ホトケノザに似ている植物
前述のコオニタビラコ(ホトケノザ)は、同じ名前を持つことが混同されやすい理由でしたが、コオニタビラコのほかにもホトケノザと間違われやすい植物があります。ここからはホトケノザと似ている植物と、その違いを紹介しましょう。
ムラサキケマン(紫華鬘)
ムラサキケマン(紫華鬘)はケシ科キケマン属の植物です。日本全国に分布しており、直射日光の当たらない場所を好んで生える特徴があります。細長い花形や紫の花色など花姿が少し似ていることと、開花期が4月~6月とホトケノザの開花期に近いことから、間違われたり、近縁種と誤解されたりすることがあるため注意が必要です。
ホトケノザとの違いは?
見た目は似ていても、ホトケノザはシソ科オドリコ属の植物、ムラサキケマンはキク科キケマン属の植物と、植物学上の分類では全然違います。そして最大の違いは、ムラサキケマンには毒があることです。プロトピンという有毒成分が含まれており、誤って口にすると嘔吐や呼吸麻痺、心臓麻痺といった中毒症状を引き起こすため注意しましょう。
余談ですが毒草のムラサキケマンを食べる虫がいます。ウスバシロチョウという蝶の幼虫です。
毒草を食べることで体内に有毒成分を取り込んで、自分の身を守る武器にするんだよ。こういった虫にも気をつけようね。
ヒメオドリコソウ(姫踊り子草)
ヒメオドリコソウ(姫踊り子草)は、ヨーロッパを原産とする外来植物です。オドリコソウ(踊り子草)という植物の同属種ですが、比較すると草丈や花や葉が小さいことから、小さいことを表す「ヒメ(姫)」をつけて、ヒメオドリコソウと呼ばれるようになりました。ホトケノザと同じシソ科オドリコソウ属の植物でもあることから、ホトケノザに外見がよく似ています。
ホトケノザとの違いは?
まず開花期が違います。ホトケノザが3月~6月なのに対して、ヒメオドリコソウは4月~5月です。葉の形状も、縁がギザギザであることなど共通点はありますが、よく見るとホトケノザが楕円形なのに対して、ヒメオドリコソウは丸みのある三角形をしています。もっとも違う点は葉の生え方です。ホトケノザの葉が段々になっているのに対して、ヒメオドリコソウは葉と葉が折り重なるような状態で生えています。
まとめ
一般的には雑草扱いされているホトケノザですが、知れば知るほど不思議な魅力に満ちている植物です。微量でも甘い蜜が吸えるのも魅力的です。日本ではほぼ全国に分布しているため、少し足をのばせば、すぐに見つけられるでしょう。ゆっくり散歩でもしながら、ホトケノザを探してみてはいかがでしょうか。
ムラサキケマンは、山菜のシャクに葉が似てるんだ。それが原因で誤食して中毒になることもあるから注意してね。