ベニバナ(紅花)の利用法・花言葉を紹介!昔は口紅の原材料だった?

ベニバナ(紅花)の利用法・花言葉を紹介!昔は口紅の原材料だった?

赤い染料で知られるベニバナはさまざまな利用法があります。花言葉は「化粧」というだけに、江戸時代には口紅の原料として重宝され、食用としても使われます。その他、生薬としてもすぐれた薬効をもつベニバナの利用法について詳しく解説します。

記事の目次

  1. 1.ベニバナとは
  2. 2.ベニバナの利用法①ベニバナ油
  3. 3.ベニバナの利用法②生薬
  4. 4.ベニバナの利用法③口紅
  5. 5.ベニバナの利用法④染料
  6. 6.まとめ

ベニバナの利用法③口紅

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江戸時代にはベニバナから口紅の元祖となる紅(ベニ)がつくられるようになりました。当時は現在のように誰もが化粧をするというような状況ではありませんでした。ごく限られた特別な人だけがベニバナからとれる紅を使って顔に化粧を施したのです。

紅の色

品質が特によいとされる最上紅花(モガミベニバナ)からは、良質の紅が生産され、その色は玉虫色です。ベニバナから赤色の色素を取り出し、有田焼などの陶磁器製の小さな器の内側に塗り付けられた紅は光り輝く緑色をしています。唇にのせるとその人独自のオレンジ~赤い色が出るのが特徴です。

紅の取り出し方

1.紅餅を作る

ベニバナの色素の99%は黄色です。紅作りは、たった1%の赤い色素を取り出すことから始まります。早朝に手摘みしたベニバナを水洗いして、黄色の色素を流し日陰で発酵させると赤味が強くなります。発酵が完了したら臼(うす)でつき、丸めて平たく伸ばしたものを天日で干せば紅餅(ベニモチ)ができあがります。

2.灰汁を使って紅を取り出す

紅餅からわずかな赤い色素を取り出すためにはアルカリ性の灰汁(アク)を使います。灰汁の溶液を紅餅にしみ込ませることで赤い色素を引っ張りだし、麻の束を浸すと赤い色素がその束に集まるという仕組みです。赤い色素を吸った麻を絞ることで濃い紅液を取り出します。

3.仕上げ

次の工程では赤い色素を結晶化させて取り出します。前述の紅液に酸性の液を加えると紅の色素が結晶化するのです。酸性の液は烏梅(ウバイ)と呼ばれ、梅の実を燻製にしたものから作られます。最終工程で必要のない水分を取り除いたらようやく紅の完成です。

ベニバナの利用法④染料

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ベニバナは染料として利用されてきた長い歴史をもつ植物です。ベニバナのわずか1%の赤い色素で染めたベニバナ染めによって得る紅(クレナイ)色はたいへん高貴な色で、この色の衣を着られる人はごく限られていました。現在でもベニバナの赤い色素で染めた繊維はとても貴重なものです。

紅花染めの工程

前述したとおり、ベニバナの黄色い色素(サフロールイエロー)は水に溶けだすので、摘み取ったベニバナを水にさらし、出てきた黄色い液で黄色く染められます。赤く染めるためには、花びらを発酵させた紅餅に含まれる赤い色素(カルタミン)を利用します。

1.1次染め

紅花染めを仕上げるためには繊維を何度も染料につける作業が必要です。最初に花びらを発酵させた紅餅をアルカリ性の灰汁汁に入れてかき混ぜ、その中に繊維を漬けた後、水にさらします。この工程を1次染めといい、漬け込んだ繊維はオレンジ色に染まります。

2.2次染め

さらに紅花染めを濃い赤にするためには2次染めが必要です。1次染めの溶液に少量の烏梅(ウバイ)を加え、その液に繊維を漬けこんで水にさらし乾燥させます。酸性の烏梅(ウバイ)を加えることで赤味が強くなるので、少しずつ烏梅(ウバイ)をたし、色味の調整を行います。繊維に色素がしみ込みにくいので、何度も繰り返し作業を繰り返すことが必要です。

ポイント

ベニバナで染めた繊維はアルカリ性の液に浸すと色素が流れ出てしまいますので、洗濯の際には中性洗剤を使用することをおすすめします。

まとめ

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ベニバナの利用法についてご紹介しました。時間と手間をかけ、化学の実験のような作業によって染料は作られていたのですね。天然の素材だけでできた貴重なコスメであるベニバナの口紅を使ってみてはいかがでしょうか。

Frankincense
ライター

Frankincense

オーガニックコスメのスキンケアデザイナー。スキンケアは食べることからはじまると考えています。体の内側と外側からのスキンケアに使用する植物について興味があります。

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