危険植物④ドクダミ
科名・属名 | ドクダミ科ドクダミ属 |
草丈・樹高 | 20cm~40cm |
開花時期 | 5月~6月 |
ドクダミ(蕺草)は古くから日本に自生していた多年草です。雑草扱いが一般的ですが、一方で「十薬(じゅうやく)」という別名を持つほど、すぐれた効能を持つ薬草として重宝されてきました。しかし独特のにおいがあり、付着するとなかなか取れないため、においがつかないよう扱う際には注意が必要です。
ドクダミテロと呼ばれる繁殖力と適応力
ドクダミの地下茎は横に広がり、増殖する性質を持っています。ドクダミの生命力と繁殖力はミントと同等といわれるほど強いです。環境適応力が高く、コンクリートの割れ目でも育ちます。ちぎれた根からでも再生して繁殖するため、防除が難しい雑草としても有名です。この強い生命力と繁殖力から、ドクダミが大量増殖すると「ドクダミテロ」と呼ばれています。
危険植物⑤カタバミ
科名・属名 | カタバミ科カタバミ属 |
草丈・樹高 | 10cm |
開花時期 | 4月~10月 |
カタバミ(酢漿草、片喰)は庭や路上でよく見かける雑草です。クローバーに似たかわいらしい花と葉から、可憐なイメージがありますが、実際はかなり強い生命力と繁殖力をそなえています。種と地下茎、さらには「ほふく茎」と呼ばれる茎からも増えるため、繁殖するスピードが速く、根絶が難しい雑草としても有名です。
家紋の由来にもなった繁殖力
カタバミは家紋のデザインに用いられていることでも有名です。「片喰紋(かたばみもん)」といいます。カタバミが家紋に用いられたのは、カタバミの持つ強い繁殖力が由来です。強い繁殖力で、どんな場所でも群生するカタバミの様子に「どんなことがあっても、家が栄え続いていくように」「子孫繁栄」という願いを託しました。
危険植物⑥アイビー
科名・属名 | ウコギ科キヅタ属 |
草丈・樹高 | ~10m以上(つるの長さ) |
開花時期 | 9月~12月 |
観葉植物として有名なアイビーは、常緑性つる性植物の性質を活かして、グランドカバーに利用することも多いです。寒さにも暑さにも強いので手間がかからず、葉が美しいため、おしゃれなグランドカバーとして人気があります。ただし繁殖力が強いので、管理を怠るとミントテロのように、収拾がつかない事態に陥る恐れがあるので注意しましょう。
庭に植える場合は数年先を考える
アイビーはグランドカバーとして庭に植える場合、植える場所を考える必要があります。つる性植物のアイビーは放置していると、家屋の外壁やほかの樹木に絡みつき、覆ってしまう可能性があるからです。場合によっては窓やコンクリートを壊して生えることもあります。アイビーの成長後、つまり数年先の光景を予想し、成長し過ぎないようにしっかり管理することを心がけましょう。
危険植物⑦シソ
科名・属名 | シソ科シソ属 |
草丈・樹高 | 70cm~80cm |
開花時期 | 8月~9月 |
シソ(紫蘇)は、日本を含めた東アジア地域を原産とする植物です。栄養豊富で強い殺菌作用を持つことから、食用と薬用の両方に用いられています。日本でも平安時代から栽培されていました。独特の清々しい香りがあることから、和製ハーブとも呼ばれています。
和製ハーブテロと評される繁殖力
シソは基本的に種で増える植物です。しかし生命力が強く、こぼれ種からでも発芽し成長します。さらに、一度育てば葉が生い茂り、縦にも横にも大きくなる植物です。このため、庭に植えて管理を怠ると、あっという間に増殖してしまいます。その様子はまさに「和製ハーブテロ」といえるでしょう。
植物テロにもっとも利用されるミントも、シソ科の植物です。
危険植物⑧オキザリス
科名・属名 | カタバミ科カタバミ属(オキザリス属) |
草丈・樹高 | 5cm~15cm |
開花時期 | 春咲き:3月~5月、夏咲き:6月~9月、 秋咲き:10月~2月 |
オキザリスはカタバミの仲間で、世界中の熱帯~温帯と、非常に多くの地域に分布している植物です。約800種類~850種類と種類が多いため、形状や開花時期など、種類・品種によって特徴や性質が異なります。花が可憐で草丈が低く、丈夫で手間もかからないため、グランドカバーにも利用されています。
見た目に反して繁殖力旺盛
見た目は愛らしいオキザリスですが、カタバミの仲間というだけあって、実際は雑草顔負けの生命力と繁殖力を持つ植物です。ミントと同じく、地下茎(球根)でどんどん増殖していきます。ちぎれた根からも繁殖できるため、根ごと株を引き抜く方法では根絶は難しいでしょう。
危険植物⑨ハマスゲ
科名・属名 | カヤツリグサ科カヤツリグサ属 |
草丈・樹高 | 15cm~40cm |
開花時期 | 7月~9月 |
ハマスゲ(浜菅)は海岸の砂浜やグランドなど、乾いた場所によく生える雑草です。昔は地下茎を乾燥させたものが、生薬として用いられていました。浜辺で見ることが多い雑草ですが、内陸部でも見られます。アスファルトを押し上げて生えるほどの成長力を持ち、芝生内に生えると芝を枯らしてしまうほど増殖します。
根絶が難しい強雑草
ハマスゲは地下茎とほふく茎を持つため、「引き抜きにくく根絶が難しい」という非常に厄介な性質を持っています。刈り取りにも強く、地上部をばっさりと刈り取っても、すぐに再生します。繁殖力もすさまじいです。夏の間に1つの塊茎(かいけい:地下茎の一部)から300以上の新しい塊茎を生みます。この塊茎を切っても、切断面から新しい芽が出るため、かえって増殖させてしまうので注意しましょう。
危険植物⑩葛(クズ・カズラ)
科名・属名 | マメ科クズ属 |
草丈・樹高 | 10m |
開花時期 | 8月~9月 |
葛(クズ)は荒れ地や道端などに生える雑草です。日本では古来より根の部分から葛粉(くずこ)を、根、花、葉から生薬を、つるから繊維材料を作っていました。「秋の七草」の1つとされ、俳句や和歌では秋の季語として扱われています。
世界の侵略的外来種
葛は食用にも薬用にもなる植物として重宝されてきた一方で、管理を怠ると、低木林ならたちまち覆いつくしてしまうほどの成長力がある雑草として恐れられています。除草剤に強く根絶が難しいことと、若い樹木に絡みつくと、枝を曲げて木の成長を阻害してしまうことから、IUCN(国際自然保護連合)から「世界の侵略的外来種ワースト100」の1つに選定されました。
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片喰紋です。