特徴③甘い蜜が吸える
甘い蜜が吸えるのも、ホトケノザの大きな特徴といえるでしょう。花をそっと引き抜いて、根元を吸うと甘い蜜の味がします。ただし花が小さいため、吸える蜜の量はほんの少ししかありません。ちなみにホトケノザと同じシソ科の植物であるサルビアの花でも、同じやり方で蜜が吸えますよ。
特徴④食用には向かない
甘い蜜を楽しめるホトケノザですが、食用向きではありません。ホトケノザといえば、春に食べる「七草粥」に使用される「春の七草」を連想される方が多いでしょう。このため、ホトケノザを食用できる野草だと思う方がいますが、残念ながらこの種は、食用ではありません。春の七草のホトケノザは名前こそ同じですが、違う種類の植物です。
こう書くと有毒性植物みたいだけど、ホトケノザはあくまでも食用向きではないというだけで、毒はないから安心してね。
春の七草のホトケノザについては、下記で紹介していますので、詳細はそちらをご覧くださいね。
特徴⑤蕾のまま受粉する花がある
ホトケノザは、1つの茎にたくさんの花をつけます。しかし全部が花を咲かせるわけではありません。そのうちのいくつかは、蕾のまま自家受粉して実をつけます。このような花を「閉鎖花(ヘイサカ)」といいます。蜂が少なくなり、虫による受粉の機会が減る時期に入ると、閉鎖花が増えるといわれています。
特徴⑥うどんこ病に弱い
ホトケノザは繁殖力が強く丈夫な植物ですが、うどんこ病に弱いです。うどんこ病にかかると、あっという間に伝染していきます。このため、花壇や鉢植えのそばにホトケノザが生えていると、大切に栽培している草花までもが、うどんこ病にかかってしまう危険性が高いです。もしもホトケノザが花壇や鉢植えのそばに生えていたら、できるだけ早く除去しましょう。
健気に咲いているホトケノザにはかわいそうですが、うどんこ病は厄介な病気です。心を鬼にして除去しましょうね。
ホトケノザの種類・品種
シロバナホトケノザ(白花仏の座)
赤紫色の花というイメージが強いホトケノザですが、白い花を咲かせる品種が存在します。その名も「シロバナホトケノザ(白花仏の座)」といい、ホトケノザの白花変種とされています。花色だけではなく、葉や茎の緑色も、基本種と比べて薄いのが大きな特徴です。
春の七草のホトケノザとの違い
前述したように、今回紹介しているホトケノザと、春の七草の1つであるホトケノザは、別種類の植物です。植物学上の分類でも、前者は赤紫色の花をつけるシソ科の植物であるのに対して、後者は黄色い花を咲かせるキク科の植物と、全然違う植物であることが示されています。また、後者には「コオニタビラコ(小鬼田平子)」という和名があります。
ちなみに春の七草とは「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ」の7種類の植物のことです。
7種類の野菜を使った粥には、邪気を祓い万病を取り除く効果があるといわれていたんだ。おせち料理で疲れた胃を休ませる意味もあるんだよ。
また、野菜不足になりやすい真冬の時期に、多種類の野菜や野草を使った粥を食べて栄養を補うという意味もあります。
コオニタビラコの名前の由来
「春の七草のホトケノザ」こと、コオニタビラコはキク科ヤブタビラコ属の多年草です。湿地を好み、田んぼによく生えるため、水田雑草として扱われています。もともとは「タビラコ(田平子)」と呼ばれていました。この名前は水田に葉を放射状に広げ、平らになった草姿が、水田にはいつくばっているように見える様子が由来です。
コオニタビラコがホトケノザと呼ばれているのは、ホトケノザと同じく、葉の形状が仏様の座る蓮華座に似ていることが由来です。
複雑な名前の由来
まぎらわしいことに、ムラサキ科の植物であるキュウリグサにも「タビラコ」という別名があります。また、キク科オニタビラコ属のオニタビラコという植物の存在も、名前の由来を複雑にしている原因の1つでしょう。「コオニタビラコ」と呼ばれるようになったのは、これらの植物と混同されるのを避けるため、という理由もあります。
コオニタビラコという名前から「オニタビラコの小型品種」と思われることがあるけど、この2種類は別種とされているから、間違えないでね。
前にも触れましたが、名前は同じでもホトケノザは食用ではありません。このことも忘れないでくださいね。
最後に、ホトケノザに似ている植物を見ていきましょう。
ホトケノザの花には、甘い蜜目当てに蜂がよく訪れるんですよ。