笹の花はなぜ凶兆とされるのか
笹の花の開花が凶兆と扱われるのには、なにか理由があるはずです。もちろん、根拠なく不吉なものとして扱われているわけではありません。それは、竹や笹の特徴に根ざしたものだったのです。
実が落ちてねずみが増える
多くの植物は、花を咲かせたあとに実をつけます。もちろん笹も、花の後にはたくさんの実をつけます。笹原は同じ時期に一斉に花を咲かせるわけですから、もちろん一斉に実ができます。笹は竹に比べても実をつけやすく、多くの実が笹原に落ちます。そしてこの笹の実は、野ねずみたちの大好物なのです。
増えたねずみが穀物を荒らしてしまう
さて、笹は花をつけると、やがて枯れてしまいます。一方ねずみは、ねずみ算という言葉からもわかるように、一度に子供をたくさん産みます。その結果、ねずみは爆発的に増えるものの、笹原は枯れてしまいます。食べるものがなくなった野ねずみたちは、近くの村の作物や穀物庫を荒らしてしまっていたのです。
食物連鎖によって熊などの被害も増える
やっかいなことはそれだけではありません。野ねずみのような小動物が増えると、野ねずみを食べるキツネや蛇が増えます。そしてそれらを食べる熊なども増えてしまうのです。そのため、山から人里に降りて村を襲う事件が相次いでしまうのです。
笹が枯れるので地盤が緩む
また笹は、地下茎で互いにつながっています。笹が一斉に枯れると、当然地下茎も枯れてしまいます。その結果、地盤が緩んでがけ崩れが起こりやすくなります。それまでは被害のなかった量の雨で地すべりなどが起こってしまえば、それはまさに不吉な事件と呼べるでしょう。
笹の花は毎年咲いている
笹原によっては、毎年のように笹の花が発見されています。地下茎でつながっている笹同士でなければ、枯れる時期はバラバラです。そのため、いくつもの株が密集している笹原の場合、毎年のようにどこかしらで花が咲き、笹が更新されていきます。このことからも、笹の花が咲いたからといって必ずしも不吉だとは限らないということがわかります。
枯れる前に花を咲かせているだけ
そもそも笹は、花が咲いたから枯れる、というわけではありません。笹は一見すると木のように見えますが、そもそも植物分類としては、稲の仲間である「イネ科タケ亜属」です。そのため、稲などと同じように、成長してから花を咲かせ、そして枯れているだけなのです。成長してから花を咲かせるまでの期間が何十年とかかるため、あたかも花が全体を枯らしてしまっているように錯覚してしまうのです。
吉兆とされることもある
笹の花は逆に、良い兆し、吉兆とされることもあります。小さく可憐な花ですから、見つけられたらなんとなくうれしい気持ちになりますね。また仏教においては、非常に珍しい優曇華(うどんげ)という伝説の花が伝えられています。こちらも同じくめったに咲かない花なのですが、なんと3000年に一度しか咲かないのだそうです。
まとめ
笹の花は、60年〜120年に一度だけ咲く、非常に珍しい花です。小さな花なので見落とされることも多いですが、場所によっては毎年見ることができます。開花は不吉なことの前兆であるといわれることがありますが、実はそのほとんどはあくまで伝説です。木のように見えるので不思議に思いますが、花が咲くと枯れてしまうのは自然な現象なのです。
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出典:写真AC