オリーブの挿し木のやり方には、前述のような一般的な挿し木の方法の他に、ペットボトルなどを使った密閉刺しという方法があります。挿し木をする枝には葉が付いており、そこから水分が蒸散し枝が枯れてしまうことがあるため、挿し木を密閉することにより、高い湿度を保ち挿し木を枯れさせないようにする方法です。
密閉挿し手順
オリーブの密閉挿しは、前述しました「挿し木の方法」がベースとなります。密閉挿しで挿し木を行うやり方は、ペットボトルなど密閉できる容器を用意し、以下にあげるような方法を基本となる「挿し木の方法」の間に追加および変更するやり方となります。
追加・変更する方法その1:ペットボトルの洗浄
挿し木の方法その3の「水挿し」工程の間にペットボトルを用意します。密閉挿しに使用するペットボトルは、中をよく洗って雑菌がいない状態にします。1本ならば500mlサイズ、2,3本ならば2リットルサイズが密閉挿しに適した大きさとなります。洗ったペットボトルは半分くらいのところで2分割にしましょう。
追加・変更する方法その2:ペットボトルへ用土を入れる
密閉挿しに使用される培養土は、無菌で軽い用土が適しています。中でも軽石を高温処理したバーミキュライトを使用するとよいでしょう。切り離したペットボトルの、下半分の肩くらいの高さになるように用土を入れるようにしましょう。また肥料から雑菌などの侵入も考えられますので、用土へ肥料を施さないこともポイントとなります。
追加・変更する方法その3:水やり
密閉挿しでは、挿し木の前に水やりを行います。先ほどの培養土を入れたものに1/3程度の水を水道の蛇口から直接注ぐようにしましょう。ジョウロにも雑菌のいることが考えられるため、ジョウロを使用しての水やりは行わないことがポイントとなります。
追加・変更する方法その4:挿し木を挿す
割りばしなどを使って土の表面に穴をあけ、水につけて置いた挿し木用の枝を地植えしていきます。挿した枝は発根を促すためにも、ぐらぐらしないよう優しくかつしっかりと土を固めるようにしましょう。穴の深さは通常の地植えの挿し木と同じくらいの深さが適しています。
追加・変更する方法その5:密閉
挿し木を終えたペットボトルの下半分に切り離しておいた上半分の部分を被せ、セロハンテープなどを使用して空気が入らないようにぴったりと合わせます。完成させた密閉挿しは、直射日光の当たらない明るい場所へ置きましょう。その際、温度差の大きくない場所を選ぶこともポイントとなります。明るいリビングに置くと挿し木の様子をいつも見ることができます。
オリーブを密閉差しにする理由
オリーブは、日当たりが良く湿度の高い環境で発根しやすいと言われています。地植えで湿度の高い環境を作るには、ビニールハウスのような状態を作って挿し木を行う必要がありますが、ビニールハウスの製作は手間や費用が掛かり、初心者には難しい方法です。そのため、身近にある材料で手軽に同様の環境が作れるということで、密閉挿しの方がられ用いられます。
ペットボトルを使った密閉挿しの注意点
オリーブの挿し木の仕方の中でも簡単で成功率が高いと言われている密閉挿しでも、注意すべき点はいくつかあります。秋や冬と言った季節の挿し木は比較的成功率が低いため、密閉挿しであっても挿し木は難しくなります。他にも以下の点での注意が必要となります。
注意点その1:雑菌の侵入
オリーブの密閉挿しで、一番気を付けなくてはいけないのは雑菌の侵入です。密閉挿しが失敗する一番の原因は雑菌の侵入により枯れることです。そのため工程の中でも解説したように、ペットボトルの洗浄や雑菌の少ない培養土を選ぶことがポイントとなります。
注意点その2:水やり
水やりも密閉挿しにおいて注意すべき点のひとつにあげられます。ジョウロなどを使用する水やりの仕方は、雑菌が入り挿し木の枯れる可能性が高くなります。密閉挿しを失敗させないコツです。
注意点その3:発根
オリーブの挿し木の発根率は20%から30%と言われており、決して高くはありませんので、根が出ないとしても不思議ではりません。発根剤を使用しない場合は、挿し木の根が出ない確率も上がり、その分失敗も多くなります。挿し木の成功率を上げようとするのなら、発根剤を使用して挿し木の発根を促進させる方が失敗する確率も下がります。
その他の注意点
オリーブは日当たりの良い場所を好みますが、直射日光の当たる場所には置かないようにしましょう。オリーブの成木を育てる場合でも少量の肥料で問題ないので、密閉挿しでも発根するまでの期間は肥料は特別に与えなくても問題はありません。挿し木にする枝の葉は4,5枚程度に剪定し、用土に隠れる部分は葉の剪定を忘れないようにしましょう。
密閉挿しで挿し木を成功させよう
発根率が低く、挿し木の中でも難しいとされているオリーブですが、密閉挿しは挿し木のやり方の中でも手軽にでき、室内での生育も可能なため、初めての人にも比較的簡単に出来るやり方です。失敗の原因として多い、雑菌やカビが原因で枯れることや根が出ない場合の対処法をきちんと把握し、オリーブの密閉挿しを成功させましょう。
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出典:写真AC