アジサイとは
アジサイは日本原産の植物ですが、中国へ輸出されヨーロッパへ伝わり、大正時代にまた日本に逆輸入されました。5月~7月の梅雨の時期に咲きます。もともとはガクアジサイという種類が原種でしたが、品種改良されて、現在では毬のような形の花も流通しています。病気にも比較的強く、育てやすい植物です。
基本情報
学名 | hydrangea macrophylla |
科属 | アジサイ科(ユキノシタ科)アジサイ属 |
形態 | 落葉低木 |
草丈 | 30cm~2m |
開花時期 | 5月~7月 |
花色 | 白、ピンク、青、紫、複色 |
花の大きさ | 10cm~15cm |
原産国 | 日本 |
英名 | haydrangea |
別名 | 七変化、手毬花、紫陽花 |
育てやすさ | 初心者向け |
毒性 | 全草有毒、成分不明 |
耐乾性・耐暑性 | 強い |
アジサイに毒性があるか
アジサイには毒があるという情報は、誤食による食中毒から、以前より知られていたことですが、その成分についてはいまだにはっきりしません。産地や種類にもよりますが、毒性のある個体とない個体があるようだということはわかってきました。しかし、アジサイの葉を食べると、中毒症状が出る人がいることは確かです。
ボタニ子
ボタ爺
アジサイが毒草だと知っているのかの?カタツムリがアジサイにいるのは雨や風から身を守るためらしいぞ。
アジサイの毒の種類
アジサイにどんな種類の毒性があるのか、まだはっきり解明されていませんが、可能性としていくつかの毒物があげられます。毒物の特徴や性質から、中毒症状と照らし合わせて、アジサイに含まれているのではと考えられているのでしょう。有毒ではありますが、成分の中には薬として使用されているものもあります。
ボタニ子
アジサイって3000種類くらいあるんだって。そのどれになんの毒があるのかは、まだわからないって、厚生労働省がいっているそうよ。
ボタ爺
同じ産地のアジサイでも、有毒の個体と無毒の個体がある報告もあるぞ。うーん、食べないということが一番だの。
可能性①青酸配糖体(せいさんはいとうたい)
青酸配糖体自体は、毒ではありません。唾液や胃液など強い酸性の消化酵素とまざり、分解されることで、猛毒の青酸(シアン)を作り出します。アジサイの若い葉に多く含まれると考えられており、2枚食べただけで、中毒反応がでた例が報告されています。青いウメの実を食べてはいけないといわれるのは、この成分が含まれているからです。
ボタニ子
でも、この成分もアジサイの産地の違いで、陽性だったり陰性だったりするし、含有量も違うのよね。
ボタ爺
あくまでも、中毒症状の原因かもしれないという範囲を出ないな。しかし、青酸は毒だぞ。
可能性②フェブリフジン(フェブリフギン)
フェブリフジン(フェブリフギン)は、嘔吐性アルカロイド(植物性の毒)で、味は苦く、嘔吐を誘う働きをします。ハマダラ蚊が媒介する「マラリア」という感染症に抗う活性が強いので、薬として臨床的に応用されていましたが、嘔吐作用が強すぎるため、現在は中止されました。ジョウザンアジサイに含まれており、アジサイ属には含まれるという報告があります。
アジサイの毒性のある部分
アジサイは花、つぼみ、葉、茎、根のどの部分にも毒が含まれるとされています。毒物が特定できていないので、諸説ありますが、つぼみに多く含まれるという説があります。庭に生えているアジサイをちぎって食べることはまずしませんが、葉がきれいなので食事の飾りに使われることがあり、それを食べた人たちが中毒を起こした例が多いようです。
ボタニ子
アジサイの若い葉の形が、シソ(大葉)の形に似ているの。どっちもギザギザしているしね。
ボタ爺
ちょっとちぎってみると、大葉はよい香りがするぞ。でも、どっちかわからないときは、食べないのにこしたことはないの。
アジサイの毒の症状
アジサイの葉を誤食して中毒症状が出た例が複数あります。歩行がふらついてめまいがする、気持ちがわるくなり嘔吐する、顔が赤くなるなどです。痙攣(けいれん)や呼吸麻痺、ひどい場合は昏睡することもあるようですが、人の死亡例はないようです。イヌやネコなどのペットや、ウシ、ウマ、ヤギなどの家畜でも中毒症状がでます。
ボタニ子
ペットでイヌやネコを飼っている人は、注意してあげてね。体が小さいから、間違って食べると死亡することもあるわ。
ボタ爺
誤食したかもしれないと思ったら、すぐに口から取り出して、動物病院へ連れて行こう。
アジサイを扱うときの注意点
アジサイは、食べなければ中毒症状はおきません。そのため、アジサイを育てているからといってむやみに怖がることはないでしょう。しかし、アジサイを触った手で、目や口を触ると毒が体内に入る可能性があります。アジサイの手入れをしたあとは、しっかり手洗いをするか、あらかじめ手袋をしておくと安心です。
ボタニ子
アジサイを切り花にして楽しむのも素敵だけど、水を替えるときは気をつけてね。水にアジサイの成分が、とけだしているかもしれないわ。
ボタ爺
花瓶や花器をよく洗うと安心だの。そのあと、手も洗っておけば大丈夫だ。
梅雨を彩る紫陽花を愛でよう
毒性が特定できていないのに間違って食べると中毒を起こすアジサイは、普通に生活をしていれば怖がることはないでしょう。植物を触ったら手を洗うということをしていれば、決して危険なことはありません。梅雨に雨が降り続くなか、シャボン玉のような色のグラデーションで咲くアジサイで、季節の移ろいを感じて楽しみましょう。
カタツムリって雨の日にアジサイの葉の上にのっているイメージあるわよね。でも、カタツムリはアジサイの葉は食べないんだって。