落ち葉の利用方法「腐葉土にリサイクル」
腐葉土は土壌改良剤として用いられます。落ち葉や朽ちた木を微生物が分解し、土状になったものです。腐葉土は肥料と比べると、栄養分は多くありませんが通気性や保水性があがります。ホームセンターや通信販売などでも購入できますが、ある程度のスペースが確保でき、落ち葉が大量にある環境であれば腐葉土を手作りしてみるのもおすすめです。ゴミ袋代や回収費用の削減にもつながるでしょう。
腐葉土のメリット
腐葉土を土に混ぜると、土中の微生物が増えます。土作りに微生物は欠かせません。微生物が腐葉土を分解しながら、作物の栄養になるさまざまな微量成分を作り出すためです。ほかにも、腐葉土を混ぜ込むことで空気が通りやすくなって根の伸長が促進されたり、腐葉土がほどよく水分を抱えることで保湿性が上がり、苗を乾燥から守ったりするなどのメリットがあります。また、保温性もあるためマルチングとしても使えますよ。
腐葉土に適した落ち葉
腐葉土作りに適しているものは微生物の養分となりやすい、クヌギやナラなどの広葉樹の葉です。マツやスギなどの針葉樹の葉や、細かな枝や根などは除去しておきましょう。
なぜ枝などを除去するの?
針葉樹の葉や、枝や根は微生物の分解しにくく栄養分になりにくいため、腐葉土作りの妨げとなるからです。そのほかにも、ごわごわとして分厚いイチョウの葉や、成長阻害物質「クマリン」を多く含むサクラの葉なども腐葉土作りに向きません。
腐葉土作りに適した場所
腐葉土作りに適した場所は、「風通しがよい」「水のたまりにくい場所」を選びましょう。決めた場所に、ある程度の大きさの穴を掘って、微生物が落ち葉を分解するのを待つため、腐葉土の完成には時間がかかります。したがって、人が通るような場所は避けましょう。
腐葉土の作り方
①穴を掘る・木枠で囲む
腐葉土作りを決めた場所に深さ20cmほどの穴を掘ります。もしくは、高さ20~30cmほどの木枠で囲いを作りましょう。集めた落ち葉を埋めるスペースを確保し、落ち葉を長い時間囲っておけるような状態にします。
②土・落ち葉・米ぬかを交互に重ねて埋める
腐葉土作りのスペースに、落ち葉、土、米ぬかをまぜた水の順番でミルフィーユのように層を作っていきます。埋めるときには、一層ごとに足で踏み固めましょう。埋める土は白っぽい工業用の土より、黒い土を使います。土が手に入らないときは黒土の購入がおすすめです。
なぜ米ぬかを埋めるの?
米ぬか中の微生物が発酵のスターターとなるためです。ほかにも鶏糞や生ごみ、油かすを使用するケースがあります。黒い土をおすすめするのは、黒い土のほうが、白い土よりも微生物が豊富に含まれているためです。
③土で表面を覆う
落ち葉と土、米ぬかを埋める作業が完了したら、最後に上から土をかぶせ、落ち葉が見えないようにします。さらに微生物が養分を取り込みながら発酵を順調に進められるよう、上からビニールシートをかぶせ、シートが飛ばないように風の対策をとれば完成です。
なぜ土やビニールシートで覆うの?
腐葉土を作る微生物が効率よく増殖するには、養分はもちろんのこと、高い温度が重要です。土やビニールシートで覆うのは、この高い温度を守るためです。熱があると、多くの微生物は増殖しやすくなります。スターターとなる微生物によって生み出された熱が、効率よく循環すると、新しい微生物の増殖が進むでしょう。
④定期的に土をかき混ぜる
月に1回程度の頻度で、土と落ち葉をかき混ぜます。木枠などで囲まず、穴を掘って作る場合は、雨などの水が溜まりやすいため、微生物がある程度の数になるまでは月に2~3回ほど混ぜるのがよいでしょう。秋のはじめから腐葉土作りを開始するのであれば、途中で新しい落ち葉を追加しても構いません。
なぜかき混ぜるの?
混ぜる作業によって土の中に新しい空気を取り込み、熱を循環させるためです。空気と熱を循環させると、効率よく発酵が進みます。また、底に余計な水分が溜まっていると、発酵ではなく腐敗の原因にもなるため、しっかりとかき混ぜましょう。
いつから腐葉土は使えるの?
腐葉土が完成する期間の目安は5~9カ月といわれています。腐葉土から、「森の香り」や「カブトムシのにおい」がしてきたら完成の目安です。落ち葉は時間とともに分解が進み、どんどんと細かくなってきます。用途に合わせて目的の大きさになった腐葉土を使います。腐った不快なにおいがしたときは使用を控え、水と空気、熱の循環をさらにうながしましょう。
ボタニ子
ボタ爺
そんな人でも腐葉土作りに挑戦できる便利アイテムがあるんじゃ。最後にそれを紹介しておこうかの。
腐葉土づくりにおすすめのアイテム
回転式コンポスター
回転式コンポスター
参考価格: 22,000円
「回転式コンポスター」は腐葉土作りにおいて重要で、かつ大変な作業である「かき混ぜる」を簡単に行える便利グッズです。落ち葉と土、米ぬかを加えた後は、手でぐるぐると回転させるだけで均一に混ぜられます。家庭で出た生ごみなどを一緒に加えてしまっても構いません。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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容量 | 182L |
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本体重さ | 約7.8kg |
効率よく落ち葉掃除をしてきれいな庭にしよう
秋に、次々と舞い落ちてくる落ち葉をみていると、いつまでも掃除が終わらないような気持になるかもしれません。しかし、掃き清められた庭を見ると清々しい気持ちになるでしょう。落ち葉を集める場所や掃き方、道具の選定などポイントを押さえれば、時間も手間も大幅に短縮できます。多くの落ち葉が出る家庭では、庭をきれいにしつつ、腐葉土作りに挑戦してみるのもおすすめです。
手づくりの腐葉土には憧れますが、深さ20cmもある穴を毎月掘り返すのは少し大変そうです。