白に花の色が変化する様子が美しく、ガーデナーに大変人気があります。アナベルは咲く時期が梅雨で、紫陽花らしく枝の上部にスノーボールよりも大きな花を咲かせるため、見分けるのは簡単です。
まとめ
ウエディングブーケでも人気の、てまりのようなかわいい白い花、ビバーナム・スノーボールについて紹介しました。こんもりした愛らしい形だけでなく、緑から純白に変化する花色も魅力的です。虫さえ気をつければ、庭で簡単に育てられ、挿し木で増やせます。ぜひ自宅の庭にビバーナム・スノーボールを迎えてみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC