赤くない「白いさくらんぼ」とは
さくらんぼといえば、小さな赤い実がかわいらしい人気の果物です。赤いさくらんぼは佐藤錦や紅秀峰、ナポレオンなどの品種が有名で贈答用にも人気ですが、そんなさくらんぼのなかでも、赤くない「白いさくらんぼ」が幻のさくらんぼとして注目されています。
世界で1000種を超えるさくらんぼ
さくらんぼは、世界で親しまれている果物です。さくらんぼの品種数は非常に多く、世界でみると1000種類を超えるといわれています。日本ではそのうち、30種類ほどが栽培されていますが、白いさくらんぼと呼ばれる品種は多くありません。
「白いさくらんぼ」の品種名は「月山錦」
白いさくらんぼの正体は、「月山錦(がっさんにしき)」と呼ばれる品種です。赤いさくらんぼを見慣れている人がみると、驚くような色をしていますね。白いさくらんぼと呼ばれていますが、ややクリーム色がかっており、つやつやと光ってなんともおいしそうにみえるでしょう。
中国から導入された月山錦
月山錦は、中国から黄色い実をつけるさくらんぼの木を導入し、品種として固定されました。月山錦の原木は、100年の歴史を誇る果樹種苗会社「天香園」にのみ保存されており、月山錦の特許を取得したうえで、苗木を販売しています。
ボタニ子
白いさくらんぼ「月山錦」の見た目と味
見た目と味①美しい色
白いさくらんぼ、月山錦の大きな特徴はなんといってもほかの品種にはない色でしょう。果実は薄い黄色に彩られており、熟しても赤くなることはありません。赤いさくらんぼと比べて、黄色の皮につく傷は目立ちやすく、規格外が出やすいのも特徴といえます。
見た目と味②大きな果実
色、艶ともに素晴らしい月山錦ですが、サイズも申し分ありません。ハート型をした果実1粒あたり平均9g、贈答用になるものは15g、直径は500円玉ほどあります。
見た目と味③酸味が少ない
月山錦は、酸味が少ない品種です。そのため、甘みを感じやすく、国産さくらんぼのなかでも味がよいと高い評価を集めています。完熟した実の糖度は20~24度にもなり、圧倒的な甘さです。また、皮にも張りがあり、ハート型の果実を頬張りプツンと噛み切ったとたん、甘く甘酸っぱい香りの果汁が広がるのも魅力でしょう。一度食べればたちまちとりこになる人が大勢います。
白いさくらんぼ「月山錦」の特徴
特徴①軟化しにくい
月山錦はつやつやとした皮に張りがあり、果肉が軟化しにくいという特徴があります。贈答用で知られる佐藤錦(さとうにしき)は、赤いさくらんぼの品種のなかで、不動の地位を誇っていますが、皮が薄く、実があっという間に軟化してしまうため日持ちしません。
特徴②育てにくく希少な品種
見た目、味ともに高い評価を受ける月山錦ですが、さくらんぼの木1本あたりにつける実の数が少なく、栽培自体も高度な技術を要求する品種でもあります。さくらんぼの生産量日本一を誇る山形県でさえ、栽培する農家数は多くありません。栽培地の少なさが月山錦の希少度をあげる要因の1つです。
収穫時期の見極めも難しい
一般的な赤い実をつける品種であれば、さくらんぼの実が赤く色づいてきたころが収穫適期と判断できます。しかし、月山錦は熟しても赤くなりません。収穫期を逃すと変色してしまい、価値が下がってしまいます。そのため、収穫時期の見極めは重要なポイントで、高い経験が必要です。
特徴③収穫時期が短い
月山錦は、収穫時期の見極めが難しいうえに、収穫適期が非常に短いのが特徴です。収穫時期は山形県では6月中旬頃から始まりますが、収穫のベストタイミングは数日といわれています。梅雨の雨を気にしながらの栽培ともなり、大量栽培は難しく生産量は多くありません。
特徴④値段が高い
月山錦はすぐれた食味と見た目をもちながら、栽培が困難な品種です。そのため、栽培地は少なく、値段が高いのも特徴でしょう。贈答用となる大粒(2L)サイズであれば、500gで7500~8000円ほどします。初夏に収穫時期を迎えることもあり、お中元などにもおすすめです。
白いさくらんぼ「月山錦」の購入方法
幻のさくらんぼとまで呼ばれる月山錦は、栽培地の少なさから今なお希少な品種です。購入時期や方法も限られます。
購入方法①通販
希少な幻のさくらんぼ、月山錦を入手する方法として確実なのはやはり通販です。大手通販サイトなどに出店せず、さくらんぼ農園が各自、自社のサイトを運営していることも珍しくありません。収穫時期が短いため、予約販売という形をとっていることも多く、事前に通販がないかホームページをチェックしておくことをおすすめします。
購入方法②デパート
少ない収穫量のため、月山錦が産地以外で、スーパーなどの店頭に並ぶことはほとんどありません。しかし、独自のルートをもち、高級品を多く扱うデパートなどでは、果物コーナーやギフトコーナーに並ぶことがあります。収穫時期が近付いたらチェックしてみましょう。
購入方法③さくらんぼ農園現地・道の駅
さくらんぼの生産地は、山形県、福島県、北海道などが有名です。さくらんぼ農園には、販売所が併設されていることも多く、訪れた際には月山錦が販売されていないかチェックしてみましょう。現地だからこそ設定できる値段で販売されているかもしれません。農園の販売所以外にも、産地であれば道の駅などに出荷されていることもあるようです。
月山錦の栽培地
月山錦の主要な栽培地は、やはりさくらんぼ生産量日本一の山形県です。山形県のほかには、北海道、福島県、山梨県でわずかに栽培されています。山形県での収穫時期は6月中旬から、福島県では6月下旬、北海道では7月中旬と北上するにしたがって遅れていくので、訪れる際は収穫時期を確認していきましょう。
購入方法④産地でさくらんぼ狩り
さくらんぼの旬である初夏に、山形県や福島県など産地を訪れるのであれば、ぜひさくらんぼ狩りに挑戦してみましょう。美しく仕立てられたさくらんぼの木から、赤や黄色の実がぶら下がるさまは圧巻です。おいしそうな実を1粒ずつ収穫しその場で食べる、採れたての味を楽しめるのは、さくらんぼ狩りの醍醐味でしょう。値段はおおよそ大人1人当たり2000~3000円ほどです。
ボタニ子
都心にほど近い栃木県や群馬県でもさくらんぼ狩りができます。月山錦があるかは、事前に農園に問い合わせしてくださいね。
購入方法⑤ふるさと納税
お得に月山錦を購入したい人には、ふるさと納税制度の利用がおすすめです。サイズもさまざまに展開されているので、自分の寄付額に応じたものを選びやすくなっていますよ。通常の通販による購入と同じく、予約販売が主となっているため、売り切れとなってしまうことも珍しくありません。早めの予約購入がおすすめですよ。ふるさと納税は税金控除などお得なことがあるだけではなく、寄付先の自治体を応援することにもつながります。
一度は食べてみたい幻の白いさくらんぼ
月山錦は、数あるさくらんぼの品種の中でも、一目みれば忘れられなくなるさくらんぼといえるでしょう。見た目にインパクトがあるだけではなく、味やサイズも申し分なく、贈り物にはぴったりの果物です。珍しい月山錦ですが、苗木は通販でも流通しており、栽培に挑戦することもできますよ。
月山錦以外のさくらんぼの品種や育て方について興味のある方はこちらの記事をご覧くださいね。