サンキライ(山帰来)とは
サンキライはサルトリイバラ科で、トゲがあるツル性の植物です。日本各地の山野に生えており、ツルでよじ登っていく落葉低木です。低木といっても、約2mの高さにまで成長します。葉は光沢があって少し厚く、丸い形をしています。柏餅の葉に代用され、古くから身近な植物として愛されてきました。春から初夏には淡い黄緑色の花が咲き、冬には真っ赤な実をつけます。ツルにぶら下がった小さくて赤い実が好まれ、リースやスワッグなどによく使われています。
サンキライは一種類ではない
英名をChinaroot(チャイナルート)といい、「サルトリイバラ」、「ガンタチイバラ」とも呼ばれますが、現在はひっくるめてサンキライとするのが一般的です。実はサルトリイバラにはトゲのあるサルトリイバラ(=菝葜・バッカツ 学名smilax china)とトゲのないケナシサルトリイバラ(=土茯苓・ドブクリョウ 学名smilax glabra)があります。
サンキライの名前について
サンキライは山帰来と書き、病人が山でこれを食べたおかげで回復し、元気に戻ってきたという説があります。意味からすると薬草のドブクリョウを指すことになります。トゲがあるバッカツに薬効はないからです。ところがいずれも「サンキライ」の俗称があり、混乱の原因になっています。また、サンキライはサルトリイバラを指すのではなく、薬効のある「サルトリイバラの塊茎(かいけい=地下茎のかたまり)」だけを指す場合もあり、ますますややこしくなっています。興味があれば以下のサイトもあわせてご覧ください。
サンキライの育て方
サンキライはツル性の植物で、もともとは山の中で自生しています。つまり、水の管理さえ失敗しなければ作りやすい作物なのです。ただ大きくなるにつれて根がしっかりと張りますから、いざ栽培を止めようとしても思うようにいきません。性質をよく理解したうえで、栽培にチャレンジしましょう。
育て方①環境
サンキライは日当たりがよく、水はけのよい場所を好みます。反面、乾燥を極端に嫌いますから、水切れしないよう注意が必要です。植える場所さえ失敗しなければ、初心者でも育てやすく、増やし方も簡単です。うまく根が張れば、年を追うごとに丈夫で太い根に成長します。地下茎でどんどん広がりますから、植える場所選びはとても大切です。鉢植えにする場合は深めの鉢を選び、定期的に植え替えをするとよいでしょう。
育て方②土づくり
もともとは山の中で自生していた植物です。腐葉土がたい積したような、山の中の環境をイメージして土づくりをしましょう。堆肥や腐葉土などの有機物を多めに入れ、フカフカの土が準備できれば理想的です。
育て方③植える場所
サンキライはツル性でトゲがあります。他の作物に絡みつかないように少し離して植えるのがポイントです。またそのトゲに毒があるため、人やペットが出入りする場所は避けるのが無難です。ツルがうまく伸びるように支柱やネットなどを設置し、手入れがしやすい場所に植えましょう。あらかじめ植える場所や鉢の置き場所をよく考えておくことが大切です。
育て方④手入れ
サンキライの手入れはさほど必要ありません。水を切らさないこと、肥料を与えすぎないことが大切です。
水やり
サンキライは乾燥をとても嫌います。土の表面が乾いてきたらたっぷりの水を与えます。鉢植えの場合は土の乾きが早いですから、特に夏場は水を切らさないように注意が必要です。開花時期の4月~5月頃も水分や栄養分をより必要とします。水を切らさないように気を付けるようにしましょう。
肥料
基本的に肥料をあまり必要とする植物ではありません。ただ、植え付け時期は緩効性の肥料を株元に少し置き、開花時期は2~3週間に一度くらい液体肥料を与えるとよいでしょう。もし肥沃な土で、環境がよければ特に必要ありません。むしろ肥料の与えすぎに注意しましょう。
育て方⑤植え替え
うまく育てば旺盛に成長する植物です。鉢植えの場合は根が混みあってきたら植え替えの時期です。鉢の大きさにもよりますが、数年くらいが植え替え時期の目安です。収穫後の冬の時期に古い土を落とし、余分な根を整理して植え替えます。増やし方を特に気にする必要もなく、植え替えといっても難しい作業はありません。
育て方⑥注意点
サンキライは根付いてしまえば育ちやすい植物です。とはいえ、ときどきは葉っぱなどをチェックしましょう。
病害虫
病気や害虫の心配はほとんどない植物ですが、ルリタテハ(濃紺に瑠璃色のラインが入った蝶)の幼虫が葉っぱを好んで食べます。ときどき葉の裏やツルなどに虫がついていないか、虫に食われていないかなどチェックしましょう。
葉っぱの着色
若いうちは葉に茶色いシミのようなものができてきます。ただ成長して葉がしっかりしてくると、シミが徐々に薄くなり消えてきれいな緑になりますから心配の必要はありません。
次のページでは、サンキライの増やし方、実や毒性について、利用方法をご紹介します。
出典:写真AC