ししとうの概要
ししとうは、ピーマンより小ぶりで調理しやすい夏野菜です。ほどよい苦味があり辛くないことが魅力ですが、家庭菜園をしていると大変辛いししとうができる場合があります。辛くないはずのししとうが辛くなる理由と、辛いししとうの見分け方のポイントを知り、上手に調理しましょう。
ししとうと青唐辛子との違い
ししとうと青唐辛子は、どちらも同じナス科トウガラシ属の野菜です。形や色が似ていますが、辛くない品種を「ししとう」、辛い品種を「青唐辛子」と呼びます。ししとうは、ピーマンやパプリカに近い種類になり苦味や甘味が強いため、丸ごと焼いたり炒めたりして食べます。青唐辛子は、赤唐辛子の10倍の辛さがあり調味料の材料として使われる場合が多いです。
ボタニ子
ししとうは「ししとうがらし(獅子唐辛子)」が正式名称で、ピーマンと同じ「唐辛子甘味種」に分類される野菜です。
ししとうが辛い理由
ししとうは、基本的に苦味が主体で、辛くない野菜です。しかし、稀に辛いものがあり、まとめて購入した場合10本に1本の確率で辛いししとうが入っているといわれています。ししとうが辛い理由は、トウガラシにも入っている「カプサイシン」と呼ばれる辛味成分が原因です。
カプサイシンとは?
カプサイシンは、トウガラシの辛味成分です。食欲を増進させる効果や、体内のエネルギー消費を促す効果があるといわれています。血行をよくし脂肪を燃焼させる働きもあり、ダイエットにも繋がります。しかし、摂りすぎると胃の粘膜を傷つけ腹痛をおこす場合があるため注意が必要です。
辛い理由①ストレスが原因
ししとうは、水分不足や暑すぎる天候が続くと辛くなる確率が高くなります。青唐辛子の辛味成分を抜いて食べやすく品種改良されたものが、ししとうです。肥料や水が足りなかったり、暑い日が続いたりするなどの栽培中のストレスが原因で、もともともっていた辛味成分を作る遺伝子が活性化され辛く成長してしまいます。
辛い理由②収穫する時期が原因
ししとうは、赤く熟す前、まだ緑色の未熟な状態で収穫されます。旬の時期は、夏です。しかし、ししとうは暑さに弱いため、夏に収穫したししとうは辛い確率が高くなります。暑くなる前の時期のほうが、辛くないものが収穫でき食べやすいです。また、大きく育ちすぎてから収穫されたものも辛い可能性があります。出回る時期も参考に購入しましょう。
辛いししとうの見分け方
ししとうは、ハリと艶がある緑色の皮のものが甘味があっておいしいく食べられます。ヘタがピンとしていて切り口が変色していないこと、皮の色が黒っぽくないものは辛くない確率が高めです。ストレスを感じると成長が鈍化し形に表れるため、細長かったり、不自然に曲がったりしているなど房の形が辛さを見分け方のポイントです。
見分け方①房の形
真っすぐな形をしたししとうは、辛くありません。成長する過程でストレスを受けなかったため、真っすぐで辛くないものに成長します。しかし、ししとうの先端が尖っているもの、いびつに曲がったものはストレスを感じで辛いものに成長しています。スーパーなどで真っすぐな形のものがパック詰めされている場合は、辛いものが含まれている確率は低いといえるでしょう。
ボタニ子
ししとうは、上部の房の部分が丸くなっていると辛いものが多いです。房が多角形なら辛くないものの確率が高いですよ。
見分け方②香りの強さ
香りの強いししとうは、辛い場合が多いです。ししとうの香りは、ほのかに香る程度のものですが、鼻を近づけなくても強い香りがするものは辛いと考えましょう。生のままでは香りがしないものでも、加熱するとツンとした強い香りが発生するときもあります。
見分け方③種の量
ししとうは、種の量が少ないものほど辛い確率が上がります。実を切って中身を確認してみましょう。辛いししとうは、辛くないししとうの1/3程度しか種がありません。切らずに調理したいときは、指でつまんで確認します。種が多いと中身が詰まっているためへこみませんが、種が少ないと中身が詰まっていないためへこみます。
辛いししとうの下処理法
ししとうは、ヘタと種の部分が特に辛いです。辛いししとうを食べると、口の中が痛いと感じて苦手に思う方もいるでしょう。また辛味成分のカプサイシンを大量に摂取すると、喉や胃の粘膜が荒れてしまい腹痛や下痢を起こす場合があります。下処理をすると辛みがやわらぎ食べやすくなります。
下処理法①ヘタと種を取り除く
ししとうは、ヘタと種を取り除くと辛さがやわらぎます。どちらも食べられる部分ですが、辛味が苦手な方は調理前に取り除くとよいでしょう。
ヘタと種の取り方
- ししとうを水洗いする
- まな板の上にししとうを乗せて、手でゴロゴロ転がす
- ヘタを包丁で切り落とす
- 切り口を下に向け、ししとうを指ではじく
- 種がポロポロ落ちる
下処理法②小さな穴を開ける
ししとうは、そのまま加熱すると、実の中の空気が温まり膨張して破裂します。種や油が飛び散り火傷を負ってしまう恐れがあるため、調理する前にししとうに空気穴を開ける必要があります。竹串や爪楊枝を刺して小さな穴を開けたり、包丁で縦に切れ目を入れたりしましょう。少し穴を開ければ丸ごと焼いたり、揚げたりするときも安全に調理できます。
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次のページで、ししとうの辛さを抑える調理法を紹介します。
出典:写真AC