さくらんぼの木の人工授粉
結実するには受粉させる必要があります。受粉には、①自然に受粉する方法と、②人工的に授粉させる方法の2通りがあります。自然に受粉するというのは、ミツバチなどの力を借りて受粉して貰う方法です。この場合、ミツバチがいなければできませんし、交配相手である木同士が近くになければできません。そこで成功率を上げる方法として「人工受粉」があります。
人工授粉の時期
花が5分咲きの状態になった時と満開になった時、その2度のタイミングで人工的に授粉を行います。天気が良く無風、気温が高めの日を選ぶのが、より多く結実させるコツです。
人工授粉の方法
さくらんぼの結実には特定の品種を除いて交配相手が必要です。異なる品種のなかでも遺伝子的に相性が良く開花時期が近い苗木を選び近くに植えるのがコツです。一番簡単な方法は開花した片方の花に交配用の道具である「梵天」を軽くこすりつけ、その後、もう一方の花にも同様に「梵天」をこすりつけるということを繰り返す方法です。
さくらんぼの収穫
さくらんぼの苗木を入手したら適期である12月~3月に定植すれば約5~6年で実をつけ収穫できるようになるといわれています。さくらんぼの木は地植え・鉢植え共に栽培可能です。苗木はあっという間に成長しますが、剪定しながらコンパクトな樹形を維持して楽しむこともできます。
収穫時期と方法
さくらんぼの木の収穫時期には品種により多少の違いはあります。一般的にさくらんぼの旬といえば5月~6月ごろです。代表的な品種「佐藤錦」を例にとっていえば6月中旬から下旬です。開花から2カ月ほど、実が真っ赤になるころが収穫の目安です。翌年の実りを妨げないため1粒づつ手やハサミで丁寧に摘み取ります。
収穫前の注意点
せっかくうっすら色づき収穫の時が近づいたさくらんぼですが、雨にあたると、その水分で実が破裂し皮が破れてしまうことも少なくありません。雨が続くようであれば雨よけ対策と同時に病害虫・鳥などへの対策もします。摘果も実を大きく甘くするコツです。
【補足】桜の木とは
さいごに、補足として、桜の木の説明と、さくらんぼの木との違いにも触れておきましょう。
桜の木は、バラ科モモ亜科スモモ属の落葉高木、または低木の樹木です。北半球の温帯の広い範囲に分布し、特に、アジア圏では美しい花を観賞する桜の木の種類が多いのが特徴です。日本では、俳句の季語「春」を表わすものとして代表的ですよね。ヨーロッパでは、花ではなく実を楽しむ桜の木、ミザクラが一般的です。
花を観賞する桜の木の種類(品種)
- ソメイヨシノ
- ヤエザクラ
- シナミザクラ群
- エドヒガンザクラ群
- ヒカンザクラ群
- チョウジザクラ群
- マメザクラ群
- ミヤマザクラ群
- ヤマザクラ群
ソメイヨシノが日本の桜の代表と思われている訳とは
お花を観賞する桜の木には多くの種類があるのに、桜と言えば「ソメイヨシノ」が話題になるのは、日本の桜の木の80%が「ソメイヨシノ」だからです。その年の各地の桜の開花日の目安である標準木は、日本国内の各都道府県にある「ソメイヨシノ」という桜の木の品種を基準にしています。そのことからも「ソメイヨシノ」は、日本の桜の木の代表として認識されているのですね。
さくらんぼの木と桜の木の違いは
「さくらんぼの木」と「桜の木」との大きな違いは、その実が食べられるか食べられないかです。舌で楽しむ「さくらんぼの木」と目で楽しむ「桜の木」。その他にも「さくらんぼの木」と「桜の木」を比較すると、花・特徴・開花時期などいくつかの点において顕著な違いが見られます
開花時期
「さくらんぼの木」と「桜の木」の開花の時期にはかなり違いがあります。花を観賞する「桜の木」の開花時期は一般的には3月~4月です。カンヒザクラ系は2月~3月、ボタンザクラは4月中旬~5月上旬、中には10月頃から咲く種類など、品種によりさまざまです。一方、西洋実桜など「さくらんぼの木」の仲間は、若干の違いはあれど基本的に3月~4月頃です。
実の特徴
花を観て楽しむ種類「ソメイヨシノ」に対し、実が食べられる種類の「佐藤錦」の実の違いは一目瞭然です。「ソメイヨシノ」にも実はなりますが、その実は熟すと真っ黒になり、大きくなる前にそのほとんどは落花するか鳥についばまれてしまいます。
花の特徴
花を観賞する「桜の木」と「さくらんぼの木」の花を比較すると、その色に大きな違いが見られます。例えば、花の色ですが「桜の木」は白・薄いピンク・濃いピンクの他、最近では変わり種の黄緑色など実にさまざまな花の色があります。一方、実が食べられる「さくらんぼの木」は、そのほとんどが白い花です。
枝の特徴
「さくらんぼの木」と「桜の木」の決定的な違いといえば、その花の付き方で花のつく部分の枝に現れます。桜の木の花は枝から直接花芽が出るのに対し、さくらんぼの木の花芽は枝から伸びる段々のくびれの先につきます。そのくびれの数で樹齢の判断ができるともいいます。
樹木の特徴
「ソメイヨシノ」のようなお花がメインの「桜の木」と「佐藤錦」をはじめとした西洋実桜のような実が食べられる「さくらんぼの木」を比較しても、その樹形、樹木自体の見た目の違いはあまりありません。どちらもバラ科サクラ属に分類される樹木ですので、苗木の時期にそれを見分けるのは困難です。
まとめ
お庭に植えるなら、花を楽しみ実が食べられる「さくらんぼの木」がなんといってもおすすめです。きっと、小さな苗木から育て上げると、毎年、花と実で季節の移り変わりを実感させてくれるさくらんぼの木に愛情を感じずにはいられないでしょう。
小鳥には注意!
ただ、注意が必要なのは小鳥たちに狙われること。一番美味しい時を察知する能力は人間以上。朝は赤く輝いていたさくらんぼが外出から帰ってきたらすっかりなくなっていて(筆者の)子供達をがっかりさせたのも想い出のひとコマです。
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