エシャレットとエシャロットの違い
エシャレットとエシャロットは同じヒガンバナ科ネギ属の植物ですが、見た目も味も全く違う野菜です。1955年に若採りのらっきょうに、青果卸業者が「おしゃれな名前をつけよう」と考え「エシャロット」と名付けたことが一文字違いの野菜ができたきっかけとされています。本来のエシャロットと混同されることが多くなった若採のらっきょうは、のちに「エシャレット」「エシャ」と呼ばれるようになりました。
昭和30年代には西洋料理に用いる「エシャロット」は一般的ではありませんでしたが、現在では食の西洋化が進み「エシャレット」と「エシャロット」は混同されることが多くなってしまいました。「エシャロット」は小さな玉葱に似た香味野菜で、「エシャレット」はらっきょうを深植えで軟化させた生食むけの野菜です。
エシャレットとは
基本情報
名称、別名 | エシャレット、ラッキョウ、オオニラ、サトニラ |
流通名 | 若採りラッキョウ、葉付きラッキョウ |
科、属名 | ヒガンバナ科ネギ属(アリウム属) |
原産地 | 中国 |
園芸分類 | 野菜 |
樹高、草丈 | 地上30~40cm |
開花時期 | 10月下旬~11月上旬 |
収穫時期 | 3月下旬~4月上旬(エシャレットとして) |
エシャレットは土寄せをして白く柔らかく育てられたらっきょうです。通常のらっきょうに比べてクセも香りも弱く食べやすいのが特徴です。おもな栽培地は茨城県、静岡県、千葉県で、栽培地ではらっきょうの中でもエシャレット専用の品種を育てて出荷されています。
エシャロットとは
基本情報
名称、別名 | エシャロット、ベルギーエシャロット、シャロット |
流通名 | ベルギーエシャロット、シャロット |
科、属名 | ヒガンバナ科ネギ属 |
原産地 | 中東 |
園芸分類 | 野菜 |
樹高、草丈 | 30cm |
開花時期 | ー |
収穫時期 | 5~6月 |
エシャロットは独特の香りを持ち、小さなたまねぎのような形をしています。日本でも栽培されていますが、エシャロットのほとんどはベルギーやオランダなど流通量が多いヨーロッパからの輸入物です。エシャレットと混同されるため、ベルギーエシャロットとも呼ばれます。
エシャレットとエシャロット栄養分の違い
エシャロットとエシャレットは、どちらもネギ属特有の香りがあり、同じ香り成分が含まれています。以前から日本で栽培されてきたエシャレットと海外から輸入されたエシャロットでは、栄養素に関する情報の扱いに違いがあります。
エシャレットに含まれる栄養
エシャレットには、アリシンという香りの成分のほか、食物繊維やビタミンB1やビタミンB2などが含まれています。エシャレット100gあたりの主な栄養は、次の表のとおりです。
エネルギー | 76kcal |
水分 | 79.1g |
たんぱく質 | 2.3g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 17.8g |
灰分 | 0.6g |
ビタミンB1 | 0.03mg |
ビタミンB2 | 0.05mg |
ナイアシン | 0.8mg |
ビタミンB6 | 0.11mg |
葉酸 | 55㎍ |
パントテン酸 | 0.33mg |
ビタミンC | 21mg |
カルシウム | 20mg |
リン | 47mg |
鉄 | 0.8mg |
マグネシウム | 14mg |
カリウム | 290mg |
エシャロットに含まれる栄養
ネギ属の香味野菜であるエシャロットにはアリシンが含まれていることが知られています。日本ではおもにフランス料理で使用されるだけで、ほとんどが輸入されているエシャロットは「日本食品標準栄養成分表」に記載がありません。(※2020年7月の時点です)
エシャレットとエシャロット効能の違い
エシャレットは、含まれる栄養素からいくつかの効果があげられます。エシャロットは、香り成分であるアリシンの効能が有名ですが、そのほかは特に知られていません。
エシャレットの効能
整腸作用、便秘予防
エシャレットに含まれる食物繊維、中でも水溶性食物繊維であるフルクタンには整腸作用があり、下痢や便秘などを防ぐ効果があるといわれています。
生活習慣予防
エシャレットに含まれるフルクタンと香り成分のアリシンには
- 食事後の血糖値の急上昇を抑制
- コレステロールの吸収を抑制
- 血液をさらさらにする
むくみ予防
エシャレットに含まれるカリウムは、とりすぎたナトリウムを体の外に出す働きがあり、利尿作用があります。そのため、余分な水分を体の外に出すことから、むくみの予防に効果的だとされています。
疲労回復
エシャレットに含まれるアリシンは、ビタミンB1と結合してアリチミンとなり吸収しにくいビタミンB1の吸収を助けます。不足すると疲れやすくなったり、イライラしたりするのはビタミンB1不足の特徴といえます。エシャレットとビタミンB1を含む食材を一緒に食べると、疲労回復に効果的だとされています。
殺菌効果
エシャレットに含まれるアリシンは強い殺菌効果があり、風邪の予防効果があるといわれています。アリシンが含まれている香味野菜は、食中毒予防の薬味としても古くから利用されてきました。
食欲増進
エシャレットに含まれるアリシンの香りは、だ液や胃液の分泌を活発にして食欲を増進させる効果があるといわれています。調理中の料理や出来上がりの料理の香りで「おなかが減った」「おいしそう」という感覚になるのはこういう仕組みがあるからです。
その他
エシャレットに含まれる主な栄養素には次のような効果も期待されています。
- エネルギーをつくる:ビタミンB1
- 皮膚や粘膜の健康維持:ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンC
- 貧血:葉酸、鉄
エシャロットの効能
今知られているエシャロットの主な効能は、アリシンによる疲労回復、生活習慣予防、殺菌効果、食欲増進だといわれています。
エシャレットとエシャロットの違い
エシャレット | エシャロット | |
原産地 | 日本 | 中東 |
栄養 | アリシン、食物繊維、カリウム、ビタミンなど | アリシン、その他は日本食品標準栄養成分表データなし |
効能 | 整腸作用、便秘予防、生活習慣病予防、むくみ予防、疲労回復、殺菌効果、食欲増進、エネルギー増進、皮膚や粘膜健康維持、貧血防止など | 整腸作用、便秘予防、生活習慣病予防、むくみ予防、疲労回復、殺菌効果、食欲増進 |
食べ方 | おもに、そのままの形で食べる | おもに、香味野菜としてソースなどに入れて食べる |
エシャレットとエシャロット食べ方の違い
エシャレットもエシャロットも、生でも加熱をしても食べられます。エシャレットは小皿に盛り付け、メイン料理の一つとする食べ方が多いです。それに対してエシャロットは、通常フランス料理やイタリア料理の香り付けとして料理の中に混ぜ込みます。
おすすめエシャレットの食べ方
下処理がされていない根や葉がついたエシャレットは、ボウルに入れて、水を流したまま洗いましょう。薄皮は根の方向に向いてむいていきます。下の根と緑の葉は切りましょう。葉の部分は過熱して食べられます。
生で食べる
エシャレットをきれいに洗い、味噌や醤油、ドレッシングをかけてそのまま食べます。料理が苦手な人におすすめです。小さくきざんでネギのかわりに食べる方法もあり、うすくスライスしてサラダに入れたり、生ハムを巻いたりとアレンジが簡単です。
唐揚げ・天ぷら
エシャレットの表面を揚げると、違う食感が楽しめます。豚肉などビタミンB1を含む食材とあわせると疲労回復効果も期待でるのでおすすめです。豚肉を巻いて揚げるときは、豚肉をしっかり加熱しましょう。エシャレットの葉は小さくきざんで、かき揚げにすると食べやすくなりおすすめです。
酢漬け・塩漬け
エシャレットはらっきょうなので、甘酢やお好みの酢に漬けて食べられます。また、塩をまぶして1日おくと簡単に塩漬けになります。塩漬けにしたエシャレットは豚肉と炒めると、ビタミンB1が効果的に摂取できるので、疲れた日にちょうどよいメニューです。
おすすめエシャロット食べ方
エシャロットの食べ方はたまねぎやにんにくと、よく似ています。たまねぎ同様、表面の皮はむいて使いましょう。
肉料理や魚料理のソース
エシャロットを細かくみじん切りにして、簡単なソースから本格的なソースまで幅広く利用できます。肉を焼いたあとの肉汁とエシャロットを炒めて、醤油などで味をととのえるだけのソースはとくに簡単です。肉や魚独特の臭みをおさえて、味をひきたててくれる本格的な味のソースになります。
パスタ・シチュー
パスタやシチューを作るときにエシャロットを加えましょう。みじん切りや薄切りにしたエシャロットを、最初ににんにくやたまねぎといっしょに炒めます。そうすることでパスタやシチューの風味がより豊かになります。
タルタルソース・ドレッシング
エシャロットをみじん切りにしてタルタルソースに加え、揚げ物などにかけましょう。ドレッシングに加えてサラダなどに使用するのもおすすめです。エシャロットを加えることで、メイン料理の風味がより深まります。
エシャレット・エシャロットを料理に使ってみよう!
エシャレットは日本の野菜のため、市場などで流通しています。エシャロットはフランス料理などにしか使われず、あまり販売されていませんが、ネットなどで簡単に購入できます。ぜひエシャレットとエシャロットを調理して、それぞれの味の違いを楽しんでみてくださいね。
出典:写真AC